「捕虜は最大の恥」?北朝鮮兵士の実態に迫る

「捕虜は最大の恥」?北朝鮮兵士の実態に迫る
「北朝鮮の兵士は突然、走り出し、コンクリートの電柱に頭をぶつけて倒れました。自殺しようとしたのです」

ロシア西部クルスク州での戦闘で捕らえた北朝鮮の兵士について、ウクライナ軍の兵士はこう話しました。

なぜ北朝鮮の兵士は自殺しようとしたのか。捕虜になった兵士のことばからどんなことが読み解けるのか。専門家の分析も交え、詳しく解説します。

(国際部記者 松本弦 / 吉塚美然)

インタビューに応じたのは

ウクライナ軍の第95独立空挺強襲旅団の兵士として、ロシア西部クルスク州で戦闘任務についているマクシム氏です。

クルスク州では、北朝鮮の兵士がロシア軍に加わってウクライナ側と戦っていますが、1月上旬の戦闘の後、北朝鮮の兵士1人を捕らえたというマクシム氏。

NHKのインタビューに応じ、そのときの状況などについて明らかにしました。
Q. どうやって北朝鮮の兵士を捕虜に?
マクシム氏
「1月上旬の早朝、われわれのウクライナ軍の陣地を北朝鮮の部隊が襲撃しました。彼らは5~8人のグループで攻勢を仕掛けてきて、激しい戦闘になりました。その後、無人機で周囲を確認したところ、負傷した兵士が1人いることに気がついたのです。
その兵士が何者か確認し、負傷している場合は手当てをするよう命令を受けたので、同僚とともに兵士がいる場所に向かいました。
兵士はくぼ地のような場所にいて、われわれは5メートルほどの距離をとり、少し高くなっているところから声をかけましたが反応はありませんでした。『助けが必要か?』とウクライナ語とロシア語、英語で呼びかけましたが返事はなく、こちらを向いたときに顔を見て北朝鮮の兵士だと思いました」
Q. 北朝鮮兵士の状態は?
「兵士は20代であごや腕などを負傷し、混乱した様子でした。身につけていた防弾チョッキに手りゅう弾やナイフがついていましたが、それ以外に武器はありませんでした。
われわれは北朝鮮の兵士が周囲を巻き込んで自爆するケースがあることを知っていたので、手りゅう弾やナイフをその場に置くことや、彼が何をすべきか身振りで示しました。そうすると、彼は『はい、はい』という感じでうなずいて指示に従っていました」
Q. 北朝鮮兵士は抵抗しなかったのか?
「彼は抵抗しませんでしたが、それは何も理解していなかったからです。自分がどこにいて、誰と一緒にいるのか、わかっていなかったのだと思います。私たちは彼にたばこを吸わせて落ち着かせましたが、移送用の車が到着すると緊張し始めました。
ロシア軍の車両にはVやZの文字が書かれていますが、ウクライナ軍のものには三角形のマークが書かれています。車両に三角形のマークがあるのに気づき、これからどうなるのか不安になったのだと思います。
そして、彼を車まで連れていこうとしたとき、突然、コンクリートの電柱に向かって走り出し頭を電柱にぶつけて倒れたのです。ヘルメットもつけていない状態でした。自殺しようとしたのだと思います」
Q. 北朝鮮の部隊の戦い方は?
「北朝鮮の兵士は、戦場で仲間がけがをすると、たとえすでに死んでいたとしてもすぐに駆けつけて連れ戻そうとします。私の個人的な見解ですが、彼らは、北朝鮮が戦闘に参加している、ロシア軍の一部としてウクライナと戦っている証拠を残さないようにしているのではないかと思います。
また北朝鮮の部隊は北朝鮮の兵士だけで編成され、1人や2人ではなく、100人単位で攻勢をしかけてくることがあります。数で圧倒してくるため、前線では非常に厳しい戦いを強いられます。
さらに彼らは身体能力や射撃の技術も高く、偵察用の無人機をかなり正確に撃ち落とすことができます。ロシア軍と比べると、北朝鮮の兵士の方がよく訓練されていると思います」

北朝鮮兵士の話 専門家はどう見る?

ウクライナのゼレンスキー大統領は1月、捕虜にした2人の北朝鮮兵士の動画をSNSに投稿。

ウクライナ側の取り調べに対し、「ただの訓練だと聞いていた」「戦っているのがウクライナ人だということも知らなかった」などと話している様子を公開しました。

捕虜になった兵士の発言などからどんなことが読み解けるのか。北朝鮮の軍の歴史を研究してきた聖学院大学の宮本悟教授に話を聞きました。
Q. 兵士の話からわかることは?
宮本教授
「『ウクライナと戦うことを知らなかった』というのはちょっと気になったというか、どう解釈したらいいのかというのは少し迷っています。
おそらく北朝鮮国内では、ウクライナでの戦争に関してほとんど報道していないんですよね。だから、北朝鮮の一般人はウクライナと戦っているという認識は多分ないと思いますし、ウクライナという国すら知らない人が大半だと思うんです。
それが、戦闘員まで知らなかったとなると、やはり司令官レベルでしか知らないんでしょうし、兵士たちは徹底して命令に従っているだけですよね。ここまで統制が取れてるというのは逆に怖い気がしました」
「どこと戦っているかを知らなくても戦える、そして捕虜になりかけたら自爆できるというだけの統制が取れているというのは、あまり聞いたことがありません。普通、敵に対する憎しみがないまま戦える人間ってなかなかいないものですからね。
アメリカ軍でも、中国でも韓国でもそうですが、敵はどこなのか、そして、それに対する憎しみというのを兵士に徹底して埋め込むんです。でなければ戦えないんです。
相手がいいやつだとか思いながら戦ったらね、相手を殺せないですから。この辺がどういう教育をしているのか、すごく不思議に思いました。これでも人を殺せるのかとびっくりしましたね」
Q. 北朝鮮軍の戦闘どう見る?
「死を恐れない戦闘ぶりというのは北朝鮮らしいと言えば、北朝鮮らしいというふうに考えます。今までもそうだったし、朝鮮戦争は特にそうでしたから、それが継承されているのでしょう。
もし朝鮮戦争の戦い方をそのまま継承している部隊があるとすれば、継戦能力、つまり戦闘を持続できる期間が大体2週間ぐらいなんですよね。
これは武器弾薬、食料などを背負って、それで戦うんですが、それがなくなるのが大体2週間ぐらいなんです。だからそうなると1回後方に退いて、そして補給を受けて、そして態勢を整えて、もう1回攻撃してくるということになるんです。
補給にどれぐらい時間がかかるのかはちょっとわからないんですが、同じぐらいの時間、2週間から1ヶ月ぐらいかかって、それでまた再び戦場に現れるという形になるんじゃないでしょうか」
Q. 捕虜になった兵士の役割は何だったと見られる?
「捕まった時に彼は銃を持っていなかったそうですよね。北朝鮮では銃と自分を一体だというふうに教えているんです。だから、銃を失うということは死ぬということなんですが、それが生きているということは、銃を持って戦うような要員ではなくて、その後ろからサポートする、または情報収集をする、記録を取る、そういった役割だったのかもしれません。
これはもちろん私の推測でありまして、確実な情報に基づいたものではありませんが、少なくともわれわれが想像する、銃を持って前線で戦っている兵士ではなさそうです。
一応、前線の部隊ではあるんでしょうが、その前線の部隊で本当に銃を持って突撃していくのは3分の1ぐらいで、後ろで弾薬とかを持っていたり、食料を管理したりする人たちもいて、前線にいるから必ず戦闘員、というわけではないんですよね」
Q. 北朝鮮の捕虜は初めて?
「海外派兵で捕虜が確認されたのは、これが初めてです。
今までベトナム戦争でも、第4次中東戦争でも、ほかのアフリカのいろんな戦闘でも、捕虜になったという北朝鮮の兵士は今まで確認されたことがありません。
朝鮮戦争以来、捕虜になるというのは最大の恥であり、祖国、または最高指導者に対する裏切りであるという認識があります。ですから、捕まる前に自害する、敵を巻き込んで自分も死ぬということをするんです」
Q. なぜ今回は捕虜になった?
「それは1人になっていたということです。
北朝鮮は、一般社会でも1人で行動することを絶対に許しません。2人以上で行動するんです。
それは悪い意味で言うと、お互いに監視しているわけですが、北朝鮮では、人間というのは集団で動くものであって、1人の意思で動くというのは、これは自由主義であるからよくないというふうにされていたんですよね。
なぜ今回、捕虜になったのかというと誰も見ていないから。味方が誰も見てないから、捕虜になってもそこまで恥だと思わなかったんですよね。
もし仲間がいたら大変な恥なので、もう自害してでもなんでもいいから、とにかく死を選んだと思うんです。捕虜になる条件というのは、1人になってしまった、またははぐれてしまった、誰も味方が見ていない状況だから生じた、1つのちょっと奇跡的な状況があったからではないかと思います」
Q. 北朝鮮の今後の増派は考えられるか?
「そうですね。目的がロシアに勝利をもたらすということであれば、これはやっぱり最後までやるだろうと思います。ロシアが負けたら北朝鮮の敗北と同じなので、それはできる限り避けたい。だから、多少の犠牲は顧みずに派兵する可能性は十分にあります。
ただ、形としては交代だと思います。こういう海外派兵は長期間にわたって派兵するのではなく、交代制なんですよね。昔からそうでした。長ければ半年、短ければ3か月ぐらいで交代しています。
だから負傷兵、そして十分に戦った人たちは1回後方に退いて、極東あたりに戻って、そして新しく派遣されてきた人たちが戦線に投入されるという形になると思います」
「それともう1つ言えば、北朝鮮の核兵器開発がほぼ終わった、すでに核抑止力をもっていて、他の国が北朝鮮に攻め込むことはほぼ不可能だという確信をもう持っているんでしょう。今までこれほど大量の陸軍を出すということはできなかったのに、今回出せたというのは、それだけ自国の抑止力に対して自信を持っていることの表れでもあるのだと思います」
(1月23日 国際報道2025で放送)
国際部記者
松本 弦
2018年入局 大津局を経て2022年より現所属
欧州や文化分野などを取材
国際部記者
吉塚 美然
2019年入局 初任地の福井局を経て2023年8月から現所属
福井局では拉致問題 現在は朝鮮半島を中心に軍事・安全保障分野を取材
「捕虜は最大の恥」?北朝鮮兵士の実態に迫る

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「捕虜は最大の恥」?北朝鮮兵士の実態に迫る

「北朝鮮の兵士は突然、走り出し、コンクリートの電柱に頭をぶつけて倒れました。自殺しようとしたのです」

ロシア西部クルスク州での戦闘で捕らえた北朝鮮の兵士について、ウクライナ軍の兵士はこう話しました。

なぜ北朝鮮の兵士は自殺しようとしたのか。捕虜になった兵士のことばからどんなことが読み解けるのか。専門家の分析も交え、詳しく解説します。

(国際部記者 松本弦 / 吉塚美然)

インタビューに応じたのは

ウクライナ軍の第95独立空挺強襲旅団の兵士として、ロシア西部クルスク州で戦闘任務についているマクシム氏です。

クルスク州では、北朝鮮の兵士がロシア軍に加わってウクライナ側と戦っていますが、1月上旬の戦闘の後、北朝鮮の兵士1人を捕らえたというマクシム氏。

NHKのインタビューに応じ、そのときの状況などについて明らかにしました。
インタビューに応じたのは
ウクライナ軍 第95独立空挺強襲旅団の兵士 マクシム氏
Q. どうやって北朝鮮の兵士を捕虜に?
マクシム氏
「1月上旬の早朝、われわれのウクライナ軍の陣地を北朝鮮の部隊が襲撃しました。彼らは5~8人のグループで攻勢を仕掛けてきて、激しい戦闘になりました。その後、無人機で周囲を確認したところ、負傷した兵士が1人いることに気がついたのです。
その兵士が何者か確認し、負傷している場合は手当てをするよう命令を受けたので、同僚とともに兵士がいる場所に向かいました。
兵士はくぼ地のような場所にいて、われわれは5メートルほどの距離をとり、少し高くなっているところから声をかけましたが反応はありませんでした。『助けが必要か?』とウクライナ語とロシア語、英語で呼びかけましたが返事はなく、こちらを向いたときに顔を見て北朝鮮の兵士だと思いました」
Q. 北朝鮮兵士の状態は?
「兵士は20代であごや腕などを負傷し、混乱した様子でした。身につけていた防弾チョッキに手りゅう弾やナイフがついていましたが、それ以外に武器はありませんでした。
われわれは北朝鮮の兵士が周囲を巻き込んで自爆するケースがあることを知っていたので、手りゅう弾やナイフをその場に置くことや、彼が何をすべきか身振りで示しました。そうすると、彼は『はい、はい』という感じでうなずいて指示に従っていました」
取り調べを受ける北朝鮮兵士とされる1人
Q. 北朝鮮兵士は抵抗しなかったのか?
「彼は抵抗しませんでしたが、それは何も理解していなかったからです。自分がどこにいて、誰と一緒にいるのか、わかっていなかったのだと思います。私たちは彼にたばこを吸わせて落ち着かせましたが、移送用の車が到着すると緊張し始めました。
ロシア軍の車両にはVやZの文字が書かれていますが、ウクライナ軍のものには三角形のマークが書かれています。車両に三角形のマークがあるのに気づき、これからどうなるのか不安になったのだと思います。
そして、彼を車まで連れていこうとしたとき、突然、コンクリートの電柱に向かって走り出し頭を電柱にぶつけて倒れたのです。ヘルメットもつけていない状態でした。自殺しようとしたのだと思います」
三角形のマークが描かれたウクライナ軍の軍用車両
Q. 北朝鮮の部隊の戦い方は?
「北朝鮮の兵士は、戦場で仲間がけがをすると、たとえすでに死んでいたとしてもすぐに駆けつけて連れ戻そうとします。私の個人的な見解ですが、彼らは、北朝鮮が戦闘に参加している、ロシア軍の一部としてウクライナと戦っている証拠を残さないようにしているのではないかと思います。
また北朝鮮の部隊は北朝鮮の兵士だけで編成され、1人や2人ではなく、100人単位で攻勢をしかけてくることがあります。数で圧倒してくるため、前線では非常に厳しい戦いを強いられます。
さらに彼らは身体能力や射撃の技術も高く、偵察用の無人機をかなり正確に撃ち落とすことができます。ロシア軍と比べると、北朝鮮の兵士の方がよく訓練されていると思います」
北朝鮮兵士とされる画像

北朝鮮兵士の話 専門家はどう見る?

ウクライナのゼレンスキー大統領は1月、捕虜にした2人の北朝鮮兵士の動画をSNSに投稿。

ウクライナ側の取り調べに対し、「ただの訓練だと聞いていた」「戦っているのがウクライナ人だということも知らなかった」などと話している様子を公開しました。

捕虜になった兵士の発言などからどんなことが読み解けるのか。北朝鮮の軍の歴史を研究してきた聖学院大学の宮本悟教授に話を聞きました。
聖学院大学 宮本悟教授
Q. 兵士の話からわかることは?
宮本教授
「『ウクライナと戦うことを知らなかった』というのはちょっと気になったというか、どう解釈したらいいのかというのは少し迷っています。
おそらく北朝鮮国内では、ウクライナでの戦争に関してほとんど報道していないんですよね。だから、北朝鮮の一般人はウクライナと戦っているという認識は多分ないと思いますし、ウクライナという国すら知らない人が大半だと思うんです。
それが、戦闘員まで知らなかったとなると、やはり司令官レベルでしか知らないんでしょうし、兵士たちは徹底して命令に従っているだけですよね。ここまで統制が取れてるというのは逆に怖い気がしました」
「どこと戦っているかを知らなくても戦える、そして捕虜になりかけたら自爆できるというだけの統制が取れているというのは、あまり聞いたことがありません。普通、敵に対する憎しみがないまま戦える人間ってなかなかいないものですからね。
アメリカ軍でも、中国でも韓国でもそうですが、敵はどこなのか、そして、それに対する憎しみというのを兵士に徹底して埋め込むんです。でなければ戦えないんです。
相手がいいやつだとか思いながら戦ったらね、相手を殺せないですから。この辺がどういう教育をしているのか、すごく不思議に思いました。これでも人を殺せるのかとびっくりしましたね」
Q. 北朝鮮軍の戦闘どう見る?
「死を恐れない戦闘ぶりというのは北朝鮮らしいと言えば、北朝鮮らしいというふうに考えます。今までもそうだったし、朝鮮戦争は特にそうでしたから、それが継承されているのでしょう。
もし朝鮮戦争の戦い方をそのまま継承している部隊があるとすれば、継戦能力、つまり戦闘を持続できる期間が大体2週間ぐらいなんですよね。
これは武器弾薬、食料などを背負って、それで戦うんですが、それがなくなるのが大体2週間ぐらいなんです。だからそうなると1回後方に退いて、そして補給を受けて、そして態勢を整えて、もう1回攻撃してくるということになるんです。
補給にどれぐらい時間がかかるのかはちょっとわからないんですが、同じぐらいの時間、2週間から1ヶ月ぐらいかかって、それでまた再び戦場に現れるという形になるんじゃないでしょうか」
北朝鮮の“特殊作戦軍”(2017年)
Q. 捕虜になった兵士の役割は何だったと見られる?
「捕まった時に彼は銃を持っていなかったそうですよね。北朝鮮では銃と自分を一体だというふうに教えているんです。だから、銃を失うということは死ぬということなんですが、それが生きているということは、銃を持って戦うような要員ではなくて、その後ろからサポートする、または情報収集をする、記録を取る、そういった役割だったのかもしれません。
これはもちろん私の推測でありまして、確実な情報に基づいたものではありませんが、少なくともわれわれが想像する、銃を持って前線で戦っている兵士ではなさそうです。
一応、前線の部隊ではあるんでしょうが、その前線の部隊で本当に銃を持って突撃していくのは3分の1ぐらいで、後ろで弾薬とかを持っていたり、食料を管理したりする人たちもいて、前線にいるから必ず戦闘員、というわけではないんですよね」
戦場での北朝鮮の兵士とされる画像
Q. 北朝鮮の捕虜は初めて?
「海外派兵で捕虜が確認されたのは、これが初めてです。
今までベトナム戦争でも、第4次中東戦争でも、ほかのアフリカのいろんな戦闘でも、捕虜になったという北朝鮮の兵士は今まで確認されたことがありません。
朝鮮戦争以来、捕虜になるというのは最大の恥であり、祖国、または最高指導者に対する裏切りであるという認識があります。ですから、捕まる前に自害する、敵を巻き込んで自分も死ぬということをするんです」
Q. なぜ今回は捕虜になった?
「それは1人になっていたということです。
北朝鮮は、一般社会でも1人で行動することを絶対に許しません。2人以上で行動するんです。
それは悪い意味で言うと、お互いに監視しているわけですが、北朝鮮では、人間というのは集団で動くものであって、1人の意思で動くというのは、これは自由主義であるからよくないというふうにされていたんですよね。
なぜ今回、捕虜になったのかというと誰も見ていないから。味方が誰も見てないから、捕虜になってもそこまで恥だと思わなかったんですよね。
もし仲間がいたら大変な恥なので、もう自害してでもなんでもいいから、とにかく死を選んだと思うんです。捕虜になる条件というのは、1人になってしまった、またははぐれてしまった、誰も味方が見ていない状況だから生じた、1つのちょっと奇跡的な状況があったからではないかと思います」
訓練中の北朝鮮の兵士
Q. 北朝鮮の今後の増派は考えられるか?
「そうですね。目的がロシアに勝利をもたらすということであれば、これはやっぱり最後までやるだろうと思います。ロシアが負けたら北朝鮮の敗北と同じなので、それはできる限り避けたい。だから、多少の犠牲は顧みずに派兵する可能性は十分にあります。
ただ、形としては交代だと思います。こういう海外派兵は長期間にわたって派兵するのではなく、交代制なんですよね。昔からそうでした。長ければ半年、短ければ3か月ぐらいで交代しています。
だから負傷兵、そして十分に戦った人たちは1回後方に退いて、極東あたりに戻って、そして新しく派遣されてきた人たちが戦線に投入されるという形になると思います」
「それともう1つ言えば、北朝鮮の核兵器開発がほぼ終わった、すでに核抑止力をもっていて、他の国が北朝鮮に攻め込むことはほぼ不可能だという確信をもう持っているんでしょう。今までこれほど大量の陸軍を出すということはできなかったのに、今回出せたというのは、それだけ自国の抑止力に対して自信を持っていることの表れでもあるのだと思います」
(1月23日 国際報道2025で放送)
国際部記者
松本 弦
2018年入局 大津局を経て2022年より現所属
欧州や文化分野などを取材
国際部記者
吉塚 美然
2019年入局 初任地の福井局を経て2023年8月から現所属
福井局では拉致問題 現在は朝鮮半島を中心に軍事・安全保障分野を取材

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