計算問題の中には、工夫次第でややこしい計算を回避し、素早く答えが出せるものがあります。難しそうな問題でもあきらめないで、どのような工夫をしたらよいかを考えてみましょう。
さて、今回の問題、あなたは10秒で計算できるでしょうか?
問題
次の計算をしなさい。
7+99−7×99÷7
※制限時間は10秒です。
解答
正解は、「7」です。
どうやって計算すれば、制限時間内の解答が可能だったのでしょうか。
次の「ポイント」で、計算を簡略化する工夫を紹介していますので、ぜひご覧ください。
ポイント
今回の問題のポイントは、「掛け算と割り算を一緒にすること」と「足し算よりも引き算を先にすること」です。
まず、この問題、どこから計算すればよいか分かりましたか?
式に複数の四則演算が含まれている場合、次の計算順序のルールに従って計算する必要があります。
<計算順のルール>
次の順序で計算します。
1.( )の中
2.掛け算・割り算
3.足し算・引き算
※同じ優先順位の計算がある場合は、左から計算します。
今回の問題には、( )が含まれていないので、まず掛け算と割り算から計算をします。
7+99−7×99÷7
99という大きな数字が含まれている掛け算とその結果に対する割り算は、時間制限のある中では厳しい計算となりそうですね。
そこで、掛け算と割り算を一気に計算できないかを考えてみましょう。
この式をよく見ると、「割り算の割る数(7)」は「直前の掛け算の掛けられる数(7)」と同じだと分かります。このような形をしている計算では、掛け算と割り算をし終わった後の答えは、掛け算の掛ける数と一致します。
■(掛けられる数)×▲(掛ける数)÷■(掛けられる数と同じ数で割る)=▲(掛ける数)
<成り立つ理由>
■×▲÷■
=(■×▲)/■ ←割り算を分数で表し、■で分子分母を約分する
=▲/1
=▲
このことを利用すると、次のように掛け算と割り算の答えを一瞬で出すことができます。
7+99−7×99÷7
=7+99−99
とても簡単に計算が進みましたね。
さて、次にどこを計算すればよいでしょうか。
残りは足し算と引き算で、この二つの優先順位は同じです。「同じ優先順位の計算がある場合は、左から計算」するというルールに従えば、足し算から計算するのが正しいですね。
しかし、「99−99」という部分はとても計算しやすそうですよね。時間を短縮するため、「99−99」から計算してはいけないのでしょうか?
実は、「99−99」から計算することは問題ありません。なぜなら、式が足し算だけで構成されている場合は、どこから計算してもかまわないからです。これを、加法の結合法則といいます。
<加法の結合法則>
(■+▲)+〇=■+(▲+〇)
「99−99」は引き算ですが、「99+(−99)」として足し算の形に変換することができます。すると、式は足し算だけになるため、加法の結合法則が使えるようになります。
加法の結合法則を利用して、残りの式を簡単に計算する手順は次の通りです。
7+99−99
=7+99+(−99)
=7+{99+(−99)} ←99+(−99)を先に計算する
=7+(99−99)
=7+0
=7
これで、足し算と引き算も簡単に計算できましたね。
まとめ
今回の問題、どのような工夫をすればすぐに答えを出せたのか、分かりましたか?
掛け算と割り算を一緒にしたり、加法の結合法則を使って計算の順序を変えたりする工夫は、計算をとてもシンプルにしてくれます。計算がシンプルになれば、誤答することも少なくなり、速く正確な計算につながります。
ぜひ多くの問題に挑戦して、さまざまな工夫の仕方を身に着けてください。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。
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