岩屋外相 核禁条約の締約国会議 政府はオブザーバー参加見送り

3月の核兵器禁止条約の締約国会議について、岩屋外務大臣は核兵器国がいない会議で核軍縮を進めるのは困難で、核抑止が不可欠な中、安全保障にも支障を来すおそれがあるなどとして、日本政府のオブザーバー参加を見送ることを明らかにしました。

核兵器禁止条約をめぐって石破総理大臣は、ノーベル平和賞を受賞した日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会などからの要請も踏まえ、3月にニューヨークで開かれる締約国会議にオブザーバー参加するかどうか、他国の例も検証しつつ検討するとしていました。

岩屋外務大臣は記者会見で、核兵器禁止条約に核兵器国が参加していないことを踏まえ、「核兵器国を交えずに核軍縮を進めることは難しく、国際的な核軍縮は、核兵器国と非核兵器国が広く参加するNPT=核拡散防止条約のもとで進めていくことが、引き続きより望ましいと考える」と述べました。

そのうえで、アメリカによる核の抑止力も念頭に「核による『拡大抑止』が不可欠だ。オブザーバー参加は、わが国の核抑止政策について、誤ったメッセージを与え、平和と安全の確保に支障を来すおそれがある」と述べ、参加を見送ることを明らかにしました。

そして、原爆投下から80年となることし、被爆者とも連携し、NPTの枠組みのもとで核兵器廃絶への実践的な取り組みを進めていく考えを強調しました。

政府・与党 自民は議員の派遣見送り 公明のみ派遣する方向

政府・与党は、3月に開かれる核兵器禁止条約の締約国会議について、議論の内容を把握し、今後の取り組みにいかすことが重要だとして、当初、自民・公明両党の議員を派遣することを検討していましたが、自民党は一部から異論が出たため党としての派遣を見送り、公明党のみ派遣する方向となりました。

公明党の斉藤代表は「誠に残念でならず、なぜ見送りの判断になったのか、政府には丁寧な説明を求めたい。締約国会議には、公明党から議員を派遣する予定で、帰国後には石破総理大臣や岩屋外務大臣に対し、会議の報告を直接届けたい」とのコメントを発表しました。

日本被団協 田中代表委員「多少期待していたが残念だ」

岩屋外務大臣が、3月にニューヨークで開かれる核兵器禁止条約の締約国会議に日本政府のオブザーバー参加を見送ることを明らかにしたことについて、日本被団協=日本原水爆被害者団体協議会の田中熙巳代表委員はNHKの取材に対し、「日本政府としてのまっとうな判断は会議に出席することだ。総理大臣も代わり日本の姿勢を示すいいチャンスとなるはずで、多少期待もしていたが、参加しないという判断は残念だ。日本政府には締約国の一員として出席することを望んでおり、これからも訴えていきたい」と話しています。

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