公共交通不便地に投入した地域バスなのに…「運転手が足りない」民間業者、6地域の受託運行を返上 鹿児島市、タクシー3社へ代替ワゴンを委託へ
鹿児島市は20日、公共交通不便地で運行するコミュニティーバス「あいばす」を、谷山や喜入、郡山など6地域は3月末で廃止すると明らかにした。運行を受託する鹿児島交通(同市)が、運転手不足を理由に撤退するため。市は4月以降、暫定的に大型ワゴン車で代替運行する。 運転手足りないから、市バス貸し切り事業「撤退」…一転「継続」へ 市議会が異例の否決、ただし民間からの応援依頼は一時お断り 鹿児島市
同日の市地域公共交通会議で方針を説明し、了承された。市は今後、当該地域住民や利用者への周知を進める。 「あいばす」は2008年10月に運行が始まった小型マイクロバスで、定員20〜26人。市は現在11地域で走らせており、このうち谷山、同北部、同南部、伊敷西部、喜入、郡山の6地域は鹿児島交通、吉野、伊敷東部、吉田、松元の4地域は南国交通(同市)、小原地域は市交通局にそれぞれ運行を委託している。 鹿児島交通は25年3月末の契約満了をもって撤退する。会議で同社の担当者は「申し訳ないが、運転手不足に歯止めがかからず、一般路線バスの便数の維持もままならなくなっている」と述べた。 市は「あいばす」の代替として4月から1年間、乗客定員9人の大型ワゴン車を走らせる。経路やダイヤは現行と同じ。料金も変わらないが、支払いは現金のみとなる。市内のタクシー会社が運行を受託し、谷山・喜入は鹿児島第一交通、伊敷西部・谷山北部・同南部は鶴丸交通、郡山はあづま交通タクシーが担当する。
6地域の「あいばす」1便当たりの平均利用者数は、23年度2.4〜5.6人、24年度(4〜12月)2.7〜6.5人だった。時間帯によっては同時乗車人数が9人を超える便もあり、大型ワゴン車の定員を上回るため、市は前後の便への分散利用を呼びかける。 会議ではこのほか、吉野、吉田、松元地域の「あいばす」の減便や一部区間廃止方針も示され、了承された。いずれも利用低迷と運転手不足が理由。25年4月以降に適用される。
南日本新聞 | 鹿児島