これは…関係者全員可哀想ですね…。あなたは自分の方が中華風世界観に詳しいと思ってらっしゃるようなのですが、原作者の方はそもそも自分のセンスでオリジナルの世界観を作っていたのでは?
感覚としては、伝統的な和装が好きな方と、自由に着物をファッションの中に取り入れたい方とで話が行き違ってるみたいな…。
「なぜショートヘアなのか」という問に対しては「原作者がそう設定したから」。
「なぜ冠をつけるのはNGなのか」という問も、「原作がそういう設定ではないから」。
「なぜ他の中華風と設定が違うのか」という問も同じくでしょうね…「原作者のオリジナル設定だから」かと。
原作の方は、あくまでエッセンスとして中華風を取り入れただけで、本当の中国の〇〇時代などにするつもりはなく、シンクレティズムというか、架空のミックスカルチャーな世界を作りたかったのでは?
対して、あなたは元々中華ものへの造詣が深く、「もし〇〇時代がモデルなら髪は長いはず」「冠をつけているはず」などなど、こういう設定のはず!という知識があるので、原作者のセンスでミックスされた部分が悉く気になってしまう。
加えて、実際描くとなった時に、架空のオリジナリティ溢れる建築様式や、コスプレした時に「あの作品だ!」と一発で解るようなオリジナリティのある服装デザインにしてほしい、というのは素人が考えるほど簡単なことではありませんよね。
ロボットものがこれほど世界的に流行し、所謂「売れ筋」にもかかわらず、新しい漫画作品が乱立するほどは出てこないのも同じ理由。
既にあるものを上手に描く能力と、架空のものを生み出し描くというのは、全然違う能力です。
おそらくですが、あなたの作風は実在するもののディティールをしっかり見つめて描く能力に長けた方なのでは?
そして、自分に依頼が来た時点で、その得意を活かそうと考えるのも当然かと。
参考にした資料があれば教えて欲しいという問いに、原作者から一冊も出てこなかったという時点で、オリジナル設定が確定したわけで、質問者さんも「ファンタジーは現実には存在しないけれど」と認めています。
にもかかわらず、新たにデザインする方向ではなく、
「ファンタジーにリアリティを与えて」
「原作の読み味や魅力を損なわない範囲で細かいところをより華後宮ジャンル向けに変更したり」
という発想になったのは、
自分の得意な方向に引き寄せようとした部分があったと思います。
漫画のクオリティを考えた時は、これは妥当な判断です。
だって、あなたが描くわけですから。
あなたの得意なところで勝負した方が、漫画としてのクオリティは高くなるに決まってます。
でも、これは原作者からすると原作の改変です。
ごくごく普通に考えて、事前に髪の設定や、冠等々、設定について細かいやり取りをしているのは、
「原作の世界観優先なのか」「クオリティのために、あなたの得意な方向に寄せるか?」の議論,バランスをどう取るかの相談をしていた状況です。
でも、あなたの文章を読む限り、なんの相談をされているのか理解していなかった気がします。
知識という錦の御旗が、あなたに「自分の方が正しい」という意識を持たせてしまっていたんじゃないでしょうか?
原作者は、不勉強で不見識だと決めつけてしまっていたのでは?
原作者が自分のセンスや意図を語ると「あなたの書いたその小説のジャンルは?」」「作家個人はよくても(中略)読者の多くは違和感と感じる」と、原作者のセンスを否定するということに疑問を抱かない状態になってしまった。
参考資料がないと言う言葉を、オリジナル設定だからと解釈するよりも、原作者の不勉強さの証のように捉えてしまった。
原作者は激怒してもよさそうな状況ですが、なぜそれを赦し、温かなメッセージを出してくれたかと言えば、あなたは原作者から見て、本当に一生懸命マンガを描いて下さってるからかと。
自分の趣味や考えとは違うけど、あなたがどれほど誠実な人で、一生懸命マンガを描いてくれてるか伝わってきているから、原作者はコミックスに対して温かなメッセージを出してくれた。
にもかかわらず、あなたはこの一連の流れで、「未熟な原作者」と思い始めてしまっているので、それもなお許せない。
いつのまにか、コミカライズの出来の方が原作より優れているという意識が芽生え、原作に足りない部分を自分が調べて、自分が膨らませて素晴らしいものにしてあげてるのに感謝が足りない!みたいな感情を持ってしまった…のかな?もしかして。
あなたが傷ついてるのは本当のことでしょうし、
あなたが努力しているのも本当のことかと思います。
が、原作者が可哀想すぎて、泣きそうになる状況です。
「この黒い感情を抱えながらコミカライズ作品をどうやって最後まで描ききれば良いのか」
「このクソデカ感情に苛まれないようにするには」
というのが相談内容だったので、はっきり書きますが、
大人なのは原作者の方であり、我慢してるのも原作者の方、ということをしっかり自覚してください。
あなたが素晴らしい作家なのは疑いようもない。
信頼できる、誠実な描き手だとも思います。
そして、作家らしく、非常にこだわりが強い。
自分のこだわりを尊重して貰わないとイライラするわけですよね。
怒りすら湧いてしまう。
そういう性格でも全然いいですよ。
作家さんですもん。
でも、そのこだわりが自分にだけあると思うのは、さすがに傲慢です。
他人の趣味や主義主張を、自分の趣味より下らないと、取るに足らないと切り捨てるのは幼稚な考え方です。
自分のこだわりや趣味を大事にして欲しいなら、
他人の考えにも敬意を持ってください。
他人の創作物への敬意をしっかり持てた時、黒い感情は消え去り、むしろ「私の好きな方向性で描かせてもらって、ありがたいなぁ…」と感謝を抱けるようになるのでは。
持てますように。