2025年2月10日

「トランプ大統領のガザ地区再建計画」

近況報告
今週は、東京と大阪で「アリエル・セミナー」が開催される週です。対象は、聖書塾修了生(アルムナイ)です。アルムナイプログラムは中川洋が担当していますので、私はこのセミナーには不参加です。アルムナイの皆さんが祝された学びをされますように、お祈りをお願いします。
 4月に対面式集会を予定しています。
 ①「ハーベスト春期聖会」を大阪と東京で開催します。
  大阪は4月12日(土)午前10:30から
  東京は4月20日(日)午後2:30からと、4月21日(月)午前10:30から
 ②沖縄でのペンテコステ合同礼拝の奉仕をお受けしました。
  6月8日(日)の午後、沖縄でメッセージを語ります。
沖縄に霊的覚醒がもたらされますように、お祈りください。

今回は、「トランプ大統領のガザ地区再建計画」について、私見を述べます。私の個人的な感想が多く出てきますので、皆さんのお考えと比較しながらお読みください。


行き詰まる二国家解決案
(1)「二国家解決案」とは、イスラエルとパレスチナの領土紛争を解決するための提案の一つで、国際的に長く認知されてきたものです。この案が目指すのは、イスラエルと独立したパレスチナ国家の平和的な共存です。しかし、二国家解決案の実現には多くの課題が残されています。
(2)国際社会が二国家解決案に固執している間に、ガザ地区の情勢は、悪循環を繰り返しています。士師記の時代にあったような負のサイクルが、21世紀の今も見受けられるのです。①ガザ地区の疲弊→②国際社会による経済的援助→③ハマスによる横領→④ハマスの勢力増強→ハマスによるイスラエルに対するテロ攻撃→イスラエルによる報復攻撃→イスラエルはジェノサイド国家だという非難→ガザ地区の疲弊。二国家解決案が進展しない中で、負のサイクルだけは回り続けています。近年、イスラエルのネタニヤフ首相は、二国家解決案を公に拒否しています。イスラエルとの平和共存を願わない人たちを相手に和平交渉をするのは、不可能だというわけです。
(3)このような情勢を背景に飛び出してきたのが、トランプ大統領の「ガザ再建計画」です。この計画を聞いたとき、筆者は思わず唸りました。「トランプは天才だ。誰も考えつかない斬新なアイデアを生み出すことができる。これは政治家の発想ではなく、不動産のデベロッパーのそれである」。トランプが提唱した「ガザ再建計画」の主な内容は、以下のようなものです。
 ①アメリカがガザ地区を引き受け、現在の建物を取り壊した上で、観光地として再開発し、「中東のリビエラ」とすることを目指す。瓦礫の山と化したガザ地区を更地にするということは、トンネル網の破壊によって、テロ組織ハマスを解体することも意味しています。
 ②ガザに住む約210万人のパレスチナ人を近隣のアラブ諸国、特にエジプトやヨルダンに一時的または恒久的に移住させることを考える。これは、とんでもない提案のように聞こえますが、見方によっては唯一の現実的な案なのかもしれません。トランプ大統領は、その後、「ガザ地区再建案は、別に急いでいるわけではない」と発言し、余裕を見せています。今回の提案が今後の中東情勢の安定化に一石を投じることは、間違いないでしょう。

トランプ提案に対する批判
(1)パレスチナ自治政府や国連、エジプト、ヨルダンなどのアラブ諸国は、ガザ住民の強制移住を「民族浄化」と非難し、トランプ提案に強く反対しています。反対する人たちの心情は、よく理解できます。彼らは、依然として「二国家解決案」という非現実的な案に固執しているのです。
(2)国際社会(多くの国や組織)も、ガザ住民の強制移住は国際法に違反し、人道的危機を引き起こす可能性があると指摘しています。この意見も、よく理解できます。ここで問うべきは、現状を容認し、負のサイクルが繰り返されるのを傍観するのは、人道的危機に加担することではないのかということです。
(3)名指しで指名されたエジプトとヨルダンは、ガザの住民の受け入れを今のところ拒否しています。過去の戦争や紛争により、多くのパレスチナ難民がエジプトやヨルダンに流入し、現在もその影響が続いています。ヨルダンに関して言えば、すでに約240万人のパレスチナ難民を受け入れています(2024年、UNRWA)。ガザ出身の難民 約18万5千人も含まれています。アラブ諸国は、テロリスト教育を受けたガザの住民たちの受け入れに関しては、極めて慎重です。

トランプ提案に対する称賛
(1)全体として、トランプ氏のガザ再建計画は、国際社会から批判を受けていますが、当事者であるイスラエルの一部指導者や支持層からは、称賛を受けています。
 ①イスラエルのネタニヤフ首相は、トランプ氏の提案を「今までに聞いたなかで初めての良いアイデアで、注目に値する」と評価し、「この案を進めて検討し、実行するべきだ」と述べています。「できない理由を考えるよりは、できる理由を考えようではないか」というのが、苦闘するリーダーの思いなのでしょう。
 ②国粋主義的なイスラエル人たち(入植運動関係者)は、トランプ氏の発言を支持しています。彼らは、ネタニヤフ政権の支持基盤を形成する人たちです。
 ③イスラエルの一部右派政治家たちもトランプ案を高く評価しています。イスラエルのカッツ国防相は、ガザ住民の「自主的な退去」に向けた計画を作成するよう軍に指示し、トランプ氏の「大胆な発案」に歓迎の意を表明しています。
(2)ガザ住民が「自主的な退去」に応じるかどうかに関しては、メディア情報(特にガザ地区のメディア情報)を鵜呑みにしてはなりません。マイクを向けられたときに、本音を吐露するガザ住民など一人もいないからです。彼らは、自らのいのちを守るために、ハマスが教える「建前」しか語りません。彼らの本音はどうなのか。具体的な資料はありませんが、筆者の感触では、相当数のガザの住民が「文字どおり解体現場のようなガザ地区」(トランプ氏のことば)から安定した地への移住を願っていると思われます。
(3)トランプ氏は、「ガザ地区再建計画」によって大きくポイントを稼いだと思います。①アラブ諸国(特にエジプトとヨルダン)がガザの住民を受け入れれば、彼の勝利です。②アラブ諸国がガザの住民の受け入れを拒否しても、彼の勝利です。なぜなら、ガザの住民たちはアラブ諸国から、文明と相容れない殺人的な狂人たちと判断されたことになるからです。トランプ氏がテロリストを助長するような政策を採用することは決してありません。

祈りのテーマ
 ①人質全員が速やかに解放されるように
 ②トランプ氏の「ガザ地区再建計画」のために
彼が提案した再建計画が、神の知恵によって導かれますように。平和を作り出す者に約束された祝福が下るように。
 ③ガザの住民が、移住を受け入れるように
多くのガザの住民が移住を希望しているはずです。彼らが安全に移住できるような環境と方法が早急に整備されるように。
 ④日本の政治家たちのために
日本もガザ難民を受け入れるようにとの圧力が米国からかかっているという報道がありました。石破首相は、トランプ大統領との会談を無事に終えましたが、今回は、ガザ難民受け入れのテーマは俎上に上らなかったようです。ガザ難民を日本に受け入れることは、将来に禍根を残す愚策です。日本の政治家たちが国益を守る決断をするように。

感謝。中川健一

 

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