「高校時代はバイトしてもそのお金のほとんどを親に取られるような生活でもう限界だったんです。弟や妹を残して家を出ることに罪悪感がゼロというわけではなかったけれど、自分を守るので精一杯。それに父から聞いたあの言葉が耳から離れず、嫌悪感を抱いたまま母と暮らすことが何より嫌だった。以来、ほとんど実家には帰っていません」
その後も美琴さんに連絡が入るのは金の無心だけ。
「父母、弟、電話をしてくるのはその時ばかり。初めの頃こそ、少しは送っていましたがあるときもう無理だと思い、引っ越しをして住所を知らせませんでした。それ以来、連絡は途絶えていましたが28歳のときに再開。母が亡くなったんです」
さらにこの数年で父は認知症になり、結局兄が面倒を見て施設に入ったそうだ。