借金玉に、note社向けの開示請求を受けました
(注:本記事に登場する手続き・法律等に関する知識は、現時点での筆者の解釈に基づくものであり、誤りを含まない保証はできません。類似の対応を行う場合、本記事を参考にしていただくのは問題ありませんが、専門家に相談する、資料を参照するといった確認を必要に応じて行い、ご自身の責任で行動を決定してください)
借金玉からの開示請求だ
1月の末に、借金玉からの開示請求(発信者情報開示に係る照会)を受けていました。
note株式会社に対して、今井の個人情報の開示請求が申し立てられたのです。
メール本文には、「14日以内に、開示に同意するか不同意かを回答してください」と書かれており、以下が記載された書面が、note社からのメールに添付されていました。
開示請求の対象記事
今井の執筆したnote記事 https://note.com/shiro_imai/n/n5ef32255ba30
掲載された情報
弊社(原文ママ。社名は、書面のどこを見ても記載されず。「借金玉の権利を所有」する主体らしいので、借金玉社のことと思われる)が権利を所有する「借金玉」による削除済み有料記事のウェブアーカイブを無断記載している。
侵害された権利
著作権
名誉件
権利が明らかに侵害されたとする理由
請求人「借金玉」投稿の有料記事の無断コピー及び、それを利用した発信者「今井士郎」自身の有料note購入への誘導
以下のような虚偽による誹謗中傷の数々
借金玉は、下記のいずれかになりますね。
実際は開示請求も裁判もしていなかった → やってもいない開示請求や法的措置をやったかのように吹聴する嘘つき
開示請求はしたが裁判はしていなかった → 開示請求で得た個人情報を、裁判のために使用しないで死蔵している危険人物
開示請求も裁判も済ませていた → すでに裁判を行っているのに、「自分を裁判に引っ張り出すなんて酷い」というおかしな言い分で係争相手を誹謗中傷する卑怯者
かつて、敵対的立場であった人に「訴えるぞ」と圧力をかけていた
敵対者にひとたび訴えられると、敵対者に「哀れな障害者を訴える差別者」のレッテルを貼ることに腐心し、法廷での戦いから逃げ続けた
仕方なく開始した法廷でのやり取りも、支離滅裂・独善的で、多くの観衆に「失笑もの」と感じさせるに充分なものであった
敵対者の子供を殺害する計画に実際に着手していたことを告白し、「かつてあった計画を漏らしたこと」のみ反省する態度を固持している
発信者情報の開示を受けるべき正当理由
民事・刑事事件として処置をするため
開示を請求する発信者情報
発信者の以下情報
氏名又は名称
住所
電話番号
メールアドレス
証拠
今井の執筆したnote記事 https://note.com/shiro_imai/n/n5ef32255ba30 の魚拓
第一印象と、対応の検討だ
開示請求のファーストインプレッション
メールを読んで最初に脳裏に浮かんだのは、「借金玉、私企業への開示請求依頼とはいえ、ちゃんと手続きできたんだね、頑張ったね」でした。いや、マジで。
脳内のイマジナリー借金玉母ちゃんが「ホロリ」って擬音を出しながら泣いてましたよ。
そういえば、同じ記事をはてなブログに掲載した時も、借金玉から記事の非公開化を請求されて、請求が通ってしまっていました。
考えてみれば、類似のことを借金玉がやり遂げたのは、初めてではなかったんですね。
とはいえ、真面目に考えれば、あまり笑えない事態です。
なにせ、相手は「開示請求が通ったら、情報をネットに放つ」と言ってはばからないヤバい奴。
私の本名が、今井士郎という「ネットの向こうのヤバい奴に、数年単位で粘着しているヤバい奴」の名義と紐づけられて流布されては、たまったものではありません。
通常の訴訟であれば、裁判になった後の「有罪か・無罪か」、「高額の賠償が認められるか否か」あたりが勝敗ラインになるところですが、私の場合は、裁判になる前提となる「開示請求が通った」時点で「大恥をかくことが確定する」という敗北です。
来た書面は、なんの根拠もなく「今井は嘘つきだ!」と言ってるだけの内容ですから、私の視点からすれば反論は容易なのですが、私の価値観が司法に通じるかは分かりません。
これは、相談してみますか。
弁護士という人に。
弁護士費用って、おいくら?
私に、弁護士への伝手はありません。
何も知らない弁護士に、「ネットに借金玉って変な人がいまして。私はその人を数年来批判し続けてるんですよ。そしたら開示請求を受けましてね……」とか、長々と文脈をインプットするのは情けないし面倒臭い。
ここは、借金玉も推薦している借金玉の天敵、アルシエン法律事務所の清水先生に相談するのが一番楽かつ信用できるのではないでしょうか。
アルシエン法律事務所の料金表を確認してみましょう。
ふむふむ。単発の「相談」なら時間単金5,500円/30分。
依頼になると、今回のケースは「開示請求に係る回答書作成」ですから、77,000円~/通 ですか。
「相談」で済むと、大変にお手頃ですね。
回答書作成を依頼すると、まとまった金額がかかってしまいますが、まぁこの感じなら許容範囲か。
とにかく、「相談」の段取りを模索することにしました。
えりぞさんにご相談
私がウォッチしている借金玉の天敵、「えりぞ」さん。
2025年の年始ごろから借金玉の「訴えるぞ!」攻勢を受けていたので、実は「本当に訴えられたら、えりぞさんの弁護を担当されている、清水弁護士を紹介してください」と裏でお願いしていました。
今がその時だ。
清水弁護士の許可を取ったえりぞさんから、清水弁護士のメールアドレスを教えていただき、「今井と名乗ってる者でェ……借金玉から開示請求来ちゃいましてェ……」というメールを送りました。
30分かそこらで、お返事いただきましたね。
開示請求のメールが着信した15時から、弁護士さんとコンタクトが成立するまで、実に5時間。
借金玉社では、内容証明郵便を出すまでに、必要な情報が出そろってから1ヵ月かかるといいます。
そういった組織と比較して、たいへんに素晴らしいスピード感と言えるのではないでしょうか。
依頼には事務所に行かないといけないかと思いましたが、Web会議にも対応いただけるとのこと。
仕事の中抜けで対応できるので、大変助かります。
翌週に、Web会議でのアポイントを取り付けました。
情報を渡すと、先方には検討の手間が発生します。
正式に依頼する前にどれだけ情報を渡してよいものか迷ったのですが、こちらが依頼する意志を見せていた関係か、打ち合わせに先行して、必要事項の質問をどんどんいただきました。
打合せ前には、とりうる選択肢や料金の見込み等は、一通り提示していただくことができている状態となりました。
提示された回答書作成の料金、前述の最低料金よりはずいぶん高い……。
私の感覚で、『贅沢ぎみの国内旅行』くらいの金額ですかねぇ。
「この件だと、いろいろと資料を読み込みつつ対応することになるので」
ですよねー。
2万字 vs. 2万字のぶつけ合い(裏にいろいろと文脈もアリ)を読解して、主張を組み立てないといけないんですものね。
仕方ないか。
弁護士に相談だ
きまずいご挨拶
約束した打合せの当日、仕事の朝礼を終えた私は、自宅で私用PCを立ち上げてWeb会議に接続しました。
清水「清水です。よろしくお願いします」
今井「今井(実際は本名)です。よろしくお願いします。『しょせん他人事ですから』(清水先生が法律監修を担当されているマンガ作品)は全巻持ってます!」
清水「どうも」
清水「今井さん、ずいぶん長いこと借金玉さんを追われているようですが、なにかきっかけはあったんですか?」
今井「そこまで深い理由はないですよ? 敵対してない時に、『僕が不当だと言って欲しい』と言われていたとか、批判を始めたときに、『お前も訴えてやろうか』的な脅しを食らってカチンと来たとか、そのくらいです」
清水「……へー……」
清水先生の困惑が伝わってくる……。そうだよね……おかしいよね……!! こんなの……!!
無関係の弁護士に相談していたら、この恥をイチから長々と披露しなくてはならないところでした。これでも、傷は浅いのです。
対処方針と選択肢
打合せ当日、および先行したメールで教えてもらった内容は、こんな感じでした。
(今井の誤解を含む可能性があるので、類似の対応をする方は、こちらを過信しないで対応を検討してください。マジで。)
今は、発信者情報開示に関する裁判が起こされているわけではなく、note株式会社(以下、note社)という民間企業に開示請求がなされ、note社から、利用者である今井に意見照会が来ている段階。
「開示に不同意」という回答を、今井が自力で返しても、開示を避けられる可能性は充分にあると思う。
今井の「不同意」の回答に対して、借金玉が裁判で開示請求を行ってきた場合、今回の回答によるnote社への情報提供が不充分であると、開示請求がそのまま通ってしまうリスクがある。
大事を取るなら、借金玉の主張が失当であることを丁寧に示す回答を、今の時点で行っておくべき
相談開始当初は、「今井の作成した文書を清水先生に見せる。それでいけると清水先生のお墨付きをもらえたら『相談』だけで済ませて、自作の回答文書を提出する」という作戦を考えていたのですが、事前にちょっと高額な料金が提示されたことで、「それだけのお金がかかる文書の作成は、今井には無理だな」と逆に諦め、清水先生に回答の作成代行を依頼する方向に舵を切っていました。
打合せに先駆けて、「ぼくのかんがえた回答文書」を作成して清水先生に提示はしていたのですが、私の主張って「記事に書いていた、そのまま」の繰り返しになるので、途中で心が折れてたんですよね。
発言の証拠・根拠を丁寧に添付して論評している記事に「嘘! 嘘! 全部嘘! お前嘘つき!」と言われてるだけですもの。
「元の記事を読め」以外に、何を主張しろというのですか。
今井「回答書の作成代行料金、結構かかりますね。検討対象になる文字数、多いですもんね……」
清水「すみませんね」
いや、正当な対価なので、「すみません」ではないですが。
清水「今回は大づかみで依頼料金を設定しましたけど、実際にかかる作業時間に時間単金をかけて計算してたら、費用はもっとかかってました」
今井「ありがとうございます……!!」
打ち合わせは、回答文書の作成を正式に依頼することの同意と、その後の必要書面の確認と、ちょっとした世間話で無事に終了しました。
note社に「発信者情報開示に不同意」の回答だ
不同意回答は、無事に完了した模様
清水先生との打ち合わせから週末を挟んで、少し内容を相談しながら、不同意回答への添付文書を作成していただきました。
委任の手続きも実施し、note社への提出までひっくるめて、清水先生に実施いただくことに。
自宅にプリンタ・スキャナがないので、コンビニで作業をしないといけない押印文書の作成に一番手間取りましたね。週末に暇を見つけてコンビニ通い。
振り込みはいつでもどこでも即時できるので、ネットバンキングは神。
スキャナがらみの文書作成にモタつきそうな分、「依頼する気はありますからね!」というアピールも兼ねて、費用の振り込みは早め早めに実施しました。
回答文書を作成いただいたり、こちらから手直しのお願いをしたり。最終的に、「こちらの内容で、note社への回答をお願いします」と清水先生に連絡した当日中に、note社から「開示に不同意の回答を受け付けました」という返事をいただきました。
私は、最後まで「発信者情報開示に係る照会」の位置づけをよくわかっていなかったのですが、手続き的には以下のような位置づけだったようです。
今井から不同意の回答がなされたら、その旨を請求者(借金玉)に伝える。
今井が不同意の回答をした時点で、今回の請求に基づく発信者情報開示は行われない
(「今井の不同意を鑑みつつ、note社が開示有無の『検討』を行う」わけではない)開示がなされるとしたら、別件の開示請求ないし裁判が行われた後になる。それらがない限り、本件に付随する情報開示は行われない
上記の通り、「開示に不同意と回答すれば、とりあえず開示はされないのだ。開示されるとしたら、完全に別件の手続きだ」というのを明確に理解していたら、自力での回答書作成もアリだったかもしれませんねw
ともあれ、本ラウンドは決着が付き、私の情報が開示されるとしたら次ラウンド以降に持ち越されるようです。
次ラウンドの有無は不明ですが、とりあえずは一安心、かな?
このまま諦めて、おとなしく「違法にな」ってくれれば何よりなのですが。
不同意回答の内容
ここで、作成した不同意回答の概要をご紹介します。
全文は、有料エリアでご覧ください。
今井がアーカイブを貼った借金玉の記事が「有償記事」というのがそもそも虚偽である。対象は無料公開記事じゃないか。
今井が行ったのは、正当な引用と論評である
指摘された各記述は、借金玉の社会的評価低下をもたらさない。
各記述によって借金玉の社会的評価が低下するとしても、名誉棄損棄却の3要件を満たしている
公共性:借金玉は著名人であり、その情報には公共性がある
公益目的:著名人の言動と行動が一致するか、虚偽がないかを確認・検証することは公益を図ることにつながる
真実相当性:各項の記述は、当人の発信を元にしており真実相当性がある。それらに対する意見論評を行っているだけである
借金玉は、入手した個人情報の目的外使用もほのめかしているので、個人情報を渡すべきではない
記事購入・投げ銭のお願い
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
有料エリアに、清水先生に作成いただいた回答書(別紙)の全文を掲載します。
興味のある方は、購入の上で閲覧をお願いします。
今回の開示請求を受けた弁護士費用の出費は、私が10年来ささやかに積み重ねてきた、「ブログやnoteで稼いだ収益総額」の数倍に相当する金額となりました。
数年かけて「やったぜ! 飲み会1回分の金額が稼げた!」とかやってたお金が、全部吹っ飛びました。
同情してくださる方は、有料エリアの購入や追加の投げ銭をしていただけると助かります。
幸い、今回の出費で「今井が生活に困窮する」といったことは全くありませんので、そういう観点での購入・カンパは不要です。
Let me 焼け太り! の精神で有料エリアを設定していますので、購入いただける方はその認識でお願いします。
……と、お金目当てで「記事を購入してほしい」旨を書きましたが、日頃私のnoteを楽しんでくださっている方に、今回の有料パートは、読み物としてとても面白いものだという自信があります。
私の借金玉への批判を「ロジハラだw」と楽しんでくださっている方々がいますが、今回のロジハラ原稿は、プロの弁護士の本気によるものです。
借金玉のあいまいな理路を、容赦なく叩き潰すことを目的に書かれています。
私も少なからず関与して作成いただいた資料ですが、プロの論点はこうなるのかー、と納得することしきりでした。
「自分では、この文章は書けないな」と納得。
正直、読んでいて面白いです。
あなたにも、この爽快感を味わってほしい。
これも、私の偽らざる気持ちです。
ここから先は
¥ 500
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
購入者のコメント