長崎・島原半島最大規模の産科「島原マタニティ病院」閉院へ 少子化で収益悪化か 3月末で出産対応中止
島原半島にある三つの産科で最大規模の「島原マタニティ病院」(長崎県島原市新町2丁目)が3月末で出産の対応をやめ、7月末に閉院することが10日分かった。少子化から分娩(ぶんべん)数が減ったことによる収益悪化が一因とみられる。閉院までは婦人科の診療や乳児健診、予防接種などの外来診療を続けるものの、今後の地域医療への影響が懸念される。
吉田至幸院長は10日、本紙の取材に「閉院は心苦しいが、患者さんにご迷惑をかけないよう真摯(しんし)に対応している」と述べた。通院中の妊婦約130人には1月下旬に通知しており、近隣の産科を紹介するという。閉院理由については「諸事情により、としかお答えできない」と話した。
同病院は病床数30で、5人の医師が勤務する。1983年に開院し、市内を中心に島原半島一帯や里帰りした妊婦を受け入れてきた。現在の病院建物は2017年に新築している。
市によると、23年度の出生数は225人で、10年前と比べて4割減少した。吉田院長は、同病院においても取り扱う分娩(ぶんべん)数が年間約600件から約400件に減ったと説明する。医師や看護師ら約40人のスタッフは解雇し、病院建物の今後の利用については「未定」としている。
島原市医師会によると、1月下旬に同病院から閉院する旨の連絡があり、「今後の(経営の)見通しが立たない」と説明があった。島原半島の産科は他に「山崎産婦人科医院」(19床、島原市)、「いその産婦人科」(12床、南島原市西有家町)の2カ所がある。
マタニティ病院は半島で最大規模だっただけに、関係者間では「まさか」と驚きが広がった。「地域の産科はいつまで持つのか」「若い人がますます住まなくなる」といった声も上がる。島原市福祉保健部の森川正則部長は「急な事態に戸惑っている。市として子育て支援に力を入れているだけに残念。対応を検討したい」としている。 (本山友彦)











































