「全てを失うか」…フジテレビ役員は株主代表訴訟で「自己破産」の恐れ 元テレ朝法務部長が解説
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西脇亨輔弁護士「可能性が高いシナリオ」
フジテレビを巡る混乱が続いている。大部分のスポンサーは復帰の目途が立たず、親会社であるフジ・メディア・ホールディングス(以下、FMH)の業績予想は大幅に下方修正された。この状況に元テレビ朝日法務部長・西脇亨輔弁護士は、同社経営陣に近づく「危機」を指摘した。 【写真】「この3ショットは衝撃」…中居正広氏&松本人志&大物タレントがポーズ決めた1枚 ◇ ◇ ◇ これは近く現実になる可能性が高いシナリオだと思っている。 一連の問題に揺れるFMH。1月30日に発表した2025年3月期の通期業績予想は連結純利益が前期比74%減とされ、フジテレビ単体では赤字の可能性も報じられている。このように目に見えて会社の業績が悪化すると、次に起こりうるのは役員の誰もが恐れる事態だ。 それは「株主代表訴訟」。この訴訟を起こされた相手は「自己破産」に追い込まれる恐れも十分ある。同社役員は今、そうした深刻な立場にあるのだ。提訴の前に辞任した役員も、在任中の行為については責任を免れることはできない。 「株主代表訴訟」とは、役員が会社に損害を与えた場合に株主がその役員を訴え、役員個人に会社の損害を穴埋めさせる訴訟だ。訴えを起こすために必要な株式の数は「1株」(または「単元」と呼ばれる購入単位1つ)。半年以上続けてその株式を持っている株主なら提訴できるのが原則だ。手続きとしては、まずは株主が会社に対し「会社自身が役員を訴えろ」と要求する。60日以内に会社が動かなければ、株主が会社になり代わって「株主代表訴訟」を起こす。こういう流れになっている。 そして、裁判で株主の主張が認められると、役員は「自腹」で会社に損害を賠償することになる。その金額は原則として「無制限」。特別な契約を結んだ社外役員などの例外を除けば「上限なし」だ。 近年では、東京電力の元経営陣に対する株主代表訴訟の判決に衝撃が走った。福島第1原子力発電所事故について津波対策を怠った東電経営陣の責任が問われ、東京地裁は22年7月、当時の会長ら4人に連帯して13兆3210億円を支払うよう命じた。頭数で割っても一人当たり3兆円以上という巨額だ。 フジテレビ問題でFMHの役員が訴えられてもここまでの金額にはならないだろうが、同社の減収は既に数百億円にのぼるといわれる。しかも、この損害額はこの先、事態が長期化するほど雪だるま式に増えていく。金光修社長、日枝久相談役をはじめFMHの取締役は現在15人で、先日の辞任までは嘉納修治前会長、フジテレビの港浩一前社長も取締役だった。株主代表訴訟が起こされた際に何人が「被告」になるかは分からないが、その請求額は一人当たりで割っても数十億円を超え、役員の個人資産では払いきれない可能性が高いだろう。仮に何かの保険に加入していたとしても、保険金の支払条件は厳しいケースも多い。 では、賠償金を払いきれなかったらどうなるか。その役員は賠償金を払えるだけ払った上で、残りを免除してもらう手続きを取る必要がある。それが「自己破産」だ。その場合、役員がこれまでの人生で築いてきた財産は全て差し出すことが原則となる。過去には食品衛生問題で株主代表訴訟を起こされた外食チェーンの役員2人が、50億円以上の賠償が命じられ「自己破産した」と報じられた。
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