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フィリピン沖に日米仏「空母」初集結 多国間連携が進化

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自衛隊、米軍、フランス軍が18日まで、それぞれの「空母」をフィリピン沖に集結させる初めての共同訓練を展開する。中国やロシアの動きを念頭にインド太平洋地域の抑止力向上に取り組む。米国のトランプ新政権下で多国間連携を継続する姿勢を示す場となる。

2022年から始まったロシアによるウクライナ侵略や北朝鮮の兵士派遣などで、欧州・大西洋とインド太平洋地域の安全保障はより連動する。フランスなど欧州諸国はアジア太平洋地域への関心を急速に高めている。

フランスの空母を中核とする艦艇部隊が太平洋地域に展開するのはおよそ60年ぶりとなる。中谷元防衛相は7日の記者会見で「インド太平洋に対する(フランスの)関与の意思と能力を示す証左だ」と強調した。

日米仏3カ国はフランス軍の太平洋派遣に合わせて共同訓練を10日から始めた。

訓練区域のフィリピン東方の海空域は中国が防衛ラインに定める「第1列島線」(九州―フィリピン)と、「第2列島線」(小笠原諸島―米領グアム)の間に位置する。

中国軍の艦艇が日ごろから航行する場所で、潜水艦や航空機との戦闘を念頭に3カ国の部隊連携の手順などを確かめる。

日本から事実上の空母化に向けて改修する護衛艦「かが」、米軍の原子力空母「カール・ビンソン」、仏軍の原子力空母「シャルル・ド・ゴール」が参加する。

空母は戦闘機などを搭載し、離着艦できる。地上の航空基地だけの場合と比べて航空戦を展開できる範囲が拡大する。

「かが」には最新鋭のステルス戦闘機「F35B」を搭載予定で、28年度にも改修を終える。同様に空母化する護衛艦「いずも」とともに日本の海上防衛の中核を担う。

米仏軍が派遣した原子力空母は艦内に原子炉を持ち、原子力のエネルギーで動く。長時間航行できるのが特徴だ。ほかの艦艇と比べて戦闘能力が高く、空母が特定の海域にいるだけで抑止力になるともいわれる。

自衛隊と欧州各国軍との連携は広がっている。

フランスとは部隊間の相互往来と共同訓練に関する手続きをスムーズにする「円滑化協定(RAA)」の締結に向けて24年から交渉を始めた。

24年7月には仏空軍と航空自衛隊の戦闘機が百里基地(茨城県)周辺で訓練した。仏陸軍も9月に陸上自衛隊と日本国内でゲリラ戦を想定した共同訓練を開いた。

フランスは太平洋にニューカレドニアや仏領ポリネシア、インド洋にレユニオンやマヨットなどを領有する。19年にインド太平洋地域に特化した国防戦略を策定した。

24年にはトルコやオランダ、ドイツの軍艦が日本へ寄港し、イタリア軍は軽空母を送った。

25年は空母「プリンス・オブ・ウェールズ」を中核とする英空母打撃群が日本への寄港を予定する。共同訓練も展開する見込みで、自衛隊は英国軍の艦船や航空機を守る「武器等防護」を適用することも検討している。

日本と欧州の部隊協力はアジア周辺での抑止力向上につながる。地理的に離れていてもアジアの安全保障に関与する姿勢を示すことで、中国やロシア、北朝鮮の動きへの抑止効果を見込む。

元海将で金沢工業大の伊藤俊幸教授は欧州諸国の動きについて「北大西洋条約機構(NATO)が22年6月に採択した新たな戦略概念に基づくものだ」と話す。戦略概念は中国が「体制上の挑戦」を突きつけていると明記し、インド太平洋の各国との対話と協力を深める方針を示した。

海上自衛隊にとって「多国間での抑止力の強化や部隊間の相互運用性の向上、外交関係の強化といった戦略的なメリットが大きい」と説明する。

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