医療機器と試薬を抱き合わせ販売 神戸のメーカーを行政処分 公取委

公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影 拡大
公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 自社製の血液凝固測定装置と試薬を「抱き合わせ販売」したとして、公正取引委員会は13日、独占禁止法違反の疑いで調査していた医療機器メーカー「シスメックス」(神戸市中央区)の改善計画を認定し、確約手続きを適用した。確約手続きは事業者との合意によって早期の問題解消を図る行政処分で、公取委は改善計画と引き換えに独禁法違反を認定せず、排除措置命令を免除した。

 公取委によると、シスメックスは遅くとも2019年8月以降、血液凝固測定装置を医療機関に販売する際、自社製の試薬のみを使用させる基本方針を策定。「シスメックスの試薬を使わないなら取引はできない」と示唆するような営業活動をしていたという。

 装置は試薬と血液を混ぜた検体を入れて、血液の固まりやすさや血栓の溶けやすさなどを調べる医療機器で、シスメックスは国内トップのシェア5割を誇る。一方、試薬は2番手に甘んじており、装置との「抱き合わせ販売」でシェア拡大を図ったとみられる。

 独禁法は、商品・サービスを他の商品・サービスと一緒に購入させる行為を不公正な取引として禁じている。シスメックスは24年6月の公取委の立ち入り検査を受け、「誤解を招く行為だった」として基本方針を撤回。「抱き合わせ販売」に関する相談窓口の設置などの改善計画を提出し、公取委も実効性を認めた。

 医療機器を巡っては、24年7月にも公取委が内視鏡洗浄器と消毒液の「抱き合わせ販売」を認定し、排除措置命令を出した。医療機関の間では「安心感がある」とされる比較的高価な純正品と安価な他社製品のシェア争いが激しく、「抱き合わせ販売」の温床となった可能性がある。【渡辺暢】

あわせて読みたい

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月