原作主人公vsオリ主   作:大根ハツカ

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大変お待たせしました!
半年振りですか!?
第二章Cパート毎日更新スタートです!





二九話:タイムオーバー/Day_3?

 

 

 朝日が昇る。

 目が覚める。

 ただそれだけのことが、何故か久しぶりに思えた。

 

 アラームの音は聞こえない。

 目覚ましよりも先に起きたのか?

 少し肌寒いから、そのせいで起きたのかも。

 そういや、窓ガラス割れたまんまだったっけ?

 

 徐々に意識がはっきりとする。

 ゆっくりと起き上がり───

 

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッッ⁉︎⁉︎⁉︎」

 

 

 声にならない絶叫。

 全身に激痛が走る。

 

 そして、痛みと共に昨晩に記憶を思い出した。

 骨も内臓もあれだけぐちゃぐちゃになって、その状態で戦闘を続行していたのだ。この痛みは当然の結末だと言える。

 

「ちょっ⁉︎ 馬鹿ッ、何起きあがってんのアンタ‼︎」

 

 キッチンの方から、アドレイドがどたばたと駆けつけてくる。赤い髪が揺れている。何故かエプロンを身に纏っていた。

 

「アンタまだ重傷者なんだから大人しく寝ときなさい!」

「いっ、いやッ、まだだッ……‼︎」

 

 痛い、本当に痛い。泣きそうだ。

 でも、そんなことよりも。俺は優先するべきことがある。

 

「ディートリヒ出産のタイムリミットは今日までだ‼︎ そして、それが具体的に今日の何時なのかも分からない‼︎ ここで寝てる時間は───」

()()()()()()()()()()()()()()()()‼︎」

 

 

「…………は?」

 

 なに、を……いっている?

 だって、昨日戦ったばかりなのに。

 まさか早朝がタイムリミットだった……?

 

 しかし、真実はそれよりも最悪。

 

「アンタは一晩しか寝てないつもりだけど、実際は違うわ。()()()()()()()()()()()

「おいッ、じゃあ……‼︎」

「タイムリミットは昨日まで。とっくにもう時間切れ(タイムオーバー)よ」

 

 


 

 

 呆然とする俺を布団の中に押し込み、アドレイドは今日に至るまでの説明をした。

 

 第四位と第五位を取り逃したこと。

 ブレンダ先輩が俺の手術をしたこと。

 住宅街で大規模な倒壊事故があったこと。

 天命機関とはひとまずの協力体制を取ることになったこと。

 それが俺の奮闘が認められた為であること。

 折手メアが何故か大人しくしていること。

 

 だが、本当に聞きたいことは言わない。

 心の準備をさせてくれている、そう感じた。

 

 このまま泣き寝入りする訳にはいかない。

 意を決して、それを訪ねる。

 

「……椎菜は、……椎菜はどうなった……⁉︎」

 

 聞きたくない。

 聞きたくないが、聞くしかない。

 ヤツは産まれたのか、産まれなかったのか。どちらにせよ、用済みとなった椎菜が無事とは思えない。

 しかし、答えはどちらでも無かった。

 

「不明よ」

「……不明……?」

「第五位を追い詰めた影響かは知らないけど、まだ出産段階には入っていないようね。いや、それどころか、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「…………?」

 

 ……ディートリヒの話を信じるならば、第五位の力で出産までの期間を一日に短縮したんだっけ? クシャナを気絶させたことで、その期間が元の一〇日間まで伸びたのかもしれない。

 だが、憑依しているかどうかも分からないってのはどういうことだ?

 

「アイツは昨日、普通に学校に登校したわ。だけど、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「演技が上手くなったとか……?」

「そうだとしても、違和感はあるわ。こちらの監視に気付かないし、本当にただ授業を受けてるだけで何もしていないの」

「それは確かにディートリヒじゃないな」

「アンタを訪ねて二年一組に来たようだけど、目立つ動きはその程度ね」

 

 ……まーた、クラスメイトに色々言われるんじゃないか?

 まだ帰れない日常に思いを馳せる。

 

「……ディートリヒの野郎が別の依代に憑依したって線は?」

「アタシ達もそれを考えたけど、それもそれで違和感があるの。アイツ、このタイミングで髪を金色に染めて来たのよ」

「それは……流石に無関係ではないだろうな……」

ブレンダ(脳筋女)曰く、学校に入ると寒気がするほどの世界のズレを感じたそうだから、何かをしているのは間違いなさそうなんだけど……」

 

 …………学校、か。

 

「よし、行くか」

 

 部屋の時計を見ると、時刻は八時三〇分。

 よし、午前の授業中には余裕で間に合うな。

 学校で何を企んでいようが、その計画ごと踏み砕いてブチ殺してやる。

 

「おいっ、ちょッ、待てコラァ‼︎」

「腕に力が入らん。起き上がるの手伝ってくれ」

「やるわけないでしょ⁉︎ 学校には脳筋女(ブレンダ)がもう向かってる! アンタはそこで寝ときなさい‼︎」

「でも第四位を完全にブチ殺せるのは俺だけだろ? だったら、俺が行かないと……‼︎」

「だ・か・らッ、動くな馬鹿ッッッ‼︎‼︎‼︎」

 

 ガンッ、と。

 ベッドに押さえつけられる。

 痛い、これがもう既に痛い。

 少なくともこれは安静にさせる行為ではない。

 

「アンタの足は立ち上がれるほど治ってないのよ‼︎」

「何でだよ。もう繋がってるんだろ? だったら治ってる」

「アンタの世界観じゃ、折れたバットをガムテープで固定しただけの状態を治ってるって言うワケ?」

「いけるいける」

「無理だっつってんでしょこの馬鹿主人(マスター)ッ‼︎‼︎」

 

 


 

 

 八時五〇分。

 結局、医者を呼んで来るから大人しくしとけ、とアドレイドに布団の中に押し込まれた。

 

 いっそのこと命令で退かすか? とも思ったが手で口を塞がれて命令が出来ない。

 これで契約に引っ掛からないのダメだろ。何でだ? 悪意が全くない善意での行動だからか?

 

 しばらくして、玄関のドアが開く音がする。

 入って来たのはブレンダ先輩だった。

 今日はメガネバージョンの姿、青い髪がレンズを上から覆って先輩の瞳を隠す。

 

「…………本当に目を覚ましていたんですね。信じられません、再生系の異能を持っていたんですか?」

「持ってねぇよ。……つーか、聞いたのか?」

「ええ、六道君が現世出身の転生者だということは一通り」

 

 殴られるか、罵倒されるか。

 そんな反応を予期していたが、ブレンダはどちらでもなかった。

 

「申し訳ありません」

「…………は?」

 

 ()()()()()()()()()()()()()

 

「六道君が転生者になってしまったのは私達が間に合わなかった責任、六道君が自力で解決せざるを得なかった結果です。六道君に非は一切ありません」

「…………俺を殺さないのか?」

「私は六道君をもう殺せません……殺したく、ありません。天命規則よりも優先すべきことがこの世にはあります。ですので、私は貴方の為なら何だって───」

()()()()()()()()()()()?」

「───しま………………え?」

 

 俺の為に何でもしてくれる女の子。

 実質的には二人目の奴隷獲得じゃねぇか。

 ブレンダ先輩は展開の速度に着いていく事ができず、目を白黒させている。だが、待ったはなしだ。言質は取った、吐いた言葉はもう飲み込めない。

 

「俺を学校へ連れて行ってくれ」

「出来る訳ないじゃないですか馬鹿なんですか六道君は⁉︎」

 

 即答で拒否られた。

 何でだよ、何でもしてくれるんじゃなかったのか。

 

「何でもすると言うのは自殺の手を貸すという意味ではありません‼︎ そんな状態で戦える訳がないでしょう⁉︎ 六道君は内臓(なか)外傷(そと)もボロボロで、生きているだけで奇跡なんですよ⁉︎」

「だったらその奇跡を何度でも起こしてやればいいだけだ。足ももう治った」

「そんな根性論で六道君の傷を誤魔化せるはずがないでしょう⁉︎ それに、足が治った……⁉︎ そんなワケがないでしょう‼︎ 貴方は自分がどんな状態なのか何も分かっていない‼︎」

 

 そういえば、診断結果は聞いていない。

 全治何ヶ月くらいなのか、内臓が吹き飛んだ気がしていたがそれはどうなったのか。

 

「全治三ヶ月とかその程度か?」

 

 ブレンダ先輩はゆっくりと首を振る。

 ()()()()()……()()()()()()使()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

()()()()()()()()()()()

「…………なん、て?」

 

 

 思わず、聞き返した。

 だって、信じられない。

 

「六道君が失った臓器は二度と元には戻りません。潰れたのが腎臓だったから良かったものの、それ以外だとその時点で死んでいました。そして、貴方の腎臓はこれからずっと一つだけです」

「…………腎臓が、吹き飛んでたのか」

「六道君の足ではもう二度と立ち上がれません。骨だけじゃありません。筋肉も神経もズタズタ。痛いから歩けないという程度の話ではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「…………………………………………、」

 

 それが戦いの代償。

 一生引き摺る最悪の傷跡。

 もう二度と、俺は地面を立つことができない。

 

 ……()()()()()()()

 

 両腕に力を込め、転がるようにしてベッドを飛び出す。這いずってでも学校を目指す。

 

「うおおおオオアアアアアアアアアアアアッ‼︎‼︎」

「なんでッ⁉︎ どうして動けるんですか⁉︎ 私は六道君を死なせたくないんです‼︎ お願いですから私の言うことを聞いてください‼︎」

「俺をベッドに戻したら舌を噛み切って自殺するからな?」

「…………ッ‼︎⁉︎⁉︎」

「俺を死なせたくないってんなら、せいぜい俺が自殺しないように言うことを聞けよ‼︎」

 

 ブレンダ先輩との戦いで既に突破口は見つけている。

 俺を人質に取ればいい。そうすれば、俺を見捨てられないブレンダ先輩は驚くほど簡単に手球に取れる。

 

「どうしてッ、なんでそこまで貴方は……‼︎」

「立てない? 戦えない? そんな常識(ルール)を誰が決めたッ? 世界とか物理法則とか関係ねぇよッ、俺の邪魔するモノは全部ブッ壊す!」

「そんな根性論ッ、通るはずが……‼︎」

()()‼︎ 俺の世界観(ルール)に従いやがれッ‼︎」

 

 ()()()

 ()()()()()()()

 

 ギアが変わる。

 身体が再起動する。

 血液とは別の()()()が体内を循環する。

 

 ビキビキビキビギィィッ‼︎ と。

 足の骨が軋み、筋肉が蠢き、神経が叫ぶ。

 言葉に出来ない激痛が体を迸る。大量の汗が流れ、涙どころか鼻水すら垂れ流し、目に血が滲む。もう止めてくれと、肉体が泣き叫ぶ。

 

 だが、知るか。

 ()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「貴方は、本当に元はただの一般人だったんですか……?」

 

 ブレンダ先輩は怪物を見るような顔で呟いた。

 ハンガーに掛かった制服を取り、俺は返答する。

 

 

「俺は何処にでもいるありふれた普通の高校生だよ」

 

 


 

 

 九時一〇分。

 ブレンダ先輩は偵察がてら先に学校へ向かった。

 痛みのせいか、体の動きが鈍くぎこちない。

 ゆっくりと、時間をかけて制服に着替える。

 

 その最中、突然に扉が開く。

 ノックの音もインターホンの音もない。

 その少女は挨拶もなしにこう言った。

 

「忘れ物ですわよ」

 

 ぽいっ、と何かを投げ渡される。

 齧られた林檎のマークがついた電子端末……スマホだった。

 

 慌ててスマホをキャッチし、その時にやっと少女の姿を認識する。

 その少女はランドセルを背負った水色の髪の小学生(?)。

 

「…………なんだイヴリンか」

「なんだとは何ですの⁉︎」

 

 転生者であり、天使でもあるイヴリン。

 アドレイド曰く、肉体の持ち主である現世出身のエヴァと、憑依転生者である異世界出身のリィンが同時に存在しているらしい。

 

「現代人がスマホを忘れるとか信じられませんわ。いくら古い機種とはいえ……」

「見ただけで機種が分かるのか……。やっぱ、異能が電子機器関係だからか?」

「いえ、そうではありませんわ。そちらは転生者(わたくし)ではなく、天使(わたしたち)としての知識ですわよ」

「?」

「そのスマホを作っている企業……多国籍テクノロジー企業Edenは、天命機関の下部組織なのですわ。資金提供元(スポンサー)と言った方がいいかもしれませんが……」

 

 天命機関めちゃくちゃ生活に食い込んでるじゃねぇか!

 しかもエデン⁉︎ 四大企業(The Four)と呼ばれるまでに経済への影響力を持った企業の一つだぞ⁉︎

 

「お前らの資金ってちゃんと綺麗な所から来てたんだな……」

「そもそも天命機関は時代の最先端を行く技術を持った組織ですわよ? 最先端技術を開発する企業と連携しているのは当然ではなくって?」

「当然ではねぇよ」

 

 他の四大企業(The Four)も天命機関に関わってたりするのか? ここまで来たら陰謀論とかのヤツだろ。

 

「そんなことよりも、行きますのね?」

「ああ、行くね」

 

 話が切り替わる。

 心配している様子ではない。俺もイヴリンは大した関係性はなく、ただの一時的な共闘相手。知り合いの知り合いくらいの距離感だ。

 

「わたくしは別に止める気はありませんが……一つだけ、懸念事項を伝えておきますわ」

 

 懸念事項。

 何となく、イヴリンが何を言いたいのか既に分かっていた。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 六界列強(グレートシックス)・番外位。

 二十一世紀最悪の転生者にして最新の悪夢(ナイトメア)

 

「…………俺の前に姿を現していない時点で妙だとは思ったけど……」

「番外位の様子が怪しいのはいつもの事ですが、現在は大人しすぎて逆に怪しいのですわ」

「信用ねぇな、ほっといてもいいんじゃねぇの?」

「……あなたは、番外位が最悪の転生者と呼ばれる理由を知っていますか?」

「よく聞く〈堕胎事変(フォールダウン)〉ってヤツか?」

「それもありますわ。天命機関、六界列強(グレートシックス)、そのどちらにも大きな損害(ダメージ)を与えた最悪の事件。あの事件の首謀者ということで、彼女の悪名は一気に高まりましたわ。ですが、それ以上に……」

 

 一息溜めて、イヴリンは言う。

 

 

「彼女が誕生してから……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 全て。

 それは比喩でも何でもなく、文字通り全て。

 〈堕胎事変(フォールダウン)〉はその内のたった一例に過ぎない。

 

「事態が悪化して、同じタイミングで最悪の転生者の様子がおかしい。でしたら、彼女が犯人だと考えるのが自然ではなくって?」

「…………それが、どうした」

 

 折手メアが最悪な事くらい既に知ってるんだよ‼︎

 今更それくらいで揺らぐ訳がないだろう‼︎

 

「折手が何を考えていようが、俺が全部救ってやる」

「期待していますわよ………………最後に、人見知りの妹からの伝言ですわ」

 

 イヴリンは幼げな顔で笑った。

 

 

「『お姉ちゃんを助けてくれてありがとう』」

 

 


 

 

 九時三〇分。

 ようやくの思いで靴を履き、家を出る。

 進む度に痛む足を無視して、登校する。

 しかし、扉を開けたすぐそこでまたもや人と遭遇した。

 

「お前は…………」

「ジェンマと名乗ってるっす」

 

 修道服を身に纏った女性。

 熾天使(セラフィム)宝石(ダイヤ)”、洗礼名(コードネーム)をジェンマ。

 

 彼女のことはよく知らない。

 アドレイドから折手と戦ったという話は聞いたが、その折手がいないため情報がないのだ。

 しかし、その姿は折手の激闘を物語っており、右目を始めとして体中に包帯が巻かれている。

 

「何の用だ?」

「忠告を伝えに来たっす。()()()()()()()()()()()

「またかよ…………」

 

 その下りはもうやったんだよなぁ。

 

「この状況で最も避けないといけない事は何だと思うっすか?」

「……折手が敵に回ること」

「───()()()()()()()

「え?」

 

 いつもの折手メアが危険だ、という話ではない。

 これはもっと現実的な話。

 この世界で最も折手メアの心理に詳しい者は言う。

 

「敵対してもメアちゃんの目的はどうせ六道伊吹くんを輝かせることっす。だから、何の問題もないっすね」

「……そういや、折手と戦った時も折手の異能に助けられたっけ」

「もっと恐ろしいのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。《ご都合主義(デウス・エクス・マキナ)》が無ければ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 そうだ、今更に思う。

 二日前(きのう)の戦いには幸運が付き纏っていた。

 例えば、アドレイドとの戦いでは崩落する迷宮の中で()()()()()()()()()()()()()()。例えば、異能を過剰使用した代償も()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 俺は一度だって自力で勝利したことはない。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()

「……は?」

 

 

 それでもまだ底じゃない。

 下には下がある。

 

「最悪なのは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「イレ、ギュラー……」

「〈堕胎事変(フォールダウン)〉の時がそうだったらしいっすね。メアちゃんの筋書き(プロット)を破壊する怪物は六道伊吹くんだけじゃない」

 

 〈堕胎事変(フォールダウン)〉。

 未だ語られない最悪の事件。

 その事件で最も脅威だったのは六界列強(グレートシックス)でも熾天使(セラフィム)でもない。転生者でも天使でもない、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「心当たりがあるんじゃないっすか? 六界列強(グレートシックス)さえ倒せば解決だという思い込みは致命的っすよ」

「……そうだな。椎菜にしか見えないヤツがいて、状況が一切不明なんだ。だったら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 具体的に何があったのか。

 どうして金髪になったのかは分からない。

 しかし、少なくともディートリヒや折手メアすらも出し抜く事態に発展しているのは間違いない。

 

「栗栖椎菜ちゃんのプロファイリングはまだ終わってないっすけど、今一番狙われる可能性が高いのはメアちゃんっす。そして、メアちゃんはまだ本調子を取り戻していないっす」

 

 最後に。

 かつて折手メアの隣人だった彼女(かれ)はこう締めくくった。

 

 

「だから、メアちゃんから目を離しちゃダメっすよ。メアちゃんを守れるのは六道伊吹くんしかいないんだから」

 

 


 

 

 九時三〇分。

 六道伊吹とジェンマとの会話と同時刻。

 

 折手メアは二年八組の教室で、大人しく授業を受けていた。

 

(…………ボクは、何をしていたんだ……?)

 

 思い出すのは、一昨日の出来事。

 血の海の沈む六道伊吹の冷たい手。

 

(寒い…………)

 

 あの冷たさが頭から離れない。

 握り締めた手は白くなっていた。

 窓から二年一組の教室を眺める。しかし、そこに六道伊吹の姿はない。当然だ、彼はまだ重症で意識さえ戻っていないのだから。

 

(もしかして、ボクは最低だったんじゃないか? ボクはキミを───)

「───じゃあ、折手。ここの問題を解いてくれ」

 

 名前を呼ばれ、思考が断ち切られる。

 黒板に訳の分からない数式が書かれてあり、教師が折手メアを当てていた。一度席を立ち、教師に言う。

 

「すみません。聞いてませんでした」

「珍しいな? あと教科書も開いとけー」

 

 ざわざわとするクラスメイトを余所に、席に座る。

 今までこんなことはなかった。

 折手メアの考え事が遮られたことなど、たったの一度もない。

 そんな面白くないことは《ご都合主義(デウス・エクス・マキナ)》が許さない。

 

 偶然じゃない、勘違いじゃない。

 確信を持って、掌を眺めて呟く。

 

 

()()()()()()()……?」

 

 

 物語は魔女の手を離れて進み出す。

 

 







世界観:創作物語(メタフィクション)
転生者:折手(おりで)メア
グレード:第六界位(グレード6)
タイプ:領域(エリア)
ステータス:
 強度-E〜EX/出力-E〜EX/射程-E〜EX/規模-E〜EX/持続-E〜EX
異能:ご都合主義(デウス・エクス・マキナ)
終末摂理(ワールドエンド)『??』


遅くなった理由としては「毎週更新・一クール杯」に参加していたからです。詳しくは活動報告をご覧ください。
宜しければ、参加作品「あさおん☆魔術決闘ペニスフェンシング」もよろしくお願いします。十二話完結で読みやすいですよ。

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