DOGEによる一連の急進的な改革について、具体的な情報公開はほとんどなく、議会による監視機能も働いていない状況が続いていると米ABCニュースは指摘する。
また、マスク氏率いるDOGEの中核を、19歳から24歳という若手エンジニアたちが担っている。政府の重要ポストへのこうした人材の起用に、専門家から懸念の声が上がっている。
米ワイアード誌の調査によると、DOGEには6人の若手エンジニアが配属されている。その多くがマスク氏傘下の企業で実務経験を積んだ人材のようだ。電気自動車メーカーのテスラ、宇宙開発企業のスペースX、脳科学技術企業のニューラリンク、人工知能企業のxAIなどだ。さらに、データ分析企業Palantirの共同創設者で、民主主義に反対の立場を公言しているピーター・ティール氏との関係も指摘されている。
こうした異例の人事について、ミネソタ大学法科大学院のニック・ベドナー教授は危機感を示す。「複雑な問題を扱う大規模な政府機関で重要な管理権限を持たせているにもかかわらず、これらの若手に行政特有の法律や業務を理解する専門知識があるとは考えにくい」と指摘する。
懸念される「悪意ある家政婦問題」
政府経験の欠如だけが問題ではない。MIT テクノロジーレビュー誌は、さらに踏み込み、アメリカの政府システムが重大なセキュリティリスクにさらされていると警告を発している。
問題の核心となっているのが「悪意ある家政婦問題」だ。これは、ホテルの客室清掃係が仮にその気になれば、客室で宿泊客のパソコンに自由にアクセスできることになぞらえた概念だ。政府の内部関係者にとっては、外部からの侵入を意識したセキュリティ対策がまったく機能しない状態を意味する。
理論上の脆弱性として以前から議論されることがあったが、マスク氏とその配下の者たちが政府システムにアクセスしている今、現実の脅威となった。
憂慮すべき事例として同誌が挙げるのが、XおよびスペースX社の元エンジニアで、DOGEスタッフを務めていたマルコ・エレズ氏のケースだ。エレズ氏は、財政局の支払い自動化マネージャー、および安全支払いシステムという、「アメリカ政府で最も機密性の高い2つのシステムのコード」を両方読み書きする権限を持っていたが、人種差別的なコメントを行ったとされる報道を受けて辞任した。
政府の基幹システムは、安定性を最重視して構築されている。しかし、いくら強固なシステムであっても、内部からの破壊工作には無防備だ。二要素認証やスマートカードによるログインといった安全対策も、「悪意ある家政婦」の前では形骸化しかねない。民間企業勤務者に過ぎなかった人々が政府システムへのアクセスを得たことで、米国民の不安は高まった。












