「患者受け入れ どうなる」 みちのく記念病院(青森県八戸市)元院長ら逮捕 地域医療への影響懸念
青森県八戸市の「みちのく記念病院」で発生した患者間の殺人事件は14日、当時の院長で病院運営法人理事長の容疑者の男(61)と、殺された患者の主治医だった容疑者の男(60)が事件を隠蔽(いんぺい)しようとした疑いで逮捕される新たな局面に入った。県内で有数の精神病床を擁する病院トップらの逮捕に、県内の医療関係者からは驚きの声のほか、地域の医療体制を懸念する声が聞かれた。 「精神医療の質が疑われる由々しき事態だ」。八戸地域の精神科医療に詳しい医師は率直に語った。「元院長をはじめ、この病院が慢性期の患者の受け皿として機能していたのは事実。逮捕で地域医療への影響が懸念され、患者や医療現場の負担がどうなるのか今後が気になる」と述べた。 同病院に勤務経験のある関係者も「精神科がある市内の他の民間病院で拒否された患者を必ず受け入れており、地域医療への影響は計り知れない。周辺の精神科病院は、みちのくで患者を受け入れてくれないと困ると考えているだろう」と指摘。「他の病院は予約が数カ月待ちの中、初診をすぐ受け入れられるのはみちのくだけ。南は岩手県北、北は野辺地辺りから患者がどんどん来るので院内は野戦病院状態だった」とも明かした。 県内の他の精神科医は「精神科病院の閉鎖性も事件の背景にあるのではないか。総合病院であればこのような隠蔽は考えられない」と話し、別の精神科医は「精神科医療への偏見や受診控えにつながらなければいいが…」とこぼした。 県医師会の高木伸也会長(八戸市)は、両容疑者が事件を隠蔽しようとしたとされることについて「あり得ない」と断じつつ、「同業者としては残念。ただ八戸圏域の大きな病院で患者の受け入れがストップしたら、困る人も多いだろう」と語った。今後は県医師会と八戸市医師会で、裁定委員会の開催や処分などの検討が行われる見通しという。 県医療薬務課によると、医療法に基づく病院への立ち入り検査は基本的に八戸市が行う。今回の逮捕容疑は犯人隠避だが、今後の捜査で医療法や関係法令に抵触するような事実などが判明した場合は市が主体で検査を行い、問題があれば県に通知。県が内容に応じて行政処分を検討、実施する可能性があるという。同課の担当者は「捜査の推移を注視していく」とした。