「小悪魔とか、生意気とか、しらけ派とか、いろいろ言われていました」。秋吉久美子さんは、新人俳優時代をそう振り返る。

 実際に秋吉さんと話すと、他者に対する細やかで温かい心遣いに感心することが多いのだが、デビュー当時の役柄や自分の感覚を大切にする発言が、そうしたイメージの原因になったのだろう。

 1987年12月公開の「男はつらいよ 寅次郎物語」(山田洋次監督)に、マドンナ役として出演した時、初対面の渥美清さんから掛けられた言葉は、そうした周囲の思い込みを象徴しているようだ。

 「撮影現場で初めてお目にかかった時、渥美さんからいきなり『秋吉さんってヤンキーなんですか?』と聞かれたんです(笑)。私はヤンキーという言葉を知らなかったので『それって何ですか?』って言ったら、会話が終わっちゃったんですよ」。そのまま映画のワンシーンになりそうな出会いだが、渥美さんとはその後、すごく心が通じ合う関係に...