事務所関係者も乃木坂の2人も、表情がやや引きつったように見えた。もちろん記者も。「ちょ、ちょっと」と言いかけ、椅子から腰が浮いた。

でも、マジックの「キュキュッ」という音は止まらない。フリップは次々とめくられていった。さすがにやばいかな…。でも、絶妙なところを突き続けていた。止めに入るのはやめた。気が付けばみんな笑顔で、声を出して笑っていた。「よかったでしょ? ふりっぷげいは ぎりぎりをせめないとね」。取材後、つば九郎は会心のドヤ顔だったように見えた。

つば九郎の表情は常に変わらない。だが、心の声はいつも伝わってきた。人を楽しませるのが好きだった。人を喜ばせるのが好きだった。人を驚かせるのが好きだった。人を面白くいじるのが好きだった。ルービーが好きだった。公営競技が好きだった。スワローズが好きだった。ファンが好きだった。神宮球場が好きだった。野球が好きだった。人が傷つくのは嫌いだった。人が悲しむのは嫌いだった。うそをつくのも、つかれるのも嫌いだった。

だからこそ、だれからも愛された。

つば九郎の周りは、いつも「えみふる」だった。

天国にもスケッチブックとマジックとルービーがいっぱいありますように。本当にありがとうございました。合掌。【13、14、18年ヤクルト担当=浜本卓也】