導入が拡大している大学の「女子枠」をめぐり、大手予備校「河合塾」が高校生を対象としたアンケートを2024年11月に実施したところ、「女子枠に賛成」という回答した高校生が前回調査(23年1月)に比べ、9ポイントも減少するという結果になった。前回調査では64・7%が「女子枠に賛成」と回答したが、今回は56・0%と減少したという。河合塾では女子枠の拡大が進むなか、高校生の支持が伸び悩む結果となった、としている。
アンケートは全国の高校1年生、2年生を対象にWEBアンケートで、24年11月3日から12月10日に実施。3762人から回答があった。
「工学部など女子比率の少ない学部に女子枠を導入する取り組みをどう受け止めますか」という質問に対し賛成は56・0%、反対は44・0%という結果だった。23年1月に行った同様のアンケートでは賛成64・7%、反対は35・3%だったという。
賛成の理由としては「理系に女性が増えることで多様な視点が生まれる」「女性の活躍の場が広まる」といった意見があったという。
一方、反対する理由としては「入試は男女平等であるべき」「(女子枠により)かえって男女差別になるのでは」といった回答が寄せられ、河合塾では「女子枠が掲げる理念や狙いが当事者である高校生に十分に伝わっていない現状が浮き彫りになった」としていた。
女子枠は、出願者を女子に限定した入試制度で、主に理工系学部の総合型・学校推薦型選抜で行われている。大学によって志願動向に大きな差があるといい、人気の大学もある半面、志願者が募集人数に満たないケースや志願者が全員合格というケースもあるという。
24年入試の女子枠では、東北工業大で募集人員17人に対し志願者ゼロ。国公立でも琉球大工学部で募集人員20人に対し志願者数は2人で合格者が2人、北見工業大工学部で募集人員16人に対し志願者は13人で全員合格だったという。
近藤治・主席研究員は「心情的に男女差別や不平等を感じる生徒が多いようだが、さまざまなバイアスによって女子が進学しづらかった学部を受験しやすい環境を作った点で女子枠には意義がある。大学は女子の増加によるトータルメリットをもっとアピールする必要がある」と指摘していた。