<主張>埼玉県立高共学化 教委は推進方針撤回せよ

社説

埼玉県教育委員会の記者会見
埼玉県教育委員会の記者会見

特定の偏った主義主張が教育現場に持ち込まれた悪(あ)しき事例といえるのではないか。

男女別学の埼玉県立高校を巡り、県教育委員会が「主体的に共学化を推進」とする報告書をまとめた。

埼玉の県立高137校のうち別学は男子5校、女子7校で、明治・大正期に創立された伝統校だ。

県教委は共学化の時期を示していないが、報告書発表後の意見交換会では、別学高に通う生徒から「文化や伝統がないがしろになる」などと批判の声があがったのは当然だろう。

共学が圧倒的に多い中、別学を廃止する理由はない。多様で特色ある学校づくりを進めるという教育行政の目的にもそぐわない。私学にも別学はあるが、経済的事情や校風を慕って公立の別学高を目指す生徒もいる。県教委は、共学、別学双方の高校を擁する多様性や子供の選択の自由を守るべきだ。別学を廃止して共学で塗りつぶすような方針は撤回してもらいたい。

発端は弁護士ら3人で構成する県の男女共同参画苦情処理委員に「県立の男子校が女子の入学を拒んでいるのは(国連の)女子差別撤廃条約違反だ」との苦情が寄せられたことだ。

別学の国立高校・大学があることでも明らかなように男子校の存在は憲法違反でも条約違反でもない。言いがかりのようなおかしな申し立ては却下すれば済む話だった。

だが同委員は、条約違反ではないとしつつも「男女の役割についての定型化された概念の撤廃が求められている」として、共学化の早期実現を勧告した。同委員の偏った主義主張に基づく勧告といっていい。

平成13年度にも同様の勧告があったが、当時の県教委は別学に一定のニーズがあるとし「当面は現状を維持する」との報告書をまとめた。ところが今回、県教委は方針転換した。

疑問なのは県教委が前回重視した「一定のニーズ」を軽視した点だ。別学高の生徒や卒業生らは繰り返し反対を表明し、報告書には「納得できない」との声がSNSなどで広がっている。なぜ耳を傾けないのか。

別学は、思春期の子供たちが異性を気にせず、学業や部活動に打ち込める側面がある。異性に苦手意識を持つ子供もいる。県教委と大野元裕知事は学びの選択肢を奪ってはならない。

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