30年後の未来予想
技術の進歩は近年とりわけ目覚ましくなっており、たとえ十年の違いでも生活は大きく変わっています。そういうわけで、30年後の未来を予想してみました。
2054年になってもこの文章が残っていたら、ぜひ答え合わせをお願いしますね。
医療
・やや重度の虫歯程度なら、歯を削らず治療することができるようになる。虫歯は依然著名な病気として残るが、容易に治すことができる。
・風邪の特効薬は未だなく、薬は鎮咳薬や去痰薬、解熱鎮痛剤などを用いた対症療法にとどまる。インフルエンザも毎年流行しているだろう。
・再生医療が進歩し、iPS細胞のような多能性幹細胞によって、大火傷も痕をほとんど残さず治せるようになる。糖尿病も、膵島細胞を復元することにより、たいていの場合で完治する。
・オーダーメイド医療が進歩し、例えば患者の体質を考慮して効果的な薬剤が患者ごとにそれぞれ処方されるようになっている。自分の身体情報を機関に渡したくない人々も二~三割くらい存在しているだろう。
・がん医療も進んでおり、顕著な副作用なしに、効果的な治療を受けられる。従来の抗がん剤は、効果の割に副作用がひどすぎるので殆ど用いられなくなっている。
・ハゲはまだ治療できない。
・狂犬病はまだ死に至る病である。
・免疫に関する医療が発達した結果、後天的に免疫を再生させることにより、エイズは発症後であってもギリギリ治療できるようになっている。ただし末期のエイズは完治不能。
・アルツハイマー型認知症は、薬剤投与により進行を大幅に遅らせることができるようになり、初期に発見できれば、85歳になっても精神面ではある程度健康な生活を送れる。
・平均余命は90~95歳くらいである。
・遺伝子改造ベイビーは倫理的な理由によって製作禁止。希望した要素だけを実現させるのは、技術的にもかなり難しく、畸形・障礙の恐れあり。
・2024年時点でも、本来なら視覚障礙者というべきほどの近視の者が、眼鏡やコンタクトにより視力を補えることで障礙者扱いされていない。それと同じく、ADHDやASDなど精神障礙も、これら障礙の社会生活上で不利な特性を打ち消す薬剤やツールが発達しており、2024年現在よりも「障礙」と見なされにくくなっている。
IT技術・マスメディア
・生成AIは、その利便性により、著作権侵害や犯罪への利用などの懸念を残しつつも、広く社会で使われている。AIに関する立法が行われ、利用や公表には一定の制限がかかっている。
・生成AIの生成物は、透かしや意図的な劣化を加えなければ、もはや本物と区別することは不可能となる。これらを人による創造物と区別する、上記のような仕組みをAI生成物に導入することが、義務付けられるだろう。
・汎用人工知能AGIは2027年に開発されるともいわれていたが、これは実現しなかった。ただし2030年代には開発され、2054年時点では一般に用いられている。
・現在JR西日本コミュニケーションズが展開しているように、生成AIを用いた広告が一定レベル普及する。生成AIコンテンツは廉価で劣位の「量産品」として扱われる一方、人間の芸術家等が創る作品はふつう、高級なものに用いられ、一種ブランド性を持った「職人技」となる。
・第八世代移動通信規格 "8G" がメインの通信インフラとして用いられている。下り数十Pbpsにもなる極めて膨大な通信量により、五感をも送信できる。
・スマートフォンは2050年までに衰退。ウェアラブル端末を経て眼球装着の端末が普及し、2054年時点でスマホ普及率はほぼゼロになっている。
・半導体の微細化はとっくの昔に物理的な限界を迎えており、積層化やクロック数の引き上げなど別の方法によりCPUの性能を向上させている。だいたい2024年の最新CPUの100億倍くらいの性能があるだろう。
・量子コンピューターは実用化され、市井に広まっている。その得意分野の偏りにより、2024年現在主流の古典コンピューターとの共用になるだろう。量子コンピューターの著しい計算能力によって従来のRSA暗号は無用の長物となり、代わりに耐量子暗号が用いられる。
・VR技術はますます発達し、現実と見紛うほどの環境を提供できる。視聴覚のほかにも触覚、嗅覚をも、脳へ電気信号を直接送ることで再現できる技術が発展中である。AR技術、MR技術についても同様。
・テレビは2024年時点よりも衰え、テレビの保有率は60%程度となる。しかし大手企業ならではの資金力・人脈などを活かしたドラマやニュースによって、2054年時点でも主力のマスメディアである。
・ラジオは2024年時点からさらに衰退し、20代~40代では、一週間の利用時間5分未満が8割を超えるほどになるが、一部のファン層は残り、消滅はしない。
・紙の新聞は基本的になくなり、新聞はすべて電子での閲覧となる。大手新聞社の一部は紙の新聞も出しているが、部数は全て合わせて年間150万部程度となる。
工業技術・農業技術
・ロボティクスの進歩により、ロボットを用いた機械の組み立て、検査がより一層普及。
・3Dプリンターが発達し、バイオプリンティングも容易となり再生医療の一般的な手法となる。
・耐震技術が発達し、震度6強までのいかなる地震でも完璧に耐え抜き(中はめちゃくちゃになるかもしれないが構造は無傷)、震度7でも多くの場合耐えられるほどになる。
・洪水発生時に浮ける家が一般に発売され、3mまでの浸水ならば問題なくなる。
・体内埋め込み式の完全自動翻訳機が広く普及している。言語の壁が大きく打ち破られ、メジャーな言語ならば、ほぼ齟齬なく自然にコミュニケーションが取れる。
・アンドロイドがあちこちを人間のように闊歩するといった風景は、あまりにもお金がかかるので実現されないだろう。ただし、清掃用ロボットや配膳ロボットなど、特定の用途のためのロボットは普及する。
・核融合発電が2045~2050年ごろに実用化され、安全に莫大な電力を取り出すことができている。電力問題は、核融合発電がおこなわれている地域では事実上解決する。ただし、日本では「核」というワードへのアレルギーじみた拒否感から、一定数の人々が激しく反対し、導入は数年~十数年遅れる可能性が高い。
・憎きスクミリンゴガイは増殖の一途。田んぼからの絶滅は未だ叶わず。
交通
・人口減少により渋滞も減った結果、わざわざ空を飛ぶ必要がないので、空飛ぶ車は実現していない。ただしパフォーマンス程度なら実現している。
・完全自動運転車は、2040年代後期に普及し始め、2054年では発売される全自動車のうち70%がレベル4以上となっている。事故を起こしたときの責任所在の問題は、熾烈な法的な論争ののちに解決されており、完全自動運転車による交通事故の被害者は適切に救済され、事故を起こした完全自動運転車に乗っている人は、点検不備などがなければ責任を原則問われない。
・首都高の老朽化が進行し、あちこちで修復工事が行われる。
・バス運転手の減少が深刻。多くのバス路線が存続の危機にある。解決策として、一部の路線では完全自動運転バスが導入されている。
・都市部の主要な鉄軌道路線からは手動運転がなくなり、ATOまたは完全自動運転となっている。新幹線も同様であり、運転手は乗車するが基本は機械に任せる。
・ローカル線の廃止が進む。特にJR北海道、JR西日本で顕著である。例えば木次線は既に消滅している。JR東海エリアでは、南海トラフ巨大地震が発生しない限り廃止路線なし(発生して東海道新幹線に甚大な被害がもたらされれば、この限りではない)。
・リニア中央新幹線が2040年に東京~名古屋で開業。名古屋~大阪は建設中である。これに合わせて東海道新幹線の「のぞみ」は減少し、静岡駅には「ひかり」が毎時2本止まるようになった。
・北陸新幹線は遅れに遅れを重ねはしたが、2048年に全線開業。ついに東京~新大阪のバイパスルートが完成し、関西~北陸のつながりが再び強化。
社会
・天皇陛下は、退位こそなさったが、ご存命であらせられる。御年94歳。
・日本国は存続しているが、人口減少著しく2054年時点で8000万人程度。高齢化率45%。2050年の出生数は約50万人、合計特殊出生率は1.0前後をさまよう。いっぽう、世界人口は増加のペースを緩めつつも未だ増加し続けており、だいたい95億人くらいか。
・地方の高齢化は特に著しく、消滅する自治体が多数発生。三大都市圏並びに札仙広福以外は危機的状況に陥る。東京も人口減少の局面に入り、高齢化が将来の大きな課題となる。
・日中韓において、高齢者の介護は重大な社会的課題となる。介護施設やヘルパーは非常に不足し、老人ホームやデイサービスは常に満員。多くの介護が家族で行われ、老老介護もよくあることである。老人の孤独死や失踪が多発するが、もはや日常の事象として扱われる。
・リモートワークは一般に浸透し、週の出勤日数は少ない業種(IT関係等)では0日、通常のデスクワークでは2日程度となっている。
・満員電車は多少マシになり、東京地下鉄東西線の朝ラッシュで110%程度になっている。ただし、東京では激しい混雑が未だ続いている。
・喫煙率は著しく減少し、平均一割を切る。男性喫煙率が10%程度、女性喫煙率が3%程度となるだろう。
・エタノールの害がますます認知され、飲酒が減少する。飲酒習慣がある人の割合は、男性が25%、女性が10%程度となる。
・AI技術の普及によって頭脳労働者の割合が減少し、肉体を持った人間だからこそできる肉体労働者の割合が増えている。
・紙幣は2044年に刷新された。新しいお札の肖像画の人物は、一万円札が嘉納治五郎、五千円札が与謝野晶子、千円札が高峰譲吉(これまでの紙幣の人物の傾向を見て予想した)。なお、下記の理由により、紙幣の更新はこれが最後になると考えられる。
・現金はあまり使われなくなり、クレジットカード、デビットカード、バーコード決済、電子マネーなどの利用でキャッシュレス化が進む。キャッシュレス決済比率は85%に達する。
・多くの有名でない私立大学が、少子化に起因する定員不足で経営危機に陥り、一部は消滅する。
自然環境・災害
・地球温暖化が進行して、夏がめちゃくちゃ暑くなっている。8月の平均最高気温は38℃に達し(2023年が34.3℃)、もう外で遊ぶことは奨励されない。冗談ではなく暑すぎて遊べない。
・海水温の上昇により、台風は数を減らすが一個一個が今よりも強力となる。最低中心気圧が約900hPaの超巨大で猛烈な台風が日本をときどき襲うだろう。気象がますます不安定となり、ゲリラ豪雨が今以上に頻発する。
・オゾンホールはほぼ完全に塞がる。もう話題にも上らない。
・南海トラフ巨大地震が2054年までに襲来する。日本は著しい被害をこうむるが、スクラップ・アンド・ビルドで復興するだろう。
世界情勢
・人口減少などにより欧米の地位が相対的に低下して、代わりに東アジアやイスラム圏の影響力が増大、民主主義勢力は2024年よりも減退する。もちろん、GDP一位は変わらずアメリカ合衆国である。
・中華人民共和国の最大の懸念は少子高齢化である。一人っ子政策の廃止は少子化の解決にほとんど寄与せず、出生数の減少が続いている。
日常生活
・スマートホームが普及し、家電製品はスマホ等で操作することが当たり前となる。一部のエアコンではリモコンがなくなる。
・店内のカメラが入店者の情報と購入したものを確認し、店を出た時に自動で決済を行うシステムが発達。無人店舗が拡大する。
・自動調理は味の好みのせいであんまり発達しないが、三割程度の家庭では下ごしらえくらいならやる機械がある。煮る、炊く、焼く、揚げるなどの核となる調理過程は、ほとんどの場合人間が行っている。
・VR技術によりパスポートなしで(実質)海外旅行に行けるようになる。四割程度は2054年でも肉体で直接旅行へ行く。月旅行も一生に一、二回程度なら楽しめるようになっている。
宇宙関係
・地球外への移住は実現していない。テラフォーミングも同様であり、人類のほぼすべてが地球上で生活している。
・旅行や実地調査を目的とした滞在施設が、月に建築されている。月旅行は2024年9月の貨幣価値にして、お安めコースの二泊三日で200万円、ビッグマック4200個ぶんにあたる。
・有人火星探査が実現し、隊員が一か月程度火星に滞在して調査を行っている。
・再利用ロケットが一般化し、使い捨てロケットは一部用途に限られている。
・2054年までに、新たに宇宙望遠鏡が打ち上げられ、今のウェッブ望遠鏡よりもさらに精細な画像を得られる。可視光以外にも紫外線、赤外線も観測でき、ハッブルとウェッブのいいとこ取りをしている。
倫理観・価値観
・AIの発展によって、「知的である」ことよりも「肉体を持っている」ことが人間のアイデンティティとして重要視されるようになる。運動や筋トレ、食事、性行為など、肉体があるからこそできる行為が称揚されるだろう。
・倫理観は二つを予想する。一つが加害への恐怖で、他者との会話すら含むあらゆる加害行為・加害思想を悪となし、人間相互の関係構築が困難になるほどの倫理的潔癖が進行するというもの。もう一つは、潔癖に耐えられなくなったがゆえの反動(バックラッシュ)の発生であり、例えば一定レベルの配慮への反感や、差別、加害の一部許容などが実現するというもの。
・2024年現在の価値観は、一部または全部が、「倫理的でない」などとして非難されるのは間違いない。


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