「つば九郎」がカラオケ店でうろたえた夜「中身の人なんていません」 同世代記者が悼む
これまでヤクルトで球団マスコット「つば九郎」を支えてきた社員スタッフが永眠した。19日にヤクルトが球団公式ホームぺージ上で発表。球団マスコットとして、ここまで育ててくれた功績に感謝と敬意を表したい。
とにかくヤクルト球団の発表に大きな衝撃を受け、余りの悲しみにしばらく放心状態になった。ここは大人の話で、つば九郎が着ぐるみであり、中身には生身の人間が入っていることをバラすことをご理解いただきたい。僕はその人物に1999年ヤクルト担当記者の時代から、懇意にしてもらったことに感謝を込めて追悼原稿を書かせていただく。
思い出に残っているのは都内の某カラオケ店での出来事。その場には某テレビ局関係者を含め楽しい面々が勢ぞろいしていた。
その場で僕が「はーい、つば九郎の中身の人ですよ~」と紹介したところ「ノーノーノー! つば九郎に中身の人なんていませんから。つば九郎はつば九郎です!」とうろたえまくっていた。
現場では悪ふざけをし合って楽しい時間を過ごした。神宮球場につば九郎が登場すると、悪がらみをしまくった。当時、ヤクルトに在籍していた高橋智外野手と一緒にボディーブローを打ち込んだ数は数えきれない。
スタンドの燕党にはバレない音量で「やめて~、着ぐるみなんで痛くないけどね~」とやり取りしたことが昨日のように感じる。
球団はつば九郎の今後の活動について「しばらくの間休止」としている。加えて「故人のプライバシーを尊重し、温かく見守りくださいますようお願い申しあげます」ともつづっている。
ヤクルトの本拠地・神宮球場での試合後、一緒に飲んだ思い出話は書こうと思えば尽きない。しかし、彼が酷暑の中でも「つば九郎」であり続けた努力をリスペクトするからこそ、これ以上は控える。
同世代で同じ時代を野球にささげた仲間として、謹んでご冥福をお祈りさせていただきます。つば九郎、本当にありがとうね。合掌――。