高校生男子のキスは過去最低、性交は18年前の約半分――変化の理由を学生たちが自己分析すると? #性のギモン
「僕らの学校はわりとまじめな子が多いんです。ところが、その高校は、ずいぶん様子が違いました。荒れているという表現まではいかないけれど、やんちゃな子が多い印象。実際、彼らとグループワークをしていると、教室内から『お金もらえるなら、(セックスを)やるっしょ』とか『イケメンなら、誰でもいいっしょ』といった会話が聞こえてきたり、童貞の子がいじられていたりしていた。すごくショックを受けました。『高校生の性行動が減っている』という調査結果も、この学校については全然そんなことなかった。ということは、要は、二極化していると思うんです」 なぜ二極化するのか。日本人はまわりに流されがちで、まわりが「経験」していれば自分もやってみたくなるため、「まじめな子が集まる学校、やんちゃな子が集まる学校と分かれたうえで、中間層がまじめ寄りになっている。だから全体として性行動が減っているのではないか」というのが、本久さんの分析だ。
「いまどきは、不倫も不同意性交も、世間に死ぬほどたたかれる。社会の雰囲気として、純愛志向が高まっているような気がします。ドラマでもアニメでもロマンチックな恋愛ものが人気だし、YouTubeではカップルチャンネルがあって、ラブラブな様子を公開している。僕自身、一人の人とずっと愛し合う関係性に憧れます」
大学生女子「将来への不安で、正直、恋愛どころじゃない」
女子栄養大学の公認サークル「たんぽぽ」は、性教育に関する啓発活動や児童館でのボランティアを行う団体だ。メンバーの多くが養護教諭をめざしている。代表の矢島里紗さんを含む2年生4人のメンバーに、2年前の高校生時代を振り返ってもらいつつ話を聞いた。 「調査結果を見ましたが、高校生の性行動が減少しているというのは実感として納得しました。自分たちやそのまわりを見ても、いまの女の子は恋愛にそれほど重きを置いていないんです。もちろん彼氏の話しかしない子もいるけれど、どちらかというと、それは少数派。多くの女子の関心事の中心は、将来への不安。年金ももらえない、円安も進んでいる、『この先私たちどうなっちゃうの』と。男の人に頼って生きるのも時代的に違う。自分で稼いで食べていける仕事につかなきゃと思うと、勉強もけっこう大変で……。恋愛どころじゃないというのが正直なところです」