カクヨム

『【書籍版】黄金の経験値』のエピソード「【5巻発売記念SS】番組終盤のお約束」の下書きプレビュー

【書籍版】黄金の経験値

【5巻発売記念SS】番組終盤のお約束

作者
カドカワBOOKS公式
このエピソードの文字数
1,358文字
このエピソードの最終更新日時
2025年2月4日 00:12


 トレの森で変態実験を終え、レアがライラに巨人軍について説明を始めた頃。

 その巨人軍の主であるブランは、巨体化してアダマンタロスのウルルと向かい合っていた。

 ブランもウルルも、互いに特性に「巨体」を持っている。雲をつくほどの巨人同士の対決だ。

 対決に興味を持ったのか、トレの森で放し飼いにされているメガネウロンたちが周囲の空を飛んでいる。メガネウロンはヘビトンボのパーツで無理やり作ったドラゴンといった外観をしているので、カブトムシベースの怪人が巨大化したようなブランの手下のようにも見える。

 相対するウルルの方は人造巨人アダマンタロスであり、その無機質かつ芸術的なディティールは、見ようによっては巨大ロボのようである。

 つまり端的に言うと、この光景は、巨大化した悪の怪人とそれを倒すべく巨大ロボを呼び出した戦隊ヒーローの対決、の様相を呈しているのだった。


「……思ってたのとは違うけど、まあいっか!」


 ブランにもそれはわかっていた。なので、今回は巨大化怪人ロールプレイで行くことにした。


「お前たち! 手出しはするなよ! これは一騎打ちだ!」


 部下役のメガネウロンたちにそう声をかける。メガネウロンたちは一瞬硬直した後、頷く動作をして少し距離を取った。

 本来なら、メガネウロンはウルルと同じくレアを主としているため、どちらかというとウルル側の戦力である。にもかかわらず素直にブランの命令に従うロール《演技》をしたのは、この対決がブランを満足させるためにレアが促した茶番であることを理解していたからだろう。空気を読んだ、というやつだ。高いINT《知能》の成せるわざである。


「今日こそ引導を渡してやるぞ! えーと、えーと……さ、災厄戦隊ウルルンジャー!」


 良い名前が思いつかなかったのか、無意味にポーズを取りつつ悩みながらウルルの役名を絞り出すブラン。もはやどちらが悪の組織なのかわからない名前になっている。

 さらに、並行して配下の吸血鬼三人娘に指示を出す。


〈『コクピット』って縁に書いた木枠用意して! はやく! で、その木枠の中に入って、ウルルがダメージ受けるたびに火花散らして!〉

〈は? すみませんご主人さま。何をおっしゃっているのか全く意味がわかりません〉

〈わかんなくてもいいから! はやくして! 大事なことなの!〉

〈ええ……〉


 レアの配下のメガネウロンたちにくらべ、実に物分りが悪い。もう少し教育に力を入れるべきだろうか、とブランは思った。

 ポーズ付きで啖呵を切ったと思ったら、急に足元に向かって謎のジェスチャーを始めたブランを、ウルルは静かに待っていた。敵が準備中は攻撃しない、というセオリーを忠実に守っていると言えよう。


「──待たせたな! ではこちらから行くぞ! とうっ!」


 ようやく満足のいく舞台が整ったのか、ブランが一方的に先攻を宣言してチョップを繰り出した。

 そのチョップを胸に受け、一歩後退するウルル。

 そのダメージに合わせ、ブランの足元では木枠の中で三人娘が爆発している。軽く火花が散る程度のはずだったが、威力調整を間違えたらしい。

 元々はアンデッドとトレントという、声を持たぬ者しかいなかったトレの森としては、初めてと言っていいほどの大騒ぎである。

 そしてそれらの騒ぎを一切無視して、魔王が淡々と邪王にアイドルプロデュースについて説明をしているのだった。

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小説情報

小説タイトル
【書籍版】黄金の経験値
作者
カドカワBOOKS公式
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