揺れるフジテレビ 問われているものは 課題を探る

揺れるフジテレビ 問われているものは 課題を探る
「日々、会社が痛んでいる大変な状況だ。何かしら決断しないといけないタイミングが来る」

フジテレビの経営幹部が語ったのは、コマーシャルの見合わせが相次ぐ中での危機感だった。

トラブルに端を発した一連の問題は、経営幹部の辞任にまで発展した。

なぜここまで事態が悪化したのか、問われていることは何なのか。

経営幹部や専門家への取材から、その舞台裏を追い、課題を探った。
(経済部 取材班)

突然の会見 コマーシャル見合わせの拡大

1月16日、突然、情報が飛び込んできた。

翌日17日に、フジテレビの港浩一社長が、記者会見を開くというのだ。

タレントの中居正広氏と女性のトラブルにフジテレビの社員が関与していたなどと去年の年末から週刊誌で報じられ、説明が求められていたためだ。

NHKはオブザーバーとして参加が認められたが、出席できたのは1人。

映像の撮影は認められず、テレビ各社は記者が撮影した会見の画像のみ報じることになった。
会見で港社長は、今回のトラブルについて会社として発生直後に事態を把握しながら1年半にわたって中居氏が出演する番組の放送を継続していたことを明らかにした。

さらに弁護士中心の調査委員会で検証にあたることを公表したが、会社側は「日弁連=日本弁護士連合会のガイドラインに基づく第三者委員会ではないと思う」と発言。

閉鎖的な会見やあいまいさが残る内容に一気に批判の声が高まった。

大手企業も敏感に反応した。

企業の間で人権を尊重する意識が高まり、今回の問題を黙って見逃すわけにはいかなくなったからだ。

自社のコマーシャルの放送を見合わせ、公益社団法人の広告に差し替える動きが一気に広がった。

その数は、1月20日時点で少なくとも75社にのぼった。

次第に社内外から対応を求める声が強まっていく。

こうした状況に対して声を上げたのが、親会社のフジ・メディア・ホールディングスの社外取締役だった。
そのうちの1人、文化放送の齋藤清人社長。

1月21日の定例の記者会見で、臨時の取締役会の開催を求めたことを明らかにしたのだ。

フジテレビの1月17日の会見についても次のように苦言を呈した。
文化放送 齋藤清人社長
「あまりにも回答を差し控えるという場面が多くあった。結果、それを受けて今のスポンサー各社の動きにつながっている部分は否めない」
さらに、親会社の大株主「ダルトン・インベストメンツ」が、1月21日付けで会社に送付した書簡を公表。
すべてのメディアが参加できるよう会見を開くことや、調査委員会は日弁連のガイドラインに沿った委員構成とすることを要求した。

対応を迫られた、フジテレビと親会社。
1月23日に臨時の取締役会を開き、日弁連のガイドラインに沿った独立した第三者委員会の設置を決める。

3月末をめどに報告書を提出することも発表した。

一方、この日の夕方、フジテレビでは社員向けの説明会が開かれていた。

4時間を超える会合では、社員から役員の総退陣を求めるなどの厳しい声が相次いだという。

社長・会長の辞任 10時間超えの会見

社内外から強まる批判。

このころから経営陣の進退がささやかれるようになる。

取材では、当初、「調査結果が出る前に辞めるのは無責任ではないか」との声も聞かれていた。

しかし、コマーシャルの見合わせが急速に広がるなど、会社の予想を超える世論の反発に幹部の1人は「日々、会社が痛んでいる大変な状況だ」と漏らしていた。

前代未聞の状況に会社が出した答えは、臨時の取締役会を開いて、経営陣の責任について議論することだった。

「社長らの辞任は避けられない」との声も漏れ伝わる中、1月27日の会見直前の週末も幹部たちは出社して、記者会見の準備と並行して、水面下で人事の調整を行った。
1月27日の“やり直し”会見。

冒頭、会社は、港社長と嘉納修治会長の辞任を発表。

この日の記者会見は、オープンな形とし、会場には400人以上が詰めかけた。

午後4時から始まった会見は、質問が途切れることなく、途中、怒号も響いた。

終わったのは、日付をまたいだ翌日の午前2時24分。

10時間を超える記録的な長さとなった。
経営を揺るがす事態にまで発展した今回の問題。

焦点は、フジテレビのガバナンスの立て直しや経営刷新をどう進めるかに移っている。

会社側のどこに課題があるのか。

3つのテーマについて専門家に聞いた。

1.トラブル発覚後の会社の対応・ガバナンス

1点目がトラブルの発覚後の対応と、ガバナンスのあり方だ。
フジテレビは1月27日の記者会見で、おととし6月に中居氏と女性との間で起こったトラブルを把握し、8月に港社長に報告があったことを明らかにした。

港社長は「女性の体調の回復とプライバシーの保護を最優先に、限られたメンバーで情報を管理した」と説明。

会社は、社長らがコンプライアンス部門に伝えず、中居氏などへの十分な調査を「当事者以外が介入しづらい難しい問題」としてちゅうちょしたとした。

中居氏の番組起用は「唐突に番組が終了することで臆測を呼ぶことを憂慮した」としてトラブルの把握から1年半にわたって継続した。

フジテレビのコンプライアンス組織のトップを務める遠藤龍之介副会長は「去年12月の週刊誌の取材で知った」と語っているほか、グループで「コンプライアンス等委員会」を設けている親会社も把握したのは去年12月。

いずれも状況の把握が遅れていた。

社内のガバナンスは機能していたのか。

企業統治に詳しい青山学院大学の八田進二 名誉教授は、経営トップみずからが内部統制をいわば“無効化”したのも同然だと厳しく批判する。
青山学院大学 八田進二 名誉教授
「親会社の有価証券報告書やコーポレートガバナンス報告書を見ても、コンプライアンス体制や内部通報の体制は、形としては十分に整備されているようだ。ただ、リスク情報が社長の耳に入った時にそこで止めてしまって、本来対処すべき部署があるにもかかわらず、それを無視した。トップによる内部統制の無効化と言える状況で、重大な経営判断のミスだ。情報の伝達という内部統制の重要な要素が欠落し、体制が整備されていても絵に描いた餅で有効に機能せず、実効性が全く伴っていないのが問題だ」

2.情報開示のあり方

2点目は、情報開示のあり方。
1月17日にフジテレビが開いた会見は、急きょ、この月の下旬に予定されていた役員とメディアの懇親会を定例会見として前倒しして実施する形式としていた。

このため、定例の会見と同じ条件として映像の撮影を認めず、参加するメディアを限定するなどして、閉鎖的だと批判を受けた。

これについて港社長は1月27日の会見で、「オープンにした方がいいという議論もあったが、女性のプライバシー保護が頭にあり、最終的に私が判断した」と述べた上で、「これまでカメラを向けて疑惑を追及してきた立場にもかかわらず、メディアへの信頼を揺るがした」と陳謝した。

さらに調査にあたる組織について、1月17日の会見で会社は「日弁連のガイドラインに沿ったものではないと思う」とも説明。

あいまいな発言で調査の信頼性を疑われる結果となった。

企業の危機管理に詳しい東北大学の増沢隆太 特任教授は、情報開示に後ろ向きな姿勢が反発を招いたのではないかと指摘する。
東北大学 増沢隆太 特任教授
「1月17日の会見は、褒めるところがないくらい、すべて裏目に出た。事前にあの形で会見をすればこうした結果になることは簡単に想像がつくはずなのに、どうしてそれができなかったのか非常に疑問が残る。『回答を差し控える』という場面も多かったが、開示できる情報が限られていても、答えられないなりに表現を工夫すべきで、見せ方の部分でもコンテンツを作るテレビ局としてお粗末だった」

3.長く経営トップを務めた日枝取締役相談役は

3点目は、日枝久 取締役相談役についてだ。

日枝氏は、2017年に取締役相談役となるまで30年近く経営トップを務め、取締役在任期間は41年あまりと異例の長期にわたる。

フジサンケイグループの代表も務めるなど、グループの実力者として経営に影響力を及ぼしてきた。
親会社の金光修社長は日枝氏について「現場には直接タッチしていない立場ではあるが、やはりその影響力は大きいと思う。遠因というようなことで、この事例を捉えた場合にどうなのであろうかということも含めて考えなければいけない」と述べている。

1月27日の会見では日枝氏の責任や進退を問う質問が相次いだが、幹部らが一様に明言を避ける場面も見られた。

経済産業省が企業のガバナンスについてまとめた指針では、相談役は、財界活動などを通じて、会社に利益をもたらすこともあるとして「経営トップの経験者が相談役を務めることは一律に良い・悪いというものではない」とする一方、今の経営陣に対して不当な影響力が生じているという指摘があることも踏まえ、就任前に社内で役割を明確にするべきだとしている。

親会社の大株主「ダルトン・インベストメンツ」は、2月3日付けで親会社に対し、取締役相談役を務める日枝氏の辞任を求める書簡を送ったことを明らかにしている。

相談役の肩書きを持ちながら、取締役も務める日枝氏の立場が、企業のガバナンスにどのような影響を及ぼすのか。

企業のガバナンスに詳しい牛島信 弁護士は次のように指摘する。
牛島信 弁護士
「取締役相談役であるということは、必ず取締役会に出る立場だ。経営トップを経験するなど、力を持っていた人がいると取締役会の雰囲気を支配する、そういう社風の会社になってしまうということは言えると思う。今は会社の有事だ。まず本人がどう考えるのかが第一ではあるが、本人の意思がどうであろうと、取締役会として、取締役相談役という立場がふさわしいかどうかを社外の取締役を中心に議論して結論を出すべきだ」

今後の焦点は

今後の焦点の1つは、第三者委員会による事実関係の解明だ。

3月末をめどに、報告書を提出することになっている。

発端となった週刊誌報道では、週刊文春が、中居正広氏と女性とのトラブルが起きた当日の会食について女性はフジテレビの幹部社員に誘われたなどと報じていたが、その後の取材で女性は中居氏に誘われたことがわかったなどとして、おわびして訂正している。
会社の一連の対応が適切だったのかを含め、第三者委員会でどこまで検証されるか注目される。

第三者委員会の報告書の提出にあわせて、経営体制の見直しも進むとみられる。

親会社の社外取締役で作る「経営刷新小委員会」は、役員人事の情報の共有を求めるなど、選定プロセスに透明性を持たせるべきだと主張している。
フジテレビをめぐる一連の動きは、企業のガバナンスや、メディアのありようなど、さまざまな問いを投げかけた。

スポンサー企業のコマーシャル再開の動きは依然として見えていない。

信頼回復に向けて会社がどう対応していくのか、取材班として丁寧に見つめていきたい。
(1月27日「ニュース7」などで放送)
揺れるフジテレビ 問われているものは 課題を探る

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揺れるフジテレビ 問われているものは 課題を探る

「日々、会社が痛んでいる大変な状況だ。何かしら決断しないといけないタイミングが来る」

フジテレビの経営幹部が語ったのは、コマーシャルの見合わせが相次ぐ中での危機感だった。

トラブルに端を発した一連の問題は、経営幹部の辞任にまで発展した。

なぜここまで事態が悪化したのか、問われていることは何なのか。

経営幹部や専門家への取材から、その舞台裏を追い、課題を探った。
(経済部 取材班)

突然の会見 コマーシャル見合わせの拡大

1月16日、突然、情報が飛び込んできた。

翌日17日に、フジテレビの港浩一社長が、記者会見を開くというのだ。

タレントの中居正広氏と女性のトラブルにフジテレビの社員が関与していたなどと去年の年末から週刊誌で報じられ、説明が求められていたためだ。

NHKはオブザーバーとして参加が認められたが、出席できたのは1人。

映像の撮影は認められず、テレビ各社は記者が撮影した会見の画像のみ報じることになった。
会見で港社長は、今回のトラブルについて会社として発生直後に事態を把握しながら1年半にわたって中居氏が出演する番組の放送を継続していたことを明らかにした。

さらに弁護士中心の調査委員会で検証にあたることを公表したが、会社側は「日弁連=日本弁護士連合会のガイドラインに基づく第三者委員会ではないと思う」と発言。

閉鎖的な会見やあいまいさが残る内容に一気に批判の声が高まった。

大手企業も敏感に反応した。

企業の間で人権を尊重する意識が高まり、今回の問題を黙って見逃すわけにはいかなくなったからだ。

自社のコマーシャルの放送を見合わせ、公益社団法人の広告に差し替える動きが一気に広がった。

その数は、1月20日時点で少なくとも75社にのぼった。

次第に社内外から対応を求める声が強まっていく。

こうした状況に対して声を上げたのが、親会社のフジ・メディア・ホールディングスの社外取締役だった。
そのうちの1人、文化放送の齋藤清人社長。

1月21日の定例の記者会見で、臨時の取締役会の開催を求めたことを明らかにしたのだ。

フジテレビの1月17日の会見についても次のように苦言を呈した。
文化放送 齋藤清人社長
「あまりにも回答を差し控えるという場面が多くあった。結果、それを受けて今のスポンサー各社の動きにつながっている部分は否めない」
さらに、親会社の大株主「ダルトン・インベストメンツ」が、1月21日付けで会社に送付した書簡を公表。
すべてのメディアが参加できるよう会見を開くことや、調査委員会は日弁連のガイドラインに沿った委員構成とすることを要求した。

対応を迫られた、フジテレビと親会社。
1月23日に臨時の取締役会を開き、日弁連のガイドラインに沿った独立した第三者委員会の設置を決める。

3月末をめどに報告書を提出することも発表した。

一方、この日の夕方、フジテレビでは社員向けの説明会が開かれていた。

4時間を超える会合では、社員から役員の総退陣を求めるなどの厳しい声が相次いだという。

社長・会長の辞任 10時間超えの会見

社内外から強まる批判。

このころから経営陣の進退がささやかれるようになる。

取材では、当初、「調査結果が出る前に辞めるのは無責任ではないか」との声も聞かれていた。

しかし、コマーシャルの見合わせが急速に広がるなど、会社の予想を超える世論の反発に幹部の1人は「日々、会社が痛んでいる大変な状況だ」と漏らしていた。

前代未聞の状況に会社が出した答えは、臨時の取締役会を開いて、経営陣の責任について議論することだった。

「社長らの辞任は避けられない」との声も漏れ伝わる中、1月27日の会見直前の週末も幹部たちは出社して、記者会見の準備と並行して、水面下で人事の調整を行った。
1月27日の“やり直し”会見。

冒頭、会社は、港社長と嘉納修治会長の辞任を発表。

この日の記者会見は、オープンな形とし、会場には400人以上が詰めかけた。

午後4時から始まった会見は、質問が途切れることなく、途中、怒号も響いた。

終わったのは、日付をまたいだ翌日の午前2時24分。

10時間を超える記録的な長さとなった。
フジテレビ 清水賢治 新社長
経営を揺るがす事態にまで発展した今回の問題。

焦点は、フジテレビのガバナンスの立て直しや経営刷新をどう進めるかに移っている。

会社側のどこに課題があるのか。

3つのテーマについて専門家に聞いた。

1.トラブル発覚後の会社の対応・ガバナンス

1点目がトラブルの発覚後の対応と、ガバナンスのあり方だ。
フジテレビは1月27日の記者会見で、おととし6月に中居氏と女性との間で起こったトラブルを把握し、8月に港社長に報告があったことを明らかにした。

港社長は「女性の体調の回復とプライバシーの保護を最優先に、限られたメンバーで情報を管理した」と説明。

会社は、社長らがコンプライアンス部門に伝えず、中居氏などへの十分な調査を「当事者以外が介入しづらい難しい問題」としてちゅうちょしたとした。

中居氏の番組起用は「唐突に番組が終了することで臆測を呼ぶことを憂慮した」としてトラブルの把握から1年半にわたって継続した。

フジテレビのコンプライアンス組織のトップを務める遠藤龍之介副会長は「去年12月の週刊誌の取材で知った」と語っているほか、グループで「コンプライアンス等委員会」を設けている親会社も把握したのは去年12月。

いずれも状況の把握が遅れていた。

社内のガバナンスは機能していたのか。

企業統治に詳しい青山学院大学の八田進二 名誉教授は、経営トップみずからが内部統制をいわば“無効化”したのも同然だと厳しく批判する。
青山学院大学 八田進二 名誉教授
「親会社の有価証券報告書やコーポレートガバナンス報告書を見ても、コンプライアンス体制や内部通報の体制は、形としては十分に整備されているようだ。ただ、リスク情報が社長の耳に入った時にそこで止めてしまって、本来対処すべき部署があるにもかかわらず、それを無視した。トップによる内部統制の無効化と言える状況で、重大な経営判断のミスだ。情報の伝達という内部統制の重要な要素が欠落し、体制が整備されていても絵に描いた餅で有効に機能せず、実効性が全く伴っていないのが問題だ」

2.情報開示のあり方

2点目は、情報開示のあり方。
1月17日にフジテレビが開いた会見は、急きょ、この月の下旬に予定されていた役員とメディアの懇親会を定例会見として前倒しして実施する形式としていた。

このため、定例の会見と同じ条件として映像の撮影を認めず、参加するメディアを限定するなどして、閉鎖的だと批判を受けた。

これについて港社長は1月27日の会見で、「オープンにした方がいいという議論もあったが、女性のプライバシー保護が頭にあり、最終的に私が判断した」と述べた上で、「これまでカメラを向けて疑惑を追及してきた立場にもかかわらず、メディアへの信頼を揺るがした」と陳謝した。

さらに調査にあたる組織について、1月17日の会見で会社は「日弁連のガイドラインに沿ったものではないと思う」とも説明。

あいまいな発言で調査の信頼性を疑われる結果となった。

企業の危機管理に詳しい東北大学の増沢隆太 特任教授は、情報開示に後ろ向きな姿勢が反発を招いたのではないかと指摘する。
東北大学 増沢隆太 特任教授
「1月17日の会見は、褒めるところがないくらい、すべて裏目に出た。事前にあの形で会見をすればこうした結果になることは簡単に想像がつくはずなのに、どうしてそれができなかったのか非常に疑問が残る。『回答を差し控える』という場面も多かったが、開示できる情報が限られていても、答えられないなりに表現を工夫すべきで、見せ方の部分でもコンテンツを作るテレビ局としてお粗末だった」

3.長く経営トップを務めた日枝取締役相談役は

3点目は、日枝久 取締役相談役についてだ。

日枝氏は、2017年に取締役相談役となるまで30年近く経営トップを務め、取締役在任期間は41年あまりと異例の長期にわたる。

フジサンケイグループの代表も務めるなど、グループの実力者として経営に影響力を及ぼしてきた。
日枝久 取締役相談役
親会社の金光修社長は日枝氏について「現場には直接タッチしていない立場ではあるが、やはりその影響力は大きいと思う。遠因というようなことで、この事例を捉えた場合にどうなのであろうかということも含めて考えなければいけない」と述べている。

1月27日の会見では日枝氏の責任や進退を問う質問が相次いだが、幹部らが一様に明言を避ける場面も見られた。

経済産業省が企業のガバナンスについてまとめた指針では、相談役は、財界活動などを通じて、会社に利益をもたらすこともあるとして「経営トップの経験者が相談役を務めることは一律に良い・悪いというものではない」とする一方、今の経営陣に対して不当な影響力が生じているという指摘があることも踏まえ、就任前に社内で役割を明確にするべきだとしている。

親会社の大株主「ダルトン・インベストメンツ」は、2月3日付けで親会社に対し、取締役相談役を務める日枝氏の辞任を求める書簡を送ったことを明らかにしている。

相談役の肩書きを持ちながら、取締役も務める日枝氏の立場が、企業のガバナンスにどのような影響を及ぼすのか。

企業のガバナンスに詳しい牛島信 弁護士は次のように指摘する。
牛島信 弁護士
「取締役相談役であるということは、必ず取締役会に出る立場だ。経営トップを経験するなど、力を持っていた人がいると取締役会の雰囲気を支配する、そういう社風の会社になってしまうということは言えると思う。今は会社の有事だ。まず本人がどう考えるのかが第一ではあるが、本人の意思がどうであろうと、取締役会として、取締役相談役という立場がふさわしいかどうかを社外の取締役を中心に議論して結論を出すべきだ」

今後の焦点は

今後の焦点は
今後の焦点の1つは、第三者委員会による事実関係の解明だ。

3月末をめどに、報告書を提出することになっている。

発端となった週刊誌報道では、週刊文春が、中居正広氏と女性とのトラブルが起きた当日の会食について女性はフジテレビの幹部社員に誘われたなどと報じていたが、その後の取材で女性は中居氏に誘われたことがわかったなどとして、おわびして訂正している。
会社の一連の対応が適切だったのかを含め、第三者委員会でどこまで検証されるか注目される。

第三者委員会の報告書の提出にあわせて、経営体制の見直しも進むとみられる。

親会社の社外取締役で作る「経営刷新小委員会」は、役員人事の情報の共有を求めるなど、選定プロセスに透明性を持たせるべきだと主張している。
フジテレビをめぐる一連の動きは、企業のガバナンスや、メディアのありようなど、さまざまな問いを投げかけた。

スポンサー企業のコマーシャル再開の動きは依然として見えていない。

信頼回復に向けて会社がどう対応していくのか、取材班として丁寧に見つめていきたい。
(1月27日「ニュース7」などで放送)

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