「宝石」 サラリーマンの出張の友だった (1/2ページ)

2015.12.16


「宝石」1965年10月号 (光文社提供)【拡大】

 今やサラリーマンではなく、ビジネスマンのみが残る時代。「宝石」はかつて一世を風靡(ふうび)したその中堅サラリーマン層が地方出張に出かける際などの道連れだった。缶ビール、おつまみとともに駅売店で購入する。

 400ページを超える分厚さなので、3~4時間の列車内で読み通し「一冊読んだあ!」と満足感も味わえたもの。今回の出張は「宝石」にしようか、松本清張の新作にしようかと迷う選択肢のひとつでもあった。

 内容は、当時の会社員の一番の関心である、「出世」と「異動出向」、そして「定年」が3大噺のように中心だった。「やり手社員になるための情報収集術」(1968年11月号)、「出向社員 “トカゲの尻尾”となった人たち」(79年4月号)、「密着調査 定年3カ月前、その不安と悩み」(85年4月号)といった具合。

 一方、現在では少なくなりつつある「オトコの欲望モノ」もいたく充実(?)していた。かつて男性紙誌はどこでも、「五反田の駅そば、川沿いを数分歩くと週に1回だけ夜10時以降、おでん屋が出る。その親爺にソーセージを頼んだ後『いい娘いるかい?』と尋ねると…」といった夜の繁華街情報が必ず載っていたもの。

 同誌67年8月号では「関八州、赤線の火は消えず」と題して首都圏近郊の盛り場の歴史と消長を約30ページも特集している。「横浜」の項では中華街につき「一歩裏側にはいると一軒としてふつうのバーはなく、ほとんどがあやしいムードの外国人バーだ。(中略)たいがいの店にはパイラー(ぽん引き)がいて、外国人客をひっぱっている」と現在とは隔絶した風景が描かれる。

 

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