京都地裁

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京都市西京区

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 私立京都成章高(京都市西京区)で有期雇用の常勤講師だった40代男性が、無期雇用への転換直後に事務職に配置転換されたことなどは不当だとして、同高を運営する学校法人「明徳学園」に地位確認と約1490万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が13日、京都地裁であった。齋藤聡裁判長は、専任教員と同じ業務を担っていたのに賃金が低いのは違法と認め、約450万円の支払いを命じた。地位確認の訴えは却下した。

 判決によると、男性は2010年4月に契約期間1年の常勤講師として採用された。22年2月に無期転換を申し込み、4月から無期契約となったが、事務職員への配転を命じられた。

 齋藤裁判長は、男性が常勤講師だった時期は正規雇用の専任教員との間に明らかな職務内容の差はなかったと判断。不合理な賃金格差を禁じる労働契約法などに反するとし、消滅時効が完成していない19年以降の賃金差の支払いを命じた。

 採用時に職種を限定する合意はなかったなどとして配転は有効と結論付けた。

 男性は会見で「配転が有効とされ、不満が残るが、専任教員とほぼ同じ仕事をしていたと認められたことはうれしい」と述べた。私立学校の教員でつくる「私学教員ユニオン」(東京)の佐藤学代表は、「学校がコストカットを狙い、賃金の低い講師に正規教員と同様の働き方をさせる動きが公立私立とも広がっている。判決が差別解消に向けた大きな転換点になってほしい」と評価した。

 明徳学園は「判決内容を精査した上で、控訴するかどうか判断したい」とコメントした。