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パリオリンピック テロ警戒と情報戦

フランスで26日に開幕するパリオリンピックでは、2022年の冬の北京大会後に始まったロシアによるウクライナ侵攻が2年以上続き、2023年10月からはパレスチナ・ガザ地区での戦闘と国際情勢が緊迫する中、安全の確保が大きな課題となります。別府正一郎キャスターの解説です。

(「キャッチ!世界のトップニュース」で2024年7月26日に放送した内容です)
 

・開会式の警備体制 テロへの警戒

バリでのオリンピックが、いよいよ開幕します。フランスは、内政の混乱はしばらく忘れて、世界中から選手が集う、この「平和の祭典」の開催に全力をあげています。しかし、この祭典は、世界が2つの大きな戦争を抱え、過激主義と分断に苦しむ中での開催となり、その影響も無視できないものになっています。その象徴となっているのが、「厳重な警備」です。
 

特に開会式での警備体制については、過去に例がないほど大規模なものになると言われています。最大で7万5,000人の警察官や兵士などがパリに展開し、BBCは、「平時に展開される治安機関の規模としては、フランスの歴史上、最大規模だ」と伝えています。中心部の道路は封鎖され、4万4,000のバリケードが設置されたということです。
 

こちらの地図が示すように、中心部のセーヌ川にいたる道や、川に架かる橋は軒並み通行止めとなっています。川の右岸と左岸の間を行き来するのはとてもできなさそうです。
 

バリが警戒しているのは、何よりもテロです。誰もが念頭にあるのが、2015年11月の同時テロです。パリ郊外のサッカースタジアム近くで自爆テロが起きたほか、パリ中心部の劇場やレストランなどで男たちが銃を乱射し、一連の事件の犠牲者は130人に上りました。実行犯は、IS(イスラミックステート)のメンバーでした。もちろん、これらのテロリストがイスラムを一方的に名乗っていて、本来のイスラムとは異なる過激な思想に染まっていたということはいうまでもないことです。
 

一方で、テロの背景には、フランスが、北アフリカや中東を植民地支配で蹂躙(じゅうりん)した歴史や、イスラム系の移民などへの根深い人種差別もあり、そうした問題が解決できていない中で、テロへの警戒を高めざるを得ない状況なのです。
 

・ネット空間に増加する偽情報

物理的な暴力に加えて、フランス政府が警戒しているものには、ロシアからの情報戦もあります。
 

フランスは、ロシアのウクライナ侵攻をめぐっては、アメリカやイギリスなどとともにウクライナへの軍事支援を積極的に続けています。こうした中、ネット空間では、フランスの信頼を失墜させることを狙ったかのような、オリンピックの準備の不手際や治安の問題に関する偽情報が増えていて、フランス政府はロシアの関与を指摘しています。
 

23日には、ロシア国籍の40歳の男が、開会式を妨害させる準備をしていたとしてパリ市内で拘束され、ルモンドは、「男は、ロシアの治安機関FSB(連邦保安庁)のメンバーだ」と伝えています。
 

フランスは、開かれた、自由で民主主義の国です。強権国家のように治安機関が国民の行動を支配することも、国家が全ての情報を統制することもできません。テロにしても、情報戦にしても、民主的な社会の自由を悪用しているだけに、対策は簡単ではありません。だからこそ、世界各地から選手が集まり、競技の共通のルールのもとで競い、交流する大会は重要な意味を持っていて、今の世界に平和と希望のメッセージを送ることが期待されています。
 

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■NHKプラスでは、放送後から1週間ご視聴いただけます。

 

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放送[総合]毎週月曜~金曜 午前10時5分
※時間は変更の可能性があります。