『アディダス』に乗っ取られたサッカー日本代表の闇――本当に解任すべきは『日本サッカー協会』の面々だ
W杯2ヵ月前、『日本サッカー協会(JFA)』はヴァヒド・ハリルホジッチ代表監督を電撃解任した。ハリルホジッチ氏といえば、「デュエル(戦え)!」と軟弱な選手を指導してきたことで有名だが、その言葉通り、監督自ら巨大な敵と戦った結果、袋叩きになったという。ハリルホジッチ氏は相手チームではなく、誰と戦っていたのか? (取材・文/フリーライター 西本頑司)



試合前から勝負を捨てたのか――。2018年4月9日、JFAは代表監督のハリルホジッチを解任し、その後任をJFA技術委員長の西野朗にすると発表した。これに対してハリルホジッチは、同月21日に緊急来日。涙ながらに「ゴミ箱のように捨てられた」と逆ギレ会見。最早、日本中がサムライブルーに期待するどころか、勝ち点すら危ぶんで青褪めているのが実情だろう。何よりファンを激怒させたのが、後任人事である。W杯監督の座は、4年に一度、32人に与えられる最高のキャリアだ。「流石に西野はない」と然るサッカージャーナリストが呆れた声で説明する。「サッカーでは低迷したチームの監督を入れ替える、所謂“解任ブースト”は珍しくありません。今シーズン、開幕から連敗中だった浦和レッズは、この解任ブーストで4勝2分とチームを立て直しました。ヨーロッパには、残留専門の有能な短期型監督がいくらでもいます。抑々、日本代表監督の人選が難航するのも、4年間、日本に縛られる為であって、W杯数ヵ月の短期なら大物監督の招聘も可能でした。西野を選んだのは、ある意味、後任の当てもなくハリルホジッチを切った証拠。まったく酷い話ですよ」。実は予選突破以降、何度も出ていたハリルホジッチ解任に絡んで、後任の第一候補に上がっていたのが森保一(※オリンピック代表監督)だった。森保は2012年、『サンフレッチェ広島』の監督に就任するや、6年で3度優勝。2020年東京オリンピックでメダル獲得を期待される若き名将である。オリンピック代表監督は、23歳以上のオーバーエイジ枠の関係で、現代表の動向に加え、世界のサッカー情報にも精通している。オリンピックに向けて国際試合の経験を積ませる意味でも、打って付けの人材なのだ。
他にも、国民的人気と日本最高のキャリアを持つ岡田武史もいる。後任が森保や岡田ならば、国民の期待度も上がり、W杯に向けて盛り上がったことだろう。確かに、西野は歴代1位のJリーグ勝利数を持つ監督だが、この1年、真面な実績を残せず、しかも短期での強化を苦手にしている。今回、絶対に選んではいけない最悪の監督というのが、関係者の一致した意見なのだ。ちょっと探せばもっと良い監督が起用できたのに、何故敢えて西野なのか? ここに今回の解任劇の“闇”がある。『アディダス』である。日本代表のユニフォームスポンサーであるアディダスとJFAの“癒着”は、これまで何度も取り沙汰されてきた。それが、日本代表の“10番”をアディダスが決めているという事実である。10番は、漫画『キャプテン翼』以来、日本ではチームの顔・エースナンバーとなってきた。もう一度言うが、この特別な背番号をアディダスが決めているのは、都市伝説でも何でもなく“事実”である。その証拠に、イギリスのサッカーブランド『アンブロ』と契約する遠藤保仁が「10番はアディダスが決めている」と公言。スペインのプロサッカーリーグ『リーガエスパニョーラ』の『SDエイバル』に所属する乾貴士(※『アシックス』)も、「10番を貰うと何故か試合に出られなくなる」と嫌がるほど。逆に10番に拘った本田圭佑は、2010年南アフリカ大会後、監督に就任したアルベルト・ザッケローニに10番を直訴。ザックもエースの要求に快く了承しながら、その10番は何故か香川真司に渡った。その裏事情について、前出のサッカージャーナリストが解説する。「南ア大会時、香川は本田と同じミズノでしたが、大会後にアディダスと長期契約を結んだからですよ。それでアディダスは、香川を10番にするようにねじ込んだ。実は、この直後の2010年9月、ザックとザックファミリーのコーチ全員がアディダスと年間1000万円で契約しているんですよ。要は買収されたのです」。とはいえ、である。アディダスはJFAに年間30億円強のスポンサー料を払っている。その見返りに10番の指名権を得たとして、許容範囲と言えなくもない。問題なのは、アディダスの“推しメン”が悉く10番タイプではない点にあるのだ。実際、あのダサいユニフォームのセンス同様、アディダスの見る目は“節穴”と専ら。何せ、“日本の10番”として見い出し、売り込んできたのが、あの中村俊輔と香川真司なのである。俊輔とは2000年、「2年後の日韓W杯の中心選手になる」と期待して、年間5000万円を生涯に亘って支払うという破格の契約を結んだ。香川も同様に2010年、この生涯契約を結んでおり、契約金は両者共に総額25億円にもなるという。それだけのカネを投資した以上、10番をゴリ押しするのも無理はない。

しかし、中村・香川共に、先程のキャプテン翼で言えば、大空翼ではなく“岬くん”タイプと言っていい。エースの翼くんをアシストする2番手タイプの時に輝く選手なのだ。『セルティックFC』や『ボルシアドルトムント』では岬くん役に徹することで活躍してきた。そんな2人を10番にしたところで、エースとして活躍できる訳がない。だからこそ、2002年の日韓大会では、当時の代表監督だったフィリップ・トルシエが23番から10番になった俊輔を毛嫌いし、大会直前に俊輔をメンバーから外して、代わりに『プーマ』のシンボル選手である中山雅史を入れてしまう。それだけではない。南ア大会でもイビチャ・オシムの病気療養で後任となった岡田は、当初、アディダスの要求通り、俊輔中心のチームを継続した。そうして俊輔10番のチームが全く機能しないことを国民に見せつけた後、大会直前で俊輔を外し、正真正銘の10番タイプである本田と遠藤というミズノ&アンブロ中心のチームに切り替え、グループリーグを突破する。日韓と南ア大会は、日本代表が活躍して盛り上がった大会だが、そこにアディダスの“推しメン”はいなかったのだ。いや、いなかったからこそ日本代表が活躍したというのが実情だろう。節穴のアディダス“推しメン”は、チームにとってマイナスでしかなく、重要な試合では“10番を外す”のがサッカーファンたちの合い言葉になっているほどだ。先にも述べたが、アディダスは莫大な投資を香川に行なっている。南ア大会後に同じことが繰り返されるのを恐れて、これ以降、代表チームに強く干渉するようになる。それが今回のハリル解任へと繋がっていくのだ。
ザッケローニは2016年のブラジル大会で、アディダスの要望通り、10番の香川と心中して惨敗した。その後を受け継いだハビエル・アギーレは、八百長問題を引き起こしたことでもわかるように“カネで転ぶ”監督。だからアディダスの意向に忖度してきた。香川が招集できない時は、『ヴィッセル神戸』の若手MFである森岡亮太(※現在はベルギーの『ワースラント=ベフェレン』所属)を10番に起用、同じアディダス契約選手で香川より能力を低い選手にすることで、香川の10番復帰をアシストしてきた。アディダスにとって、サッカー日本代表は商品を売る“広告塔”に過ぎない。重要なのは“推しメン”がチームの顔であり続けることであって、最終予選を突破すれば、W杯本戦は「相手が強かった」と言い訳できる分、負けても構わないのだ。アディダスに忠実というだけでアギーレを起用した結果、八百長問題によって途中解任となり、急遽、ハリルホジッチが就任する。自業自得であろう。ただ、ハリルホジッチといえば、俊輔をメンバー登録から外しただけでなく、アディダスの不倶戴天の敵であるプーマの中山を当てつけのように起用したトルシエとそっくりの、エキセントリックなフランス人監督である。嫌な予感は最初からしていたのだろう。就任直後からハリルの評判が矢鱈と悪かったのは、「香川を外した時点で解任する」というアディダスの意向が働いていた可能性は高い。ハリルホジッチはトルシエ同様、“チームの中心選手”を外し、“特別扱いの選手”を叩くことでチームを掌握したがる。その牙は、本田や岡崎慎司以上にアディダスの“推しメン”である香川に向く。当然、香川に忖度もしなければ“アディダス案件”も考慮しない。これにJFA、特に西野等がやんわりと指摘してきたというが、この手のタイプは指摘されるほど敵愾心を募らせる。案の定、ハリルは過剰なまでに“アディダス枠”にブチギレてしまい、W杯で香川は起用しない可能性が強まった。“香川外し”は、ハリルジャパン最高の試合となった最終予選のオーストラリア戦で実績を残している。謂わば、香川抜きでグループ予選突破してしまい、あの“悪夢”の日韓・南アが再現しそうな雲行きになってきたのだ。もうおわかりだろう。だからこその“解任”だったのだ。後任と目されていた岡田が外れたのは、解任発表の1週間前に監督資格であるS級ライセンスを協会に返上していたことが原因だった。岡田は南アでアディダス“推しメン”の俊輔外しを実行した。後任に就けば、“香川縛り”の厳しい条件が突きつけられるのは間違いない。“逃げるは恥だが役に立つ”とばかりに即座に判断するあたり、流石は名将である。森保にせよ、選手を特別扱いせず、公平な起用で結果を残した監督である。「森保監督は、オリンピック監督の辞任を仄めかしてまで固辞したと言われています」(スポーツ紙記者)というから、こちらも最初から候補とはなり得なかった。外国人監督に声をかけなかったのも同様だろう。短期で立て直すタイプの監督は、チームの“癌”を取り除くことに長けている。今の日本代表を分析すれば、真っ先に香川を外すのは目に見えているからだ。

アディダスにすれば、トルシエの悪夢の再来であるハリルホジッチを解任した後は、全ての事情を理解している西野しか選択肢はない。西野も、たとえ惨敗しようが、次回2022年からW杯は48チーム、アジア枠は8.5まで増える。W杯出場は寝ていても大丈夫となる以上、「アディダスに媚びを売るほうがいい」と考えたのだろう。いずれにせよ、今回の問題は、アディダスの“推しメン”が10番タイプではないことが原因となっている。何故、本物の10番と契約しないのか? 実はアディダス、香川の後釜として、大迫勇也(※『1.FCケルン』)と柴崎岳(※『ヘタフェCF』)という10番タイプを抱えていた。両選手とも高校時代から大型契約を結び、いずれは生涯契約にする予定だったが、大迫は『鹿島アントラーズ』時代にとっとと『ナイキ』に鞍替えし、柴崎は2017年にアンブロに切り替えた。柴崎に至っては、アディダスの2017年モデルを公式戦で一度も履かずに、日本の『デサント』が特注モデルを作るアンブロを絶賛。「W杯用のシューズです」とインタビューで答えたほど。つまり、一流選手ほどアディダスから逃げ出すのだ。品質の悪いアディダスと契約するのは、カネで転んだ香川と宇佐美貴史ぐらい。それがアディダスのゴリ押しを加速させているのだ。それにしても情けないのはJFAであろう。いくら大口スポンサーとはいえ、ここまで言いなりになっているのは何故なのか? 「代表戦では、大物選手の招集で所属クラブと揉めるんですが、その面倒な交渉をアディダスが引き受けてくれて、海外遠征等も現地の交渉までやってくれる。ナイキのほうが高額な提示をしたにも拘わらず、アディダスを選んだのも、自分たちが楽をしたいからですよ」(前出のサッカージャーナリスト)。解任すべきはハリルホジッチではなく、JFAのお歴々なのである。 《敬称略》
第33号掲載
試合前から勝負を捨てたのか――。2018年4月9日、JFAは代表監督のハリルホジッチを解任し、その後任をJFA技術委員長の西野朗にすると発表した。これに対してハリルホジッチは、同月21日に緊急来日。涙ながらに「ゴミ箱のように捨てられた」と逆ギレ会見。最早、日本中がサムライブルーに期待するどころか、勝ち点すら危ぶんで青褪めているのが実情だろう。何よりファンを激怒させたのが、後任人事である。W杯監督の座は、4年に一度、32人に与えられる最高のキャリアだ。「流石に西野はない」と然るサッカージャーナリストが呆れた声で説明する。「サッカーでは低迷したチームの監督を入れ替える、所謂“解任ブースト”は珍しくありません。今シーズン、開幕から連敗中だった浦和レッズは、この解任ブーストで4勝2分とチームを立て直しました。ヨーロッパには、残留専門の有能な短期型監督がいくらでもいます。抑々、日本代表監督の人選が難航するのも、4年間、日本に縛られる為であって、W杯数ヵ月の短期なら大物監督の招聘も可能でした。西野を選んだのは、ある意味、後任の当てもなくハリルホジッチを切った証拠。まったく酷い話ですよ」。実は予選突破以降、何度も出ていたハリルホジッチ解任に絡んで、後任の第一候補に上がっていたのが森保一(※オリンピック代表監督)だった。森保は2012年、『サンフレッチェ広島』の監督に就任するや、6年で3度優勝。2020年東京オリンピックでメダル獲得を期待される若き名将である。オリンピック代表監督は、23歳以上のオーバーエイジ枠の関係で、現代表の動向に加え、世界のサッカー情報にも精通している。オリンピックに向けて国際試合の経験を積ませる意味でも、打って付けの人材なのだ。
他にも、国民的人気と日本最高のキャリアを持つ岡田武史もいる。後任が森保や岡田ならば、国民の期待度も上がり、W杯に向けて盛り上がったことだろう。確かに、西野は歴代1位のJリーグ勝利数を持つ監督だが、この1年、真面な実績を残せず、しかも短期での強化を苦手にしている。今回、絶対に選んではいけない最悪の監督というのが、関係者の一致した意見なのだ。ちょっと探せばもっと良い監督が起用できたのに、何故敢えて西野なのか? ここに今回の解任劇の“闇”がある。『アディダス』である。日本代表のユニフォームスポンサーであるアディダスとJFAの“癒着”は、これまで何度も取り沙汰されてきた。それが、日本代表の“10番”をアディダスが決めているという事実である。10番は、漫画『キャプテン翼』以来、日本ではチームの顔・エースナンバーとなってきた。もう一度言うが、この特別な背番号をアディダスが決めているのは、都市伝説でも何でもなく“事実”である。その証拠に、イギリスのサッカーブランド『アンブロ』と契約する遠藤保仁が「10番はアディダスが決めている」と公言。スペインのプロサッカーリーグ『リーガエスパニョーラ』の『SDエイバル』に所属する乾貴士(※『アシックス』)も、「10番を貰うと何故か試合に出られなくなる」と嫌がるほど。逆に10番に拘った本田圭佑は、2010年南アフリカ大会後、監督に就任したアルベルト・ザッケローニに10番を直訴。ザックもエースの要求に快く了承しながら、その10番は何故か香川真司に渡った。その裏事情について、前出のサッカージャーナリストが解説する。「南ア大会時、香川は本田と同じミズノでしたが、大会後にアディダスと長期契約を結んだからですよ。それでアディダスは、香川を10番にするようにねじ込んだ。実は、この直後の2010年9月、ザックとザックファミリーのコーチ全員がアディダスと年間1000万円で契約しているんですよ。要は買収されたのです」。とはいえ、である。アディダスはJFAに年間30億円強のスポンサー料を払っている。その見返りに10番の指名権を得たとして、許容範囲と言えなくもない。問題なのは、アディダスの“推しメン”が悉く10番タイプではない点にあるのだ。実際、あのダサいユニフォームのセンス同様、アディダスの見る目は“節穴”と専ら。何せ、“日本の10番”として見い出し、売り込んできたのが、あの中村俊輔と香川真司なのである。俊輔とは2000年、「2年後の日韓W杯の中心選手になる」と期待して、年間5000万円を生涯に亘って支払うという破格の契約を結んだ。香川も同様に2010年、この生涯契約を結んでおり、契約金は両者共に総額25億円にもなるという。それだけのカネを投資した以上、10番をゴリ押しするのも無理はない。
しかし、中村・香川共に、先程のキャプテン翼で言えば、大空翼ではなく“岬くん”タイプと言っていい。エースの翼くんをアシストする2番手タイプの時に輝く選手なのだ。『セルティックFC』や『ボルシアドルトムント』では岬くん役に徹することで活躍してきた。そんな2人を10番にしたところで、エースとして活躍できる訳がない。だからこそ、2002年の日韓大会では、当時の代表監督だったフィリップ・トルシエが23番から10番になった俊輔を毛嫌いし、大会直前に俊輔をメンバーから外して、代わりに『プーマ』のシンボル選手である中山雅史を入れてしまう。それだけではない。南ア大会でもイビチャ・オシムの病気療養で後任となった岡田は、当初、アディダスの要求通り、俊輔中心のチームを継続した。そうして俊輔10番のチームが全く機能しないことを国民に見せつけた後、大会直前で俊輔を外し、正真正銘の10番タイプである本田と遠藤というミズノ&アンブロ中心のチームに切り替え、グループリーグを突破する。日韓と南ア大会は、日本代表が活躍して盛り上がった大会だが、そこにアディダスの“推しメン”はいなかったのだ。いや、いなかったからこそ日本代表が活躍したというのが実情だろう。節穴のアディダス“推しメン”は、チームにとってマイナスでしかなく、重要な試合では“10番を外す”のがサッカーファンたちの合い言葉になっているほどだ。先にも述べたが、アディダスは莫大な投資を香川に行なっている。南ア大会後に同じことが繰り返されるのを恐れて、これ以降、代表チームに強く干渉するようになる。それが今回のハリル解任へと繋がっていくのだ。
ザッケローニは2016年のブラジル大会で、アディダスの要望通り、10番の香川と心中して惨敗した。その後を受け継いだハビエル・アギーレは、八百長問題を引き起こしたことでもわかるように“カネで転ぶ”監督。だからアディダスの意向に忖度してきた。香川が招集できない時は、『ヴィッセル神戸』の若手MFである森岡亮太(※現在はベルギーの『ワースラント=ベフェレン』所属)を10番に起用、同じアディダス契約選手で香川より能力を低い選手にすることで、香川の10番復帰をアシストしてきた。アディダスにとって、サッカー日本代表は商品を売る“広告塔”に過ぎない。重要なのは“推しメン”がチームの顔であり続けることであって、最終予選を突破すれば、W杯本戦は「相手が強かった」と言い訳できる分、負けても構わないのだ。アディダスに忠実というだけでアギーレを起用した結果、八百長問題によって途中解任となり、急遽、ハリルホジッチが就任する。自業自得であろう。ただ、ハリルホジッチといえば、俊輔をメンバー登録から外しただけでなく、アディダスの不倶戴天の敵であるプーマの中山を当てつけのように起用したトルシエとそっくりの、エキセントリックなフランス人監督である。嫌な予感は最初からしていたのだろう。就任直後からハリルの評判が矢鱈と悪かったのは、「香川を外した時点で解任する」というアディダスの意向が働いていた可能性は高い。ハリルホジッチはトルシエ同様、“チームの中心選手”を外し、“特別扱いの選手”を叩くことでチームを掌握したがる。その牙は、本田や岡崎慎司以上にアディダスの“推しメン”である香川に向く。当然、香川に忖度もしなければ“アディダス案件”も考慮しない。これにJFA、特に西野等がやんわりと指摘してきたというが、この手のタイプは指摘されるほど敵愾心を募らせる。案の定、ハリルは過剰なまでに“アディダス枠”にブチギレてしまい、W杯で香川は起用しない可能性が強まった。“香川外し”は、ハリルジャパン最高の試合となった最終予選のオーストラリア戦で実績を残している。謂わば、香川抜きでグループ予選突破してしまい、あの“悪夢”の日韓・南アが再現しそうな雲行きになってきたのだ。もうおわかりだろう。だからこその“解任”だったのだ。後任と目されていた岡田が外れたのは、解任発表の1週間前に監督資格であるS級ライセンスを協会に返上していたことが原因だった。岡田は南アでアディダス“推しメン”の俊輔外しを実行した。後任に就けば、“香川縛り”の厳しい条件が突きつけられるのは間違いない。“逃げるは恥だが役に立つ”とばかりに即座に判断するあたり、流石は名将である。森保にせよ、選手を特別扱いせず、公平な起用で結果を残した監督である。「森保監督は、オリンピック監督の辞任を仄めかしてまで固辞したと言われています」(スポーツ紙記者)というから、こちらも最初から候補とはなり得なかった。外国人監督に声をかけなかったのも同様だろう。短期で立て直すタイプの監督は、チームの“癌”を取り除くことに長けている。今の日本代表を分析すれば、真っ先に香川を外すのは目に見えているからだ。
アディダスにすれば、トルシエの悪夢の再来であるハリルホジッチを解任した後は、全ての事情を理解している西野しか選択肢はない。西野も、たとえ惨敗しようが、次回2022年からW杯は48チーム、アジア枠は8.5まで増える。W杯出場は寝ていても大丈夫となる以上、「アディダスに媚びを売るほうがいい」と考えたのだろう。いずれにせよ、今回の問題は、アディダスの“推しメン”が10番タイプではないことが原因となっている。何故、本物の10番と契約しないのか? 実はアディダス、香川の後釜として、大迫勇也(※『1.FCケルン』)と柴崎岳(※『ヘタフェCF』)という10番タイプを抱えていた。両選手とも高校時代から大型契約を結び、いずれは生涯契約にする予定だったが、大迫は『鹿島アントラーズ』時代にとっとと『ナイキ』に鞍替えし、柴崎は2017年にアンブロに切り替えた。柴崎に至っては、アディダスの2017年モデルを公式戦で一度も履かずに、日本の『デサント』が特注モデルを作るアンブロを絶賛。「W杯用のシューズです」とインタビューで答えたほど。つまり、一流選手ほどアディダスから逃げ出すのだ。品質の悪いアディダスと契約するのは、カネで転んだ香川と宇佐美貴史ぐらい。それがアディダスのゴリ押しを加速させているのだ。それにしても情けないのはJFAであろう。いくら大口スポンサーとはいえ、ここまで言いなりになっているのは何故なのか? 「代表戦では、大物選手の招集で所属クラブと揉めるんですが、その面倒な交渉をアディダスが引き受けてくれて、海外遠征等も現地の交渉までやってくれる。ナイキのほうが高額な提示をしたにも拘わらず、アディダスを選んだのも、自分たちが楽をしたいからですよ」(前出のサッカージャーナリスト)。解任すべきはハリルホジッチではなく、JFAのお歴々なのである。 《敬称略》
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