【太陽光発電は人を幸せにするか】(26) 高利率に惹かれたが…会社破産で損害【産経ニュース2019年3月3日】

ライズデザインファクトリーが分譲した太陽光発電所。柵の一部が壊れていた=平成29年11月、岩手県花巻市横志田(三枝玄太郎撮影)
 消費者、顧客とのトラブルを抱えたまま倒産してしまったため、太陽光発電所の完成を見ないまま途方に暮れている人もいる。

 熊本県に住む40歳代の会社員の男性は倒産したライズデザインファクトリー(東京都豊島区・ライズ社)から岩手県花巻市で分譲・販売された太陽光発電所1区画を約2千万円で購入した。

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 ライズ社の花巻市の太陽光発電所は平成27年9月、東北最大級75区画を「ライズガーデン花巻」と命名。テレビCMを打つなど大々的な広告を出した。

 同社は売り上げの一部を「いわての学び希望基金」に寄付するとし、東日本大震災で被災した人たちの復興を援助するとしていた。

 ところが同社は平成29年4月、花巻市の太陽光発電所を連系することなく、東京地裁から破産手続き開始の決定を受ける。花巻プロジェクトは宙に浮いてしまった。

 ライズ社は平成26年11月に設立。折からの太陽光発電ブームに乗って最盛期の平成27年9月期には13億円以上の売り上げを計上していたという。帝国データバンクによると、規模拡大により資金繰りが悪化、東池袋の本社不動産も税務当局や債権者から差し押さえを受けるなどしていた。

 同社の最盛期は、まさに花巻市の太陽光発電所を販売・分譲、テレビCMを放映していた時期に当たる。このときに申し込んだ法人・個人が債権者の多くを占めた。


 社長の渡利直樹氏が平成28年4月に出した「100万円から始める風力発電投資」(幻冬舎)によると、氏は岩手県出身で、不動産会社で分譲マンションの企画・販売を経験した後、独立・開業した。

 渡利氏は著書の中で、給与が右肩下がりで、大企業でも倒産するリスクがある中、投資はもはや当たり前となった。だが、不動産投資は家賃滞納、空き室発生のリスクがあり、太陽光発電などの自然エネルギーへの投資が有望だと書いている。

 この著書の特筆すべきは、太陽光や風力発電の有効性を強調しながらも、リスクも併せて書いている点だ。それでもさりげなく風力発電はより確実、安全な投資だということは強調されているのだが。

 こうした著書を読んで、風力発電に投資し、損害を被った人もいる。

 ライズ社が分譲した風力発電所も同様に完成を見ることはなかった。IT企業の有名経営者が1500万円を騙されたとして、被害者の会を立ち上げたが、これまでのところ、警察当局などが動く気配はない。

 ライズ社が多くの顧客を集めた岩手県花巻市横志田の太陽光発電所は集落の外れの高台にあった。柵がところどころ破れていたり、発電所の区画ごとに設けられた扉の一部が開けっ放しになっていた。完成はしたものの、電気が通らないことで放置されてしまったようだ。


 すぐ近くに民家が1軒あったため、訪ねてみると、その家の女性(77)は「平成27年11月ごろから竹を伐採し始めた。つい3日前にも誰かが草を刈りに来た。今は韓国企業の手に渡ったと聞いたよ」と話した。

 土地の登記簿謄本によると、ライズ社が土地を手当てしたものの不調に終わったこの発電所は、北海道のパチンコ業者に転売されたようだ。

 東京都中央区の外資系モジュールメーカーとも、ライズ社は支払いをめぐって訴訟となった。

 ライズ社の渡利社長に取材依頼の手紙を出したところ、怒気を含んだ口調で電話があり、「いつでも会ってやるよ。うちはそちらの系列のフジテレビにもCMを出していたんだ」などと一方的に話して電話を切ってしまった。以降、渡利氏とは連絡が取れていない。

 平成29年で最大規模の太陽光発電業者の倒産といえば、電現ソリューション(東京都港区)だろう。東京都郊外で訪問販売の屋根設置型の太陽光発電所を販売していた岩崎聡樹氏(旧姓・岡崎)が平成23年に設立した会社。

 折からの太陽光発電ブームに乗って、屋根設置型から野立て式の太陽光発電に業態を転換。最盛期は平成28年1月期に約53億9100万円の売上高を計上した。当初期の24年には2億6千万円だから大変な成長ぶりだ。


 だが平成29年10月、東京地裁から破産手続き開始決定を出され、倒産した。

 屋根設置型太陽光発電の訪問販売会社のトップセールスマンとして頭角を現した岩崎氏は、独立後、投資用太陽光発電事業に注力。破産間際には秋田県でバイオマス発電事業にも手を出しており、一部雑誌には「太陽光に頼らない多角的事業」と賞賛された。だが、蹉跌は突然やってきたのだった。(WEB編集チーム 三枝玄太郎)
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