超エリート校・浦和高校の校歌指導は「地獄の時間だった」 新入生を追い込む「伝統」に疑問の声
●生徒会がヤジを飛ばして「新入生」を追い込んだ
1990年代に入学したCさんは合格後、校歌と応援歌の音源をもらった。覚えてくるようにと書かれていたので、何度か音源を聞いたという。しかし、校歌指導の案内はなく、事前に知らされていなかった。 「オリエンテーションと同じ会場で、校歌指導がありました。いきなり照明が落とされて、周囲に学ランを着ている応援団が立っていました。一番前に応援団長がおり、『これから校歌指導を始める』と言いました。他に5、6人の団員がいました」 指名されなかったが、そのときのことは強く脳裏に刻まれている。 「ひたすら、『指名されないでくれ』と願っていました。そもそも人前で歌うのが、嫌なんです。なのに声を大きくしても、応援団に『これじゃダメだ』と言われ、彼らと同じ発声法を強いられます。校歌は覚えていても、あんな歌い方は知りません。これだけはやりたくないと、ずっとビクビクしていました。 1曲歌い切ると、次の人が指名されます。『○組○番、立て!』と言われ、一度に3、4人が立つのです。歌える人もいますが、2番を歌うように言われると最悪です。そこまで覚えてないでしょうし、歌えないと応援団に囲まれます。応援団は体育館の中をぐるぐる回っていました」 歌えない場合は、ステージ前に行かなければならない。そんなときは、2階席から生徒会がヤジを飛ばして、新入生を追い込んだ。 「終始、頭の中がパニックです。もともと穏やかに育っていたために、こうしたムードにさらされることは得意ではありません。いつ指名されるかもしれないのが、恐怖でした。泣いている人がいたかどうかはわからないのです。正直、周囲を気にしているどころではなかったんです」
●生徒会に直訴したが「けんもほろろ」
こうした校歌指導について、在学中に「人権侵害」と感じ、生徒会に直訴したOBもいる。2010年代に入学のDさんだ。校歌指導のときに指名された同級生が不登校になっていると聞いたことがきっかけだ。 「早いタイミングで学校に来ていなかったので、校歌指導のせいではないかという噂が流れていました。もともと人権侵害だと思っていたために、その話を聞いた辺りから疑問に思うようになりました。下級生を不登校に追いやっていい理屈なんてありません」 2年生のとき、Dさんは友人を通じて、生徒会の定例会に参加して、次のように校歌指導やめるべきだと主張した。 <精神的に人を追いやって不登校においやるリスクがあることをするのはメリットがない。指導中はトイレにも行けず、人権侵害だ。校外から抗議を受けることもあり得るし、それもリスクだ。『浦和高校には理不尽なことがある。その理不尽に慣れるため』という理屈はおかしい。緊張を強いて、弛緩にいたる過程は洗脳セミナーと同じだ> しかし、やめさせることはできなかった。 「生徒会は、校歌指導という通過儀礼を乗り越えた人たちです。『やめさせたいなら、お前が生徒会に立候補すればよかった』と言われたりしました。浦和高校の校歌指導は、恫喝と不可分です。平和なかたちが想像できません」