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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第93回

DeepSeek R1、無料で使えるAIとしては最強クラス

2025年02月03日 07時00分更新

文● 新清士

レポートはイマイチだが、ロールプレイは優秀

 まず「シンギュラリティ」についての8000字のレポートを書くように指示してみました。DeepSeek R1が面白いのは、実際の文章を出力する前の詳細な思考過程(Thoughts)を見せてくれる点です。日本語追加学習版では思考過程も基本的に日本語なので、AI側がどんな推論をしているのか容易に把握できます。今回の依頼では、見出しを整え、8000字という文字量の性質を分析し、説得性を上げる方法といったことが検討されています。

32B-Japaneseの思考過程。短い依頼文に対して、その意図が何であるかを推測したりと様々な検討がなされている。この思考過程は相当面白い

 しかし生成された文章は、見出しの羅列に近い形の要約版でした。さらにエッセイとして8000字でまとめるように依頼したのですが、やはり見出し羅列に近い形で文章としての完成度は高いとは言えませんでした。クラウド版DeepSeekでも同様の傾向がありますが、まだ読める文章になります。32B-JPはモデルを軽量化しているぶん、データ量が減少していることが性能低下につながっている可能性があります。

依頼した8000字のレポートの4章立ての文章の一部。見出し的な表示にとどまっており、文章として読みやすいものにはなっていない

 一方、32B-Japaneseのロールプレイはかなり優秀です。システムプロンプトの設定に沿って、うまく話をつないでくれます。小説も書かせようとしましたが、2500字前後が限界のようで、現状ではo1にはまったくかなわないという印象でした。これはクラウド版でも感じられることですが、優れた回答を出すことに特化しているため、読みやすい長文を出すための能力強化はそれほどされていないようにも思えます。

 性的描写については、DeepSeek R1には倫理フィルターが組み込まれているため、内容によっては出力を拒否されることもありますが、クラウド版に比べて制限は緩く、出力自体は可能なようでした。

筆者のツンデレ系キャラクターとのやりとり。どうでもいい話も続けられるし、話題を広げたりもできる。軽量版もあるため、ゲームへのNPCキャラクターの実装の可能性は大きく広がる

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