アルマゲドンが現実に?2032年、小惑星衝突の可能性は“現状2.2%”…「これはSFではなく“サイエンスノンフィクション”」地球どう守るか
■衝突回避計画
衝突回避の方法として、NASAの“DART計画”がある。2022年、直径160mの小惑星に探査機をぶつける実験を行い、小惑星の軌道を変えることに成功している。他にも、「核爆弾で爆破」「宇宙船を横付け」「帆を付ける」などの手段も検討されている。 浦川氏によると、今回の「2.2%」という確率は、「公表されていて誰でも知れる状態だ。IAWN(国際小惑星警報ネットワーク)で議論されていて、2.2%は『天文学者は注意して観測しよう』というレベル」だそうだ。 「もしも」に備えたシミュレーションは、これまでも行われてきたという。「2017年に日本で国際会議があり、『もし10年後に200mの小惑星が東京に落ちたら』をロールプレイングした。『いつのタイミングで知らせるか』『東京からずれても、中国に落ちたら誰が責任を取るのか』などを議論した」。 もし地球に落下するとなれば、どのような対策ができるのか。防衛省防衛研究所・防衛政策研究室長の高橋杉雄氏は「落下地点が正確に分かった段階で、何ができるかが決まる。人が住んでいるところに落ちるなら避難が必要だ。海なら津波対策を要する」と話す。 2017年の国際会議では、「どの経済レベルの都市なら助けるのか」という議論があった。浦川氏は「砂漠の中心に落ちたとき、世界中の資金を使って助けるのか。ウルグアイの人が『(自国の首都の)モンテビデオならどうするか』と質問してきた」と振り返る。
■「小惑星に関してはサイエンスノンフィクション」
エンジニアで起業家・作家の安野貴博氏は、「SF作家が言っていたことが、現実になるケースは結構ある」と語る。「“コンピューターウイルス”という単語は、SF作品で初登場した。VRゴーグルも1935年のSF作品で初めて描かれた。作家の思いつきが、科学として実現することはある」。 天体被害の回避を、SF作品ではどう描いてきたか。映画『アルマゲドン』では、小惑星に石油掘削チームが着陸し、内部に核爆弾を設置し爆破した。アニメシリーズ『機動戦士ガンダム』などでは、宇宙にコロニーを建造し移住。映画『妖星ゴラス』では、南極に巨大なジェット噴射口を作り、地球を動かした。 高橋氏は「もっともらしいSF作品は、現実の延長になってしまう」と指摘する。「AIを『人間を支配する悪魔』として描くSF作品もあるが、最近ではChatGPTを普通に使っている。『誰もが使えるAI』は、意外とSFになかった。本当の人間の営みは予想しにくいのではないか」。 “小惑星衝突”と聞くと、SFチックなイメージがある。浦川氏は「今回の小惑星に関してはサイエンスノンフィクション。リアルに起きていることで、人間が小惑星という共通の敵を前に、一致団結できるかが問われている」としつつ、「研究者として言い切るのは怖いが、今回はたぶん大丈夫だから心配しないで」と呼びかけた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部