ファジアーノ岡山 初のJ1昇格決定 プレーオフ決勝で勝利

サッカーJ2、ファジアーノ岡山は、J1への昇格をかけたプレーオフの決勝でベガルタ仙台に2対0で勝ち、初めてのJ1昇格を決めました。

今シーズン、リーグ戦5位のファジアーノは、ホームのシティライトスタジアムで行われたJ1昇格プレーオフの決勝でリーグ戦6位のベガルタ仙台と対戦しました。
ファジアーノは、リーグ戦の成績がベガルタより上位のため、勝つか引き分けるかでJ1昇格が決まります。
およそ1万4000人のサポーターが見守るなか、ファジアーノ岡山は前半20分、末吉塁 選手のゴールで先制しました。
後半8分、ペナルティーエリア内からの相手選手のシュートをゴールキーパーのブローダーセン選手がセーブするなど堅い守りも光りました。
そして、後半16分には本山遙 選手がゴールを決め、リードを広げました。
ファジアーノは2対0で勝ち、Jリーグ参入から16年で初めてのJ1昇格を決めました。
岡山県にJ1のサッカーチームが誕生するのは初めてです。

【木山監督 “昇格できて感無量”】
ファジアーノ岡山の木山隆之 監督は、「きょう選手たちは試合が始まった時から何も恐れることなくプレーしていた。自分たちらしく強い守りをしながら、前に出て行くプレーが出ていたので、安心して見ていた。自分たちがいま頑張れているのは、クラブ創設時から頑張ってきた人たちの歴史の積み重ねがあるからで、昇格できて感無量だ」と話していました。

【キャプテン 竹内選手 “みんなの勝利”】
ファジアーノ岡山のキャプテン、竹内涼 選手は、「選手やスタッフだけでなく、スタジアムに来てくれた人や創設からずっと応援してくれている人たちの思いがここまでチームを引っ張ってくれた。そういう人たちみんなでつかみとった勝利だ」と話していました。

【本山選手 “振り抜くだけ”】
2点目を挙げたファジアーノ岡山の本山遙 選手は、「ルカオが完璧なパスをくれたので振り抜くだけだった。おととしも去年もサポーターに悔しい思いさせてしまい、ことしこそはと選手全員で思っていたので勝つことができてよかった」と話していました。

【ファジアーノのあゆみ】
ファジアーノ岡山は、岡山県全域をホームタウンとするクラブで、川崎製鉄水島サッカー部OBのチームを中心に2003年に発足しました。
チーム名の「ファジアーノ」は、イタリア語で岡山県の鳥、キジを意味します。
地元に伝わる桃太郎の物語に登場するキジにちなんで命名されました。
将来のJリーグ入りを目指し、2004年に県のリーグからスタートし、その後、地域リーグを経て2008年にはアマチュア最高峰のリーグ、JFL=日本フットボールリーグに昇格しました。
そして、JFL1年目でリーグ4位に入り、念願のJ2昇格を決めまたが、昇格直後の2009年は、10連敗を喫するなど最下位に沈み、その後もJ1昇格争いに関わることができないシーズンが続きました。
大きく躍進したのは、2016年でした。
日本代表の経験もある岩政大樹 選手や加地亮 選手などを擁してリーグ6位に入り、初めてJ1昇格プレーオフに進出しました。
一方、ホームゲームの入場者数は年々増加し、2016年には平均入場者数が初めて1万人を超えるなど徐々に地元に定着していきました。
木山隆之 監督が就任した2022年は、リーグ戦で過去最高の3位に入りましたが、プレーオフ初戦で敗れました。
固い守りからボールを奪い相手の守備が整わない間に攻撃に持ち込むのがチームの特徴で、今シーズンは前線からの守備にも磨きをかけ、無失点試合の数がリーグトップになるなど、シーズンを通してプレーオフ圏内の6位を維持する安定した戦いぶりをみせていました。

【ファジアーノ 今季の戦い】
今シーズン、J2参入から16年目となるファジアーノ岡山は、10位に終わった昨シーズンからの巻き返しを図り、新たに13人の選手を加えてスタートしました。
開幕戦の先発メンバーには、6人の新加入選手が名を連ね、3対0で快勝。
その後、第7節まで4連勝を含む負けなしで進み、一時は首位に立つなどスタートダッシュに成功します。
夏には5試合連続で引き分けるなど勝ちきれない時期もありましたが、シーズン終盤には、新加入で、今シーズンチームトップの13得点を記録した岩渕弘人 選手の活躍もあり、接戦を制する試合が増えました。
チームの持ち味でもある守備でも新加入の選手が活躍しました。
東京オリンピックのドイツ代表でゴールキーパーのスベンド・ブローダーセン 選手を中心にリーグ屈指の守りの堅さが光り、無失点試合はリーグトップの20を数えました。
最終的にシーズンを5位で終え、3度目のJ1昇格をかけたプレーオフへの進出を決めました。
プレーオフ準決勝の対戦相手は、2年前のプレーオフで0対3と大敗したモンテディオ山形でしたが、ことしは逆に3対0で勝って雪辱を果たし、決勝に駒を進めていました。

【J1昇格の意味】
Jリーグの歴史やスポーツと地域の結びつきなどに詳しい元NHKアナウンサーで、法政大学の山本浩 名誉教授は、「ファジアーノ岡山がJ1に昇格することでクラブとしての商品価値が上がり、経済的な効果がある」と指摘します。
まず、J2からJ1に昇格することでリーグからの分配金が増え、より大きな企業がスポンサーになったり、スポンサーからの出資金が増えたりすることも多いといいます。
さらに、岡山県の両隣、兵庫県のヴィッセル神戸と広島県のサンフレッチェ広島は、今シーズン、優勝争いをしている強豪ですが、それらをはじめ、J1の各クラブのサポーターが岡山県を訪れることになり、地域経済への波及効果も期待できるとのことです。
その上で、山本さんは「スポーツの魅力は3つある」と話します。
1つ目は、パフォーマンス。
レベルの高いプレーは、それだけで人をひきつける力があります。
2つ目は、ライバル同士の戦い。
大学野球の早慶戦のような長年のライバルとの対戦は多くの人が関心を持ちます。
3つ目は、かけがえのない存在です。
学校の運動会は、レベル高いわけではありませんが、親は、子どもというかけがえのない存在が頑張っている姿を楽しみにしています。
ファジアーノの存在は、この3つ目の魅力にあるといいます。
山本さんは「Jリーグは地域との密着を大事にしている。つまり、“かけがえのなさ”を追求するという特徴がある。岡山県の人にとってファジアーノが“おらが街のチーム”で、その存在は大きい。かけがえのないおらが街のチームだからこそ、応援する気持ちが高まる」と説明します。
さらに、J1ではプレーのレベルも上がり、それが人をひきつけることにもつながるといいます。
それに加えて、J1でプレーをすると、日本代表を選考するにあたっての視察や海外クラブからオファーされる機会も出てくるほか、ACL=アジアチャンピオンズリーグへの出場も目標にすることができ、世界と近づくことになります。
それは「選手にとって大きなモチベーションになる」と山本さんは指摘します。
クラブ創設からおよそ20年、Jリーグ参入から16年目にして大きな扉を開けたファジアーノ。
これから新たな挑戦が始まります。

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