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本多さんはうまく答えられず、案件を逃した。前職でクラウドカメラ事業の立ち上げに関わり、当時業界で存在感を高めていたセーフィーの技術力などにひかれて転職を決めた。自社や業界のことは理解していたつもりが、具体的な競合製品との比較まで詰め切れていなかった。

それからライバルの研究には余念が無い。競合先の最新カタログを取り寄せ、実際に商品を購入するなどして知識を更新している。

顧客目線を重視するものの、「すべての要望に応えるわけではない」ともいう。セーフィーは14年創業のスタートアップだ。コストや時間を必要最小限に抑えた開発で収益を上げていく必要がある。顧客と代理店、自社のそれぞれにメリットがあると判断した要望だけを開発陣に依頼すると決めている。

社内で信用を得る姿勢にも注意している。「他部署のメンバーや業務内容を知ることも大事」とエンジニアや製品企画の担当者、デザイナーらと頻繁にコミュニケーションをとる。何かあった時に、相談すべきメンバーに依頼できる関係を心がける。

社内外に目配りし続けることで本多さんは若手ながら営業のエース格になった。現在は代理店がより販売しやすい仕組み作りに励む。例えばセコムでは個人客が購入するケースも多い。IT(情報技術)の知識を持っていない顧客にも導入メリットを分かりやすく伝える方法を体系的に用意し始めている。

「今後は監視カメラと『音』を組み合わせたサービスに可能性を感じる」と音響会社との交渉も進めている。営業現場で聞いた声から着想し、新サービスにも生かす。社内、代理店、顧客そして社会全体にも役立てる営業の面白さをこれからも追い求めていく考えだ。

(五十嵐沙織)

 ほんだ・ももこ
16年に明治大経営卒、インターネットサービスプロバイダーに入社。クラウドカメラ事業の立ち上げに携わった。17年にセーフィー入社。一貫して営業を担当、現在は代理店営業本部マネジャー。
[日経産業新聞 2021年7月1日付]

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