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5巻
5-1
《百八十六日目》
まだ朝日も昇らぬ時間。俺ことアポ朗は飛行型外骨格【翡翠鷲王の飛翼】を身に纏い、お転婆姫の依頼で来ていたシュテルンベルト王国の王都から単鬼で飛び立った。
最近特に冷え込む時期になってきていたので高速飛行はどうかと思っていたが、外骨格の防寒性は思っていた以上に優れており、分厚い凍雲の中に突っ込んでも全く寒くはなかった。
流石に外骨格の表面は薄く凍りついていたが、身震いすれば楽に剥がれる程度なので問題は特に無い。気にも留めずに、全速力で飛び続けた。
途中で飛行型モンスターと何度かすれ違ったが、その際に生じた烈風で簡単に吹き飛んでいたので、高レベルのモンスターではなかったらしい。
今は急ぎなので狩りはしなかったが、帰りに遭遇したら摘み食いしようと思う。どんな味がするのだろうか、少し楽しみだ。
目的地は、生まれ故郷の《クーデルン大森林》にある拠点である。
帰還理由は、昨日逝ってしまったゴブ爺との別れを済ます事だ。
ゴブ爺が死んでからまだ数時間しか経っていない。訃報を聞いた時刻が遅かったので昨日はさっさと寝てしまったが、普段よりも早く起きて帰還した為、朝日が昇り、拠点に残していた我が傭兵団《戦に備えよ》の団員達が本格的に活動し始めた頃には到着する事ができた。
残留組は、戦闘能力が低かったり、そもそも非戦闘員だったり、温泉施設などでの仕事があったりする猫妖精やコボルド、ドワーフや人間の女性が主だ。
誰にも帰ると伝えていなかったので顔を見せると驚かれたが、すぐに『アポ朗なら不思議ではない』と全員が納得していた。
まだ仲間入りして間もない者も多いのだが、皆ここで過ごす間に今まで持っていた〝常識〟が徐々に崩れ、すっかりここの〝常識〟に馴染んだので、こんな薄い反応となったようだ。
馴染む事によって他種族間でも仲間意識が生まれたり、恋愛感情を抱いたりするので都合は良いのだが、初期の新鮮な反応が見られなくなるのはちょっと寂しくもある。
ともかく、そんな団員達とすれ違う度に簡単な挨拶を交わしつつ、俺はゴブ爺が居る部屋に急いだ。
ゴブ爺の遺体は霊安室に安置されている。霊安室といっても、居住区を改造する内に不便だから、という理由で外したかつての坑道の奥深い場所だ。
ひんやりと肌寒いそこは、蟲などもあらかた駆除しているので、短時間なら死体の保管もできる。
それなりに広いので天然の食料保管庫としても使えるが、それは一先ず置いといて。
ゴブ爺は、平たい石に敷かれた毛皮の上に寝かされていた。
着ているのは普段通りに腰布一枚で、傍に愛用の杖がある。
外傷が無いのでパッと見では眠っているだけのようだが、見間違いようも無く死んでいる。まだ腐臭こそ漂っていないが、冷たくなった身体は二度と動きはしない。
アンデッドとなって動き出す、なんて事も無さそうだ。
まあ、アンデッドになっても弱いだろうけどな。
色々と確認した後暫く合掌し、黙祷。
南無。ゴブ爺の冥福を祈る。
改めて遺体を見ると、僅かながら寂しさを感じた。
涙を流したりはしないが、これからの鬼生でゴブ爺に対して感謝の気持ちが消える事は無いだろう。
ゴブ爺がいなければ、この世界の情報を得るのにかなり手間取っていたのは間違いない。大森林で採れる素材の使い方など、赤髪ショート達からでは得られないような情報はかなり多かった。
本当に、ゴブ爺には助けられたモノだ。
……と感謝した後、俺はゴブ爺の身体を丸々喰ってみた。己の肉体を操作して口を限界以上にまで広げ、三口で全身を喰い終える。
正直な話、ゴブ爺は美味しくない。痩せているので肉は少ないし、骨もボロボロで軽く噛んだだけで呆気なく砕け、喰い応えもない。それに死後数時間は経過している上、二十年以上生きた〝小鬼〟なので、新鮮とも言い難い。
それでも俺は血の一滴も残さずゴブ爺を喰い、その全てを自分の血肉とした。
そうする事が、正しいと思ったからだ。
[能力名【老鬼の知恵袋】のラーニング完了]
……正直、ラーニングできるとは思っても居なかった。
ラーニングには、相手がある程度強い事が条件であるが、ゴブ爺は弱過ぎるし、俺が使徒鬼に【存在進化】してから必要になった摂取量にも全く足りていないからだ。
だが、実際できてしまっている。
もしかすると、ゴブ爺は相当に知恵を蓄えていたかもしれない。かなりの確率であり得ないとは思うのだが、その可能性は捨てきれない。
俺がかつてゴブリンだった事で、そもそもラーニングし易い下地が既に出来ていたのか、あるいはゴブ爺には少なからず思い入れがあったから故か、そのあたりがラーニング成功率を引き上げていたのかもしれない。
ともかく、ラーニングできた原因については考えない事にする。
そもそも確率が変動するモノであり、ラーニングできたモノはラーニングできたモノなのだから考えても仕方ない。
取りあえず、早速【老鬼の知恵袋】を使ってみる。
だが何も変化はない。俺の視界には、ただ岩肌が剥き出しの洞窟が広がっているだけだ。
不発、という訳ではない。アビリティは確かに発動している。
今度はアイテムボックスから【弾けの実】を取り出してみた。
すると【弾けの実】を指すような逆三角形の幻影が見えた。以前は無かったので、【老鬼の知恵袋】の効果によるもので間違いない。さしあたって、それに触れるように念じてみた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名称:弾けの実
分布:クーデルン大森林全域、イスカリアン牢樹海、など他多数。
特性:一定以上の衝撃を与えると硬い種を周囲に撒き散らす。種は三~八個とバラつきがあり、数が多い程、種は小さく、また硬くなりやすい。
備考:食用に適しているのは種のみである。種もそのままだと硬過ぎて喰えたモノではないが、数時間じっくり煮ると柔らかくなる。食感は豚肉に近く、濃厚な味わいがある。
蘊蓄:弾けて種を散布する際、低確率ながら、飛び散った種に当たって死んだ小動物の死体を養分とする場合がある。そうなると通常よりも成長が早くなり、種の硬度、弾ける強さなどが上昇する。世界最強の弾けの実――その段階になると【滅爆の実】と呼ばれる――は、世界に五つしかない【大神級】の【神代ダンジョン】を内包する〝オルトリア死滅樹海〟にて確認されている。至近距離なら竜・龍の竜鱗や龍殻すら突破するらしく、ダンジョンに挑む者はまずその対策を講じる必要があると言われている。
更なる情報を閲覧しますか?
《YES》 《NO》
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
その後も幾つかのアイテムに試して分かったのだが、【老鬼の知恵袋】は大森林や樹海などで採れる素材の特徴や特性、モノによってはそれを使った毒薬の製作法などを、今まで知らなかった知識も含めて脳内に表示するという効果があるらしい。
どうやら【物品鑑定】などと同じ系統のアビリティらしいが、コチラの方が蘊蓄なども見えるので、より詳しい内容だ。
情報を読めない対象が多いのが欠点だが、蘊蓄は今後の為になるし……ちょっとだけ、【弾けの実】を本格的に育成しようかと思ったのは秘密である。
なんだよ、【滅爆の実】って。かなりヤバそうで、面白そうじゃないか。
ま、まあ、得られた知識の中には色々と応用が利きそうなモノもあったので、錬金術師さんとかと一緒に新薬の開発をする際、意外と発想の役に立ってくれるのでは、と期待しておく。
死んでからも何かと手助けしてくれそうなゴブ爺に向けて、再度合掌した。
ゴブ爺との別れを済ませて霊安室から引き返し、いい匂いがするので大食堂の方に行くと、厨房には朝食を作っている姉妹さん達がいた。
姉妹さんにはまだ顔を見せていなかったので、王都に行っているはずの俺が居る事にビックリされたが、すぐに笑顔を見せてくれた。ほっこりと和む。
二人の笑顔を見ると、王都にとんぼ帰りするのもなんだかな、と思い、姉妹さん達の手料理を久しぶりに堪能する事にした。
朝飯もまだだったので丁度いい。
匂いに誘われるくらいには腹も空いている。ゴブ爺では腹の一分も満たなかった。
という訳で、かなり多くなった団員数に見合うだけの広さを誇る大食堂の座席の一つに座り、料理に励む二人の様子を観察する。
食堂の増築に伴い、厨房も徐々に拡張された結果、こちらも相応の広さとなっている。余裕で十数人が一度に調理できるくらいだ。
厨房に設置されたコンロや水道といった設備、包丁や鍋などの調理道具は、鍛冶師さん達が魔法金属や精霊石を使って製造しているので、かなり充実している。
自慢ではないが、お転婆姫の《琥珀宮》の厨房と同等かそれ以上の設備となっていた。
そんな厨房で姉妹さんは大鍋に刻んだ大量の食材を放り込み、火精石が仕込まれたコンロで煮込み、調味料で味付けして、と淀みなく動き回り、朝食を着々と作り上げていく。
姉妹さん以外に料理を作っている者はいないが、【職業・料理長】を得た姉妹さんだけでも、数十名の残留組の飯を賄うのに十分である。
いざとなれば別の所で働いている料理担当が手助けするが、姉妹さんは楽しそうに作っているから無用な心配だろう。
姉妹さん達の働きっぷりを見ながら料理を待っていると、やはり久しぶりに顔を合わせる鍛冶師さんと錬金術師さんがやって来た。
姉妹さんと同じように俺を見て驚いた彼女達だったが、こちらもすぐに元に戻り、一緒に他愛もない話を楽しむ。
短いながらもイヤーカフスを介して毎日話していたとはいえ、直接会って話す方がいいに決まっている。微妙に変化する表情や肉体の温もりは、通信では伝わり難いからな。
そしてついに完成した姉妹さん達の料理は期待通りに美味しく、栄養満点で、一日の活力が内側から漲った。
そんな料理もさることながら、今一番注目すべきは、錬金術師さんの腕に抱かれてスヤスヤと眠っている、俺の子の中で唯一の人間――ニコラの存在だ。
正直、可愛くて堪らない。ぷにぷにとした赤い頬っぺた、幸せそうな寝顔、俺の指を握る小さな五指、触れれば壊れそうな程柔い身体。
長女オーロや長男アルジェント、次男鬼若も勿論可愛いのだが、一番下の子で、まだ赤ん坊であるニコラは特に可愛過ぎて困る。四人には等しく愛情を注いでいるつもりだが、うむ、見ていてついニヤけてしまうのも仕方ないと思う程だ。
ニコラはまだ言葉を喋れないが、時折まるでコチラを観察しているような目をする事がある。
俺の血を引いているのだから、案外すぐ動き回り出したりとか、普通に喋り出すかもしれないな。流石に親馬鹿過ぎかとは思うが、そう思わせる何かがあるのも確かだ。
ふと気になったので、かつて手に入れた英雄ベルベットの遺産の一つである【遺物】級のマジックアイテムで調べてみると、なんとニコラは生まれた時から【職業・鬼児】【職業・紋章術師】という二つの職業を持っている事が判明した。
【鬼児】は父親の俺が鬼だから得られたのだろう。オーロとアルジェントも同じく持っていた。
この【職業】の特性は、普通よりも強い生命力の獲得、成長力の促進、などが挙げられる。
錬金術師さんが授乳させる時ちょっと痛い、と言っていたので、力も上がっているのかもしれない。
【紋章術師】というのは、雪山のボスモンスターだったバロールが行使していたような紋章術を使う【魔法職】の一種だ。
俺のと似ているが微妙に異なる刺青を、他の三人の子と同様ニコラも持っているので、それが関係しているのではないだろうか。
ただそうなるとオーロとアルジェントが【紋章術師】を持っていない事が気になるが、きっとそこら辺は個人の素質や才能が関係しているのに違いない。
あるいは別の条件が隠されているのかも。
久しぶりに会った五人に癒されている内に、今日は拠点で一泊する事に決めた。
ほったらかしにしていた負い目があるし、せっかく帰って来たのだからサービスせねば。
そんな訳で。
朝食を喰い終わると、レプラコーン達が防具などを織り、ドワーフ達がせっせと武器を鍛造している《工房》にて、鍛冶師さんや錬金術師さんと一緒にあれこれした。
どうやら二人は、というか二人を加えたドワーフ達は最近、新素材開発に凝っているらしい。少しでも良い合金を造ろうと、日々夜遅くまで研究しているという。
以前ポロっと、錆び難いステンレス鋼や、色々と使い道のあるマグネシウム合金、モーターの鉄心用磁性材料などに使えるケイ素鋼などの話をしていたのだが、それに興味を刺激されたそうだ。
幸い材料は拠点の拡張工事の為の掘削の際に確保できていて、一度王都に行った時にも大量に買い込んでいた。最近では近くの山に遠征して新たな鉱石類を採掘しているそうなので、研究する分くらいなら何とかなっている。
合金を造るには様々な金属があった方がいいだろう。そう思った俺は、お土産として買っておいた多種多量な金属類を渡しておいた。
非常に喜んでもらえたので、何よりだ。
今の時点でも、ドワーフ達の手助けと、【魔法金属】や【魔法薬】などを使用した独特の製法によって、面白い特性を持つ新しい合金の開発に成功しているらしい。
鍛冶師さんと錬金術師さんが揃って胸を張り、ドヤ顔をしていたのが印象深い。
鍛冶師さんはともかく、クールな錬金術師さんもそんな事をするとは、普段とのギャップがあって、ぐっと来る。
まあ、失敗の方が圧倒的に多かったようだが、失敗は成功のもとである。
そこから新しい物を造れたのだから、消費した材料分の価値はあった。
ただし、まだ発表できる程の品ではなく、納得がいく完成度になったら報告してくれるらしい。楽しみだ。
やる気になっているので、どんな合金なのか調べるのは自重しておこう。
そんなやり取りを午後まで続けた後、今度は姉妹さん達と一緒に昼飯の調理に取り掛かる。
王都や迷宮都市から大森林では採れない食材を持ってきていたので、それを使う事になった。
作ったのはジャダルワイバーンの肉を使用したハンバーグや焼き亜竜肉などだ。出来上がった料理は、朝の仕事を終えて昼飯を喰いに集まった団員全員がお代わりをするくらい好評だった。
食事を終えた後、残留組全員に今日の料理の話について緘口令を敷く。
喰えなかった奴等が嫉妬してしまうからだ。それに加えて、些細ながらも秘密を共有する事で結束を強める、という狙いもほんの僅かにある。
他の奴等にもいずれ食べさせてやるつもりではあるが、もう少し後になるだろう。
昼飯の時間が過ぎると、ドリアーヌさんが活躍している《温泉施設》の方に赴いた。
エルフ達に開放している《温泉施設》には、外からやって来た者――一部の極めて少ない例外を除いてエルフだけだが――に分かりやすいように《パラベラ温泉郷》という別名を付けている。
団員用の温泉から距離を置いて造られたそこは、最初は周囲を囲う壁と和風の屋敷だけしかなかったのだが、時が経つにつれて自然と周辺設備が増え、立派になっている。
ドワーフ達がミスラルなどを材料にして造った武具や、繊細な細工が施された装飾品を売る金物屋《ドワーフ装具・グラスハンマー》。
手頃な値段で喰えるだけでなく、食材を持ち込めば格段に安く多彩な料理を提供してくれる料理店《注文が増える招き猫》。
開拓が進み広さを増している《農地》にて、精霊石を使用して造られた新鮮かつ栄養たっぷりの野菜や果実を安く売る、エルフの奥様方に大人気の八百屋《森精の恵み》。
ハマり過ぎに注意ですよ、と警告しつつも夜遅くまでヒトの欲望をかき集める賭博場《カジノ・バカララ》。
金が無くて賭博ができなくなった者、あるいは金を返せなくなった者達を誰かれ問わず吸い尽くす金貸屋《借金地獄》。
遅くなっちゃったからちょっと一泊していこうかな、汗流したいし、という客層を狙った平屋の簡易的な宿屋《温泉宿・タイラ》。
高額で完全予約制ながら、便利なマジックアイテムをふんだんに使用した部屋に泊まる事ができ、温泉への移動が非常に便利かつ様々なサービスを受けられる《温泉屋敷・鬼の釜》。
こんな具合だ。
正直、温泉だけやっていても十分な成果を得られたとは思う。
だがこうして色々な商売に手を出すのは、決して悪い事ではない。
傭兵業だけでは、あっと言う間に千にまで増え、これからも増えるだろう団員を養うのはちょっと大変だ。
《農地》で野菜などは作っているし、【下位巨人生成】のアビリティがあるのでその肉を加工する事で食費はかなり抑えられているのだが、いつ何が起きて食材が不足するか分からない。
万が一その時が来たら、大量の食材を買うにも、団員の装備を買い揃えるにも、作るにしても、相応の大金が要る。
だからこうして定期収入が見込める活動基盤を固めつつ、手広く金稼ぎする手段の確立は必須だった。
その為に色んな商売を経験するのは丁度良かった、という訳だ。
最初は不安な部分もあったのだが、実際やってみると狙い通りにエルフ達の生活の奥深くまで喰い込めたので、一先ず成功と言えるだろう。
肩の荷をかなり下ろせた気分だ。
今後ともエルフ達とはいい隣人であり続けたい。立場的にコチラが優位なままなら尚良しだ。
そんな事を思いつつ、《パラベラ温泉郷》を回って気になる点を改善させ、最後にドリアーヌさんによる天然由来のアロマオイルを使用したオイルマッサージを受けた。
これをやろうと考案したのも、手技を教えたのも俺なので、マッサージを受けながらどこが悪いか、どこが良いかを指摘していく。
日頃の疲れが取れるようで、まったりと癒されました。
やっぱりマッサージは良いもんだ。
そして夕方、久しぶりにエルフ達の代表の一人である父親エルフと酒を飲む。
今回は特別に、幹部専用の温泉に招待する。温泉に入りながら飲むエルフ酒の味はひと際美味く感じられた。岩壁をくりぬいて外の風景が見られる一角で、夜空に輝く星の輝きを見ながらだと、より一層味わい深くなる。
やはり飲み友達が居ると良いもんだ、と思っていると、父親エルフの弟の話になった。
弟エルフは以前父親エルフが酒樽十個と引き換えにして俺から得た、外のエルフを特別に《パラベラ温泉郷》に招く権利を使った相手だ。
彼は父親エルフと共に数日間《パラベラ温泉郷》に滞在し、店舗などを色々と興味深そうに見ていたが、中でも様々な種類の温泉を堪能していた時間が最も長かったという。
長年の疲れが徐々に取れていったようで、帰る頃には来た時よりも元気になり、すっかり温泉にハマっていたらしい。
その時に弟エルフの強い要望で、通信可能な鉄製の名刺〝名鉄〟を父親エルフから一枚渡しているので、それを介して実際に言葉を交わしてもいる。
まだ直接会っていないが、名鉄に埋め込んだ俺の分体経由で、姿形その他の情報は把握済みだ。
流石兄弟と言うべきか、弟エルフは父親エルフと似たダンディなオジサマだ。同性ながら、どうせならあんな年寄りになりたい、と思うような気品がある。
しかも老舗商会《緑矢星郷》会長という大層な身分も持っているので、ぜひとも懇意にしたい人物でもある。
まあ、コチラには温泉という鬼札があるので、仲良くなるのは簡単だろう。
温泉を対価にチラつかせるとアチラはかなり乗り気になっていたので、間違いない。
俺としても色々な情報を集めた結果、この温泉がどれ程貴重なのか分かっているので安売りするつもりはないが、対価としては十分だ。
弟エルフはかなり行動力があるようで、現在は王都に向かっているらしく、到着したら色々と本格的な商談をしよう、と約束を交わしている。
父親エルフも『弟とも仲良くやってくれ』と言っているので、長く付き合えるよう対等な関係を結びたいものだ。
そうこうするうちにすっかり夜も遅くなり過ぎたので、父親エルフを《温泉屋敷・鬼の釜》に泊まらせ、細々とした手続きを済ます。
今日は夜のお楽しみが待っているので、さっさと片付けました。
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