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セミナーレポート 西宮市が考えるDX推進とビッグデータ活用(2) ブランド発信課編

その2は、西宮市のブランド発信課でのデータ活用の事例を、政策局 市長室 広報課長(前 産業文化局産業部都市ブランド発信課長)岸本 綾さん と 産業文化局 産業部 都市ブランド発信課係長 中村 秀也さんへのインタビューです。

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写真1 左が岸本さん、右が中村さん

西宮市の日本酒振興にデータを活用されたそうですが、その背景を教えてください。

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資料提供:灘五郷酒造協会

西宮市は、地場産品として日本酒が有名です。西宮市から神戸市にかけて、灘五郷という日本酒の産地があり、西宮市には西宮郷と今津郷があり、蔵では12蔵あります。神戸市の蔵と合わせると国内の日本酒生産量の約1/4を占める一大生産地になっています。

こういった背景から西宮市単体だけでなく、神戸市さんや灘五郷酒造組合、阪神電鉄さんと連携して、様々なプロモーションや事業を行うことが、都市ブランド発信課の日本酒事業の柱です。

この写真(写真2)は福男選びで有名な西宮神社ですが、こちらで毎年10月に"西宮酒ぐらルネサンスと食フェア"というイベントを開催したり、冬には西宮市の酒蔵に協力いただいて、試飲や蔵の見学など楽しめるイベント”西宮蔵開(くらびらき)”(写真3)を行っています。

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写真2  西宮酒ぐらルネサンスと食フェア(資料提供:西宮市)

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写真3 西宮蔵開(くらびらき)の様子 2020年2月撮影 (資料提供:西宮市)

そんな中、イベントの参加が比較的男性や年配層の方が多いと感じており、蔵の方にも女性や若い人にも来ていただきたいというリクエストを受け、試行錯誤をしていました。

例えば、桃の節句に合わせて女性が好みそうな甘酒を振舞ったり、女性限定の試飲会など行いまして、参加者の方には喜んでいただけるのですが、実際にプロモーションのターゲットとしている女性に適切に訴求できていたのかはわからない状況でした。

実際にどのような分析を行なったのですか?

目的としては、女性をターゲットとした場合に西宮のプロモーションが効果をあげているかの確認と、女性の日本酒への関心を理解し今後のプロモーションに活かすこととしました。

まずは"日本酒"検索の時系列変化を、比較対象としてワイン、焼酎、ウィスキーを上げて調査しました。(図1)これを見ると2020年12月以降に日本酒の関心が大きく高まっていることがわかります。理由はわかっておりませんが、日本酒の製造量は全国的に減少傾向にも関わらず、関心はむしろ上がっていることがわかります。西宮市としてもまだまだ西宮の日本酒を盛り上げる余地があるというエビデンスになると考えています。

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図1 主要酒類の検索ボリューム動向

さらに”日本酒”の検索者の属性分布を他の種類と比較してみました。(図2)こちらから全体に比べた女性の検索の割合は、ワインほど高くないですが、それについで多いことがわかります。

また、年代別の動向では日本酒は幅広い年代で関心があり、ワインや焼酎と比べて、相対的に若い年代層の関心が多いことがわかります。

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図2 主要酒類の検索者 属性比較

次に日本酒の有名な産地と比べて、西宮の日本酒に対する女性の関心度合いを調査するため、”地名+日本酒”を含んで検索したボリュームの男女比率を調査しました。

こちらを見ますと、伏見や新潟などの他の産地と比べても、"西宮 日本酒"の女性比率もそれなりに大きい状態であることがわかりました。

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図3 地域名 + 日本酒での性別での検索比率

西宮で日本酒振興施策としてInstagramのアカウントも運営しています。みなさん、"nishinomiya_kurabiraki"で検索できるので、ぜひフォローください。

こちらのオーディエンス情報を確認して比較すると、多少の違いはありますが、同じような結果が出ていることがわかります。

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図4 Instagramのオーディエンス情報

次に女性の日本酒に関わる関心を理解するため、女性に限定して"日本酒"と一緒に検索されるキーワードを調査しました。(図5)

その結果、女性特有の内容として日本酒の選び方、料理、食器、日本酒を使用した化粧水、おつまみと合わせた飲み方などマリアージュ関連の関心が確認されました。

また、銘柄は控えますが、某企業のスパークリング系の日本酒がランキングに上がるなどの傾向も見られました。

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図5 日本酒と一緒に女性が検索するキーワードランキング

さらに季節ごとのPRテーマを考えるために、月単位での同様の分析を行ないました。(図6)時期によって"日本酒"と共に女性が検索するキーワードに変化があることがわかりました。

例えば、1月2月だとバレンタイン関連と考えられる"チョコ 日本酒"の検索が増えていることがわかります。

以上の結果から、スパークリング系の商品、マリアージュを組み込んだ企画、季節ごとの商品紹介などが女性の日本酒への関心を呼び込めるのではという仮説をつくるに至りました。

併せて、先程女性の関心比率が高かった"伏見 日本酒"と一緒に検索をしているキーワードを調べたところ、"日本酒バー"や"伏見酒蔵小路"など京都のお酒を飲み比べができるようなお店がたくさん出てきました。これまでは、直接酒蔵への支援を行うことが多かったですが、これらを参考に周辺飲食店との連携も必要ではないかという仮説を立てております。

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図6 月単位の女性が"日本酒"と一緒に検索するキーワード

話は変わりまして、写真4は大関株式会社の営業推進部長との打ち合わせの様子です。こういった形で他の事業者様とも打ち合わせを持っていますが、これまで根拠が薄い中で事業の打ち合わせをしていましたが、DS.INSIGHTを活用することで、客観的な情報を元に意見交換ができるようになり、これまでにない新しいアイデアも生まれるようになってきています。

また、ターゲットの訴求方法についても、これまでは根拠がないままに対応することが多かったのですが、データで裏付けをとることができるため、目的に応じた判断がより適切にできるようになったと思います。

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写真4 地元企業との打ち合わせの様子

今後の活用についてですが、西宮市で発行している酒蔵巡りパンフレット(写真5)のテーマ設定での活用を考えています。 前述のスパークリング日本酒のPRや、直近では父の日の対応などに活用したいと思います。また、マリアージュについてはPRだけでなく、日本酒講座などもマリアージュをテーマにも取り入れてみてはと考えています。

現在、日本酒振興施策を中心にDS.INSIGHTを利用していますが、西宮市には他にも洋菓子店やスペシャルティコーヒー店が多数あります。また、甲子園球場に代表されるような、スポーツレジャー関連施設も豊富にあります。これら街の資源が市民の豊かなライフスタイルに彩りを添えていると思いますので、これからも様々な対象のトレンド把握や施策立案にDS.INSIGHTを活用していきたいと思います。

多彩な魅力に囲まれた西宮市のブランドを市内外に発信し、”住んでよし、訪れてよし”の街として発展していきたいと考えています。

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写真5 酒蔵巡りのパンフレット

図6のように季節の興味が変わっていくことが、定量的にわかるのは面白いですね。他自治体では、インスタグラムの公式アカウントの運用として、季節の関心情報として利用されている例もあるそうです。

はい、チョコや父の日など、当たり前に思うことかも知れませんが、定量的な裏付けを持ち対応することが大事だと思っています。 また、Instagramのアイデアは西宮市でも活用してみたいと思います。

岸本さん、中村さん、どうもありがとうございます。

(つづく)

その3は、政策推進課の岡崎さんに新型コロナウイルス対応でのデータ活用についてお聞きしましたので、お楽しみください。

【西宮市セミナーレポート】
西宮市が考えるDX推進とビッグデータ活用(1・デジタル推進課編)
西宮市が考えるDX推進とビッグデータ活用(2・ブランド発信課編)
西宮市が考えるDX推進とビッグデータ活用(3・政策推進課編)
西宮市が考えるDX推進とビッグデータ活用(4・裏話編)

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※本記事の内容は公開日時点の情報です。





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