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フィンランド人に幸福度ランキングが高い理由を聞いてみた

毎年調査されている世界幸福度ランキング。2024年度の結果が今週発表され、今年もフィンランドが1位に選ばれた。2018年以降はフィンランドがずっとトップを堅持しており、今年で7年連続らしい。

この「世界幸福度ランキング」には納得できない、という声も聞く。例えば、本当に幸福度を測るのに適した指標が選ばれているのか、という疑問が呈されたり、「日本人は謙虚な国民性だから『私は幸福です』なんて言わないもんだ」といった国民性の影響を指摘する意見があったり。

・・・まあ、そんな議論や批判があることは理解しているんだけれど、それはさておいて、このランキングは多国籍な人たちの間で会話のネタとして充分におもしろい切り口。僕がむかしドイツで働いていた当時、職場にいた同僚のフィンランド人女性に、フィンランドの幸福度ランキングが高い理由を聞いてみた。

フィンランド人
「みんなからその質問をされるんだけどね。正直、ハッキリした理由は私にはよく分からない。なんとなく思い当る点を挙げてみると・・」

と、彼女が思い当たる、関係しそうな要素を挙げてくれた。

フィンランド人同僚が考える幸福度ランキングが高い理由

①働く時間が短い

「ドイツでは普通一日に8時間も働くでしょ。フィンランドでは一般的に一日7.5時間労働で短い。そして仕事が終わったら、みんなきっちりと気分を切り替える」

②在宅勤務が一般的

「フィンランドの多くの企業は、従業員がどこで働こうがそれは従業員に委ねられる。ホームオフィス(在宅勤務)で働くのも、ごく普通の事。会社と従業員の間には信頼関係があって、家であっても怠けずきっちりと働いているだろう、という前提に立っている。だから必ずしも職場に通える場所に住む必要はない。どこにでも住めるっていうのがいいよね」

(注)この話を聞いたのは2020年2月。まだコロナによるホームオフィスが世界で急速に普及する前の話だった。

③ITが発達

「役所の手続きでもなんでも、ネットでできる環境が整っている。フィンランドは小さな国だから、そういった社会インフラを比較的手軽に整備したり、最新のものに置き換えたりできるのがいいよね」

④男女が対等

「男女が同じ権利を持っていて、完全に対等な立場と言える。そうなった理由には歴史的な経緯があってね。フィンランドは第二次世界大戦でソ連に領土を荒らされてしまって、その疲弊した国土を回復させるために、男性の労働力だけでは足りなかったから、女性も同じように働く必要があったの。だから女性もパートタイムではなく、フルタイムで働くのが一般的になっている」

⑤信頼できる福祉社会

「市民は政府に対してとても重い税金を払っている。けれどその分、もし社会から落伍してしまっても、社会福祉で国がきっちり面倒を見てくれて、それなりの生活は保障されている。国への信頼感があるから成り立つ話だろうけど、安心して暮らせるよね」

⑥ゆとりある教育システム

「教育システムがゆったりと組まれているから、子どもの頃に勉強で過度の競争にさらされる、といったストレスが少ない」

といった要素を挙げてくれた。

彼女の挙げた内容をざっと見てみると・・。おそらく彼女の性格が影響しているのだろう、どちらかと言えば「ストレスに感じる要素が少ない」ことが多く挙げられた。

【補足】

この話の前提について、僕から一つだけ補足を。北欧やドイツなどゲルマン系の人たちは「家で食事をきっちり食べる人が少ない」という傾向があって、それが幸福度に何らか影響を及ぼしている、と僕は思っている。

このフィンランド人同僚もそうだし、他のドイツ人同僚たちからも話を聞くと、家で料理する頻度や時間が一般的な日本人家庭に比べるとかなり少ない。「お昼ご飯を学校や会社の食堂できっちり食べたら、もうそれでいいでしょ。もし朝や夜に何か食べたいんだったら、自分でパンとかチーズを買ってきて(冷蔵庫の前で立ったまま)食べれば充分じゃない?」といったコメントをよく聞く。このような日本人には真似しにくい食事スタイルは、彼らが体質からして違っていることによって成り立っていると思う。

いずれにせよフィンランドやドイツでは「食事を作ったり食べる時間が少ない」という傾向があることによって、食事の楽しみという要素で得られる満足は低くなるだろう一方で、時間的な余裕は増えてゆったりとした時間を楽しむことができる、といった影響があると思う。

つまり、日本とフィンランドでは、人生の中で満足を得るポイントや、時間の使い方など、幸福度に大きな影響を及ぼすであろう要素が前提からかなり違いがある、ということを補足しておきたい。

さて、次に幸福度ランキングから派生させて、個人の幸福の感じ方に話を移す。

あなたの幸福度において重要な要素はどっち?

以前の記事で書いたんだけど、同じ北欧に位置していて幸福度ランキング2位を誇るのがデンマーク。デンマーク人の男性同僚に幸福度が高い理由を聞いたことがある。彼の持論では「社会と個人の信頼関係が強い」ことがポイントだと言っていた。

この「社会への信頼」は、彼と話をした印象だと「ポジティブで誇るべき状態」という文脈で語っていた。

一方、今回のフィンランド人の女性同僚は、ここでもやはり「信頼」のキーワードは出てきたものの、比較的「ストレスに感じる要素が少ない」ことが多く挙げられた。要は「ネガティブな要素が少ない状態」という文脈で幸福度について語っていた。

この傾向の違いについては、僕の推測では国による文化の違いというよりも、二人それぞれの個人的な幸福の感じ方の違いが影響しているように感じている。

つまり人によって、ポジティブな要素の多い状態が幸福と感じるのか。それともネガティブな要素が少ない状態が幸福と感じるのか。この両者は人によって分かれる傾向があるのかも知れない。

僕の場合はどちらかと言えば、たぶん前者。日常生活や人生の中では、あまり悪い要素には目が向かず、それよりも日常や人生をとおして良い要素や満足できる要素をキッチリと得られるかどうかが重要。自分なりに満足できたかどうか、楽しめたかどうかに意味を見出す。その一方で、というか、それ故になのか、日常生活の中でネガティブな要素や不穏なシグナルを見落としがち。問題察知能力が低めと言えるかも。

でもうちの奥さんは逆に、幸福度において不快な要素が少ないことを重要視している傾向を感じる。不穏な兆候を察知する能力は彼女の方がずっと高い。

この違いについては、乱暴にグルーピングして男女による違いという推測もできる。たとえば古来の生活で、男性は狩りに出て獲物を取ってくる役割だったから、リスクよりも何かを得ることを求める脳のつくりになっているのでは、とか。一方で女性は古来の生活で出産・子育てなどの役割が大きく、不快な要素やリスクを察知する能力に長けているのでは、とか。もし、この傾向について統計を取ったら、男女という属性の違いによる有意な差が見つかるのだろうか。

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ということで、フィンランド人の同僚に幸福度ランキングが高い理由を聞いてみたら、ポジティブが多い状態の方が幸福を感じるか、それともネガティブが少ない状態の方が実は幸福を感じられるのか、という問いに行きついた。

さて、あなたはどちら派でしょうか?

by 世界の人に聞いてみた

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コメント

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世界の人に聞いてみた
世界の人に聞いてみた

ポッペさん
北欧の福祉社会って、やはり理念として素晴らしいと思いますね。社会のみんなで支え合っていると感じながら人生を過ごすことができるのはいいなあと思います。特に、大きな流れとして富裕層だけが益々金銭的に豊かになっていき、一般の人々や取り残された人々には恩恵が行き渡らない傾向が加速しているようですので、まさに今こそ政府の出番で福祉国家的な方向性が解決方法の一つになるように思います。
女性は一般的に厄介ごとを押し付けられがちだったり、被害に遭う立場になりがちだから、マイナスが少ない方を望むということですね。確かにそういう面も強く影響していそうだと思いました。

世界の人に聞いてみた
世界の人に聞いてみた

ニョコロ*さん
拙記事から色々と考えて下さって嬉しいです、ありがとうございます。
なるほど、「人が好き勝手に暮らしている」ことと「自分と隣人や政治などの間で一定の信頼関係がある」というふたつの派閥の間で悩まれているのですね。
ニョコロ*さんの悩みを整理するヒントになるか分からないですが・・・、文化って一見して背反するようで、実は全てが必然で繋がっていることが多いと感じます。例えば、好き勝手と信頼関係って並立しない構図のようにみえて、でも「他人の振る舞いや言動は尊重する。それでも他人は、ある程度の節度の範囲中で善い行動してくれることは信じている。それこそが社会にとってベストな状態だ」という根底を人々が無意識にでも共有していれば、ふたつの派閥が両立するということはないでしょうかね。。。ドイツ人たちはよくそのバランスことを話していました。
この見方が的を得ているのか外しているのか分かりませんが、不可解に見えるケースでは「どっち」というより「なぜ両立するか」を考えてみるのも手かも知れないです。
では、またニョコロ*さんが書かれる異文化記事も楽しみにしています!

しあわせ探求庁
しあわせ探求庁

洞察に富んだ記事をありがとうございます。なんとニョコロ*さんもコメントされているではないですか✨

>ポジティブな要素の多い状態が幸福と感じるのか。それともネガティブな要素が少ない状態が幸福と感じるのか。

面白い尺度ですね。僕はどちらかというと、好き勝手やりたい方なので、「制限がない」状態を幸福と感じ、すなわち後者です。「何ができるの?」と聞くより、「何をやっちゃだめ?」を聞いて、ダメなこと以外は好き勝手やるぞ!というタイプです。

社会に対する信頼感は、北欧を語ると必ず出てきますね。ここで日本社会は……というより、日本に「社会」はないとする考え方もあるので(日本にあるのはあくまで「世間」とする、日本世間学会の説)そのあたりの考察が必要そうですね。(しあわせ探求庁:佐々木)

世界の人に聞いてみた
世界の人に聞いてみた

しあわせ探求庁:佐々木さん
コメントありがとうございます。なるほど、「やってはダメなことを聞いて、それ以外は好き勝手やる」って、私にはない発想でした。私の場合は、何かのイベントに参加した場合は、その場や会の趣旨を理解するようにして、その趣旨を達成するための行動を取ろうとしますね、間違いなく。これって性格が出るところなんですねー。

「日本に社会はなくて、あるのは世間だけ」に私は賛成派です。鴻上尚史さんとかよく主張されていますね。なので、欧州における社会に対する信頼感を、日本の場合と比較すること自体にそもそも無理があって、それ故に民主主義という制度も欧州のものと日本のものは本質から違っていると思います。

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