『2025年2月3日(月)東京地裁、HPVワクチン訴訟後の司法記者クラブでの会見リポート』 2025年2月3日(月)に行われたHPVワクチン訴訟の口頭弁論の傍聴と会見の取材リポートです。 この日は、被告側専門家証人の近畿大学の角田郁生教授(神経免疫学、神経ウイルス学)の反対尋問期日。 東京地裁前には原告の支援者が集結。傍聴抽選68枚に多くの人が並んだが68人以下だったため、全員が傍聴可能に。 法廷内の詳しい様子は産婦人科専門医・医学博士のたぬきち先生@Tanuk_Ichiが詳細なリポートをしてくださっているので、そちらを参照していただければ。 東京地裁でのHPVワクチン薬害裁判傍聴記録【前半】 x.com/Tanuk_Ichi/sta… 東京地裁でのHPVワクチン薬害裁判傍聴記録【後半】 x.com/Tanuk_Ichi/sta… 「異議あり!」「遮らないでください!「誤導ですよ!」など、法廷内では代理人が烈しいやり取りを展開する場面も。 私は、以下のツリーで閉廷後の記者会見の模様をリポートします。 #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟
閉廷後の記者会見は、司法記者クラブ会見室にてMSD→原告→GSKの順番で行われました。 ~MSD代理人の会見~ 弘中聡浩弁護士 「HPVワクチンに関しましては、東京地方裁判所、大阪地方裁判所、名古屋地方裁判所、福岡地方裁判所、4つの地方裁判所で2016年7月に提訴されて以来、審理が続けられてきました。2023年5月から12月にかけて原告側の専門家証人の尋問。2024年1月から2024年9月まで原告本人の尋問が行われました。そして2024年10月から被告側の専門家証人という新しい審理の段階に入っています」 「本日は、この東京地方裁判所で11月18日に被告側の専門家証人として主尋問で証言された近畿大学教授の角田郁生医師が、原告側の反対尋問にお答えになりました。角田医師は、神経免疫学、神経ウイルス学の立場から原告らの主張、すなわち〝HPVワクチンの接種によって原告らが主張する多様な症状が一種の免疫的な疾患として生じた〟というこの主張に医学の立場から根拠がないということ、具体的には原告らが主張する〝HPVワクチンによる免疫寛容の破綻、あるいは分子相同性、そういった機序によって多様な症状が生じた〟という説明には理由が無いことについて説明されました。我々被告としては、角田教授の説明から、本件で原告らが訴えている症状がHPVワクチンの接種とは関係がないということを立証できたと考えております」 「MSDは原告の方々が訴えておられる症状は、世界で数百万人を対象として25年以上にわたって行われてきた数多くの信頼性のある研究によって、HPVワクチンとの関連性はないと考えています。世界中の規制当局と保健期間は、HPVワクチンの安全性と有効性を認めています」 「主に裁判所の要請を通じて病院から取得した原告の方々の医療記録には、原告の方々がHPVワクチンとは関係がない心因性機能性疾患などによって痛みや運動障害などの多様な症状に苦しんでいらっしゃることが記載されています。原告の方々が訴えていらっしゃる痛みや運動障害などの多様な症状は、HPVワクチンが世界で初めて発売された2006年よりもはるか前から、特に思春期の若い方に見られる疾患として知られたものであり、数多くの医学文献に説明がされています。実際、HPVワクチンの接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の多様な症状を有する方が一定数存在したことが明らかとなっています。原告の方々や報道関係者の皆さんにご理解いただきたい点は、HPVワクチンとは関係がない心因性その他の要因が重篤な身体的な症状をもたらし得るということです。また、原告の方の中には、接種後一年以上経ってから症状を訴えておられる方もいらっしゃいます。このように、かなり長い時間が経ってから訴えておられる症状はもちろんのことですが、時間的に近い時期に訴えておられる症状についても先程来申し上げております通り、HPVワクチン接種と結びつける科学的医学的に信頼できる根拠はありません。実際、原告の方々を診察し、〝古くから知られている既存の疾患である〟と正しい診察をしていらっしゃる医師も複数いらっしゃいます。しかし、原告の方々は、〝これらの症状はHPVワクチンの副反応によるものだ〟と主張されている医師のもとで誤った診断を受け、中には侵襲性の高い危険を伴う治療、医学的効果が証明されていない治療を受けておられる方もいらっしゃいます。MSDは原告の方々が正しく診断され、適切な治療を受けて早く回復されることを非常に重要に考えております」 「日本では毎年約1万人の女性が新たに子宮頸がんと診断され、年間約3000人の女性が亡くなっています。MSDはHPVワクチン接種により、HPV感染から女性を守ることで子宮頸癌患者の数を減らすことができると考えています。実際、スウェーデンやデンマークなど海外ではHPVワクチン導入後に子宮頸がんが減ってきていることが示されており、HPVワクチンの接種率が約80%と高いオーストラリアでは、子宮頸がんは2028年には制圧される、すなわち十万人当たりの罹患者数が4人未満になると推計されています。女性を子宮頸がんから守るには、子宮頸がん検診とともにHPVワクチン接種が重要な役割を果たします。MSDは本件は信頼できる科学的エビデンスに基づいて正しく判断されるべきであると考えています」 「東京地裁では、次回は2月10日午後1時30分から、被告側証人である中村好一医学博士が疫学の専門家の立場から『名古屋スタディ』に対する原告らの批判が誤りであること、その他、疫学的な争点について証言される予定となっております。被告側の専門家証人は12人採用されており、本年9月まで約8ヶ月間、4つの地方裁判所で尋問が続くこととなっております。この被告側専門家証人の証人尋問の段階が終わりますと、さらに合計10人の原告本人の尋問が行われ、その後、最終準備書面を双方で提出した後、一審の判決という予定になっております」 ・質疑応答 鈴木エイト ―—確認ですが、反対尋問の中で原告代理人が〝HPVワクチンは従来のアジュバントより高い抗酸化、抗酸値ではないか?〟と言った時に、証人は何が違うと答えたのですか? 弘中弁護士「抗体価が上がるとそれによって感染の予防について、優れた効果を持つんだと言うことを仰っていたんだと思います。(角田証人が)違うと仰ったのは、おそらくガーダシルとサーバリックスで成分が、アジュバントの内容が違うという文脈ではないかなと思っています」 鈴木エイト ――今日の全体の原告代理人の反対尋問を聴かれて、紛糾する場面がありましたが、弘中先生も異議を唱えられていた。原告側の反対尋問の狙いと紛糾した場面についての解説を。 弘中弁護士「私自身のことを申し上げますと、あまり異議というのは、基本的にはしない方でありますが、特に私が再三申し上げたのは、今回、原告(代理人)が自分で質問して答えを求めていたのですが、証人が説明をされている途中で遮るということがありました。私はそこまで申し上げなかったのですが、GSKの池田代理人が仰ったのは、要するに、原告代理人が止めようとしているのは、自分に不都合なことを角田証人が喋ろうとすると止めるのはやめてほしいと言うふうに仰ってまして、私も内心ではそこまでは思っていたのですが、はっきりとは申し上げませんでしたけれども、そういったことから、わたくしども、原告の方の尋問全体を通して感じたことというのは、皆さんも傍聴してお感じになられたかもしれませんけれども、いろんな文献を一言一句という部分を持ち出してきて専門家証人に示して認めさせようという風な意図があったわけですが、角田証人は当然のことだが医学的な専門家で、正直、私もどこまで十分、彼の証言が理解できたかはよくわからないところではありますけれども、私が聴いてる限りは原告の方(ほう)が尋ねたことに対して原告が欲しかった証言というのは求め得ることはなく、むしろ原告側が、今日尋問で示された文献がすべて原告としては有利だと思って示していたものだと思うのですけれども、結果としては角田医師が全て反駁をし、HPVワクチンとは関連性がないということについて説明をきちんとされたように私は理解しました。再主尋問でいくつか質問しましたが、基本的には反対尋問で彼が言及した研究であるとか、その内容を調書に残すために尋問をさせていただいたとということであって、特段反対尋問の内容について我々として懸念があるような内容はなかったという風に理解しています」 鈴木エイト ――紛糾した場面のひとつに「反ワクチン」という言葉を誰に対して言ったのかというが出ていました。ああいうやり取りがこの手の裁判では異例な感じがした。原告はなぜそこにこだわったのか、あのやり取りをどう思いますか? 弘中弁護士「当然のことは原告の女性が代理人に対して〝ああいう質問をしてください〟という風に言ったものではなくて、むしろあそこに座っている薬害弁護団の方々が、それを見て感じたことを質問されたのだろうと思っております。結論として、本件の訴訟とは、争点とは全く関係がない、原告の代理人がしたかったから訊いた質問だという風に私は理解しました」 鈴木エイト ――原告本人があそこであの質問をしたいということではなく、原告代理人が急に表出してきて、代理人たちの意見が急に出たということですか? こういうことは普通の裁判でもあり得るのですか? 弘中弁護士「本件は非常に異例な裁判でありますし、原告団は個人が原告ではありますけれども、薬害オンブスパースン会議や薬害弁護団という組織に支えられて行っている訴訟という意味で非常に組織的なものだと思っておりますので、他の訴訟と同列には論じることは出来ないのかなと思っております」 NHKディレクター ――この裁判で因果関係というところを明らかにするということと、もうひとつは原告の方々が如何に救われるかというところも大事だなと思うところなんですけれども、先ほど仰った通り、原告側で症状が続いている方々に根拠のない治療が施されたり、さらには検査自体も根拠がないものとか、今日もありましたが、国際的に認められてない手法で数字を出しているっていう○○が出てきている中で、被告側のお考えになることをお示しいただけるものがあれば。正規のというか、しっかりとした治療が確立されてきたこの10年の間で、もし治療をちゃんとしていれば、もう治っていたのではないかということについての見解をお伺いできたらと思います。 弘中弁護士「今のご質問は非常に重要なことだと考えております。我々としては、本当に不幸なことだと思うのですが、原告の方々は、〝心因性機能性の疾患だ〟というお医者様の診断を受け入れることができずに、まあ色々とドクターショッピングを重ねられた末にですね、今回HANSという理論を主張している一連の先生方にお会いされて、そこからまた弁護士というものを紹介されて本件訴訟ということに至っているという風に思うのですが、いわゆる機能性疾患に対して有効な治療のひとつであると言われている認知行動療法というものがありますが、その認知行動療法というものを、原告側の高嶋医師が証言されたことなんですけども、どういう風にお話しされたかというと、〝日の光を浴びて歩きなさいと、そうすれば治る〟という風に言われたけれども、自分は言われた通りやったけれど直ってないと、そういう趣旨のご証言をされましたので、我々の専門家証人の鴇田夏子医師が福岡地方裁判所でご証言されたんですけれども、いわゆる機能性心因性の疾患で苦しんでいらっしゃる方が、鴇田先生のところにいらっしゃって、ワクチン接種した型、接種されなかった方が両方いらっしゃるんですけれども、認知行動療法というのもそんなに簡単に効くものではなくて、その病気の真実というものにきちんと向き合って、ご本人が努力をしてお医者様と信頼関係を構築して、初めて有効になっていくと、そういったことを鴇田夏子医師が説明されていたわけなんですけれども、やはりその心因性機能性疾患というのは大変苦しい病気だということは我々も承知しているところなので、それに向きあってきちんと取り組むということは、本当に大変なことなんだという風に思います。仰る通り、本件訴訟、10年続いているわけなんですが、当初、〝これが本当に心因性機能性なのか〟ということを、まあ、疑ってということは、もちろんやむを得ないところはあるとは思うんですけれども、10年間という年月が流れていますので、その間に本当に正しい診断をされるお医者様に会って努力を積み重ねていれば、本日治った治っている方もきっといらっしゃるんだろうと。それにもかかわらず、まだ原告弁護団、あるいは医師の話を信じて、例えば免疫吸着療法であるとか免疫疾患に全く効かない、免疫疾患でなければ全く意味がない治療法ですので、そういった意味がない治療にお金と時間を費やされるよりも、苦しい道だということを私たちも承知はしているのですが、そういった心因性機能性という病気に向き合ってですね、努力をされて早く治っていただければいいなというのは、私自身もそうですし、会社も含めてそういう風に考えております」 NHKディレクター ――高橋(幸利)医師の論文が原告側から出て、原告側は触れなかったんですけど最終的に証人がお話ししたのは、高橋先生ご本人が因果関係はないと書いているということを原告側が示された証拠で因果関係がないということが書かれている事実ということ自体は、今回の訴訟において相当大きな事だと思うのですが。 弘中弁護士「非常に重要なことだと考えております。高橋医師は実は名古屋地方裁判所でも証言をされておりまして、主尋問の中で原告の方が先生の研究から因果関係が証明されたという風に考えているのかということについて高橋先生は論文で書かれた通りの証言をされております。反対尋問では、もちろん我々の尋問に対していろいろ争っていらっしゃったんですけども、仰る通り、原告が出している証拠と論文というのは基本的には今日も角田証人が仰ってましたけれども、きちんとした対照群をとっておらず、したがって医学的には因果関係をきちんと確認できる内容になっているものは何ひとつとして無いと、それに対して、まあ被告の方が提出している論文というのは、きちんと対象群をとって、世界的で十分な数の研究を積み重ねてきているわけなので、それでも因果関係を示すものはないと、さらに付け加えるならば、東京地方裁判所で証言された椿(広計)証人という統計学の専門家がいらっしゃったんですけども、あの方も要するにそういった疫学研究が因果関係を示すものではないということは認めていらっしゃった上で、彼がせいぜい仰っているのは、だからこういう結果が出ているのでさらにその安全性の研究をすべきだということを仰っているに留まっておりまして、原告側の証人6人の証人尋問がありましたけれども、何ひとつ因果関係について示されることはないと。私たち12人の専門家証人を主尋問、反対尋問をこれからやっていきますけれども、もともと原告の方(ほう)として何ら因果関係がある、信頼性のある証拠を示していないという、全く無のところから何か因果関係が法律的に出てくるということはありえないという風に考えています」 鈴木エイト ――原告代理人が必ず被告側専門家証人に対して最初に、直接今回の原告を診察したか臨床したかを質問している。その質問にこだわる理由と意図は何だと思いますか? 弘中弁護士「原告代理人は以前から、ご自身の原告側専門家証人の本人尋問の際も仰っていたのは、池田(修一)医師、横田(俊平)医師、高嶋(博)医師、高橋(幸利)医師、たくさん原告の女の子たちを診察している中で彼らなりの理屈を述べているというわけですが、被告側の鴇田証人も一部HPVワクチン接種後の患者も診ているという風に仰っていましたが原告側の医師に比べると数は当然少ないので、そこを原告としては対裁判所との主張で、診断している原告の数が違うんだということを印象づけたいのであろうという風には思っています。しかしながら原告の女の子たちは心因性機能性疾患だということ以上の特別なあの事情というのは、医療記録その他、あるいは原告本人尋問でもそうですけども、全く示されていないのが実情でありますので、先ほど申し上げた通り、免疫性疾患あるいはその他の原告が説明するような疾患であるということの医学的なエビデンスは全くなく、むしろこれまでの証拠が明らかにしていることは、彼女たちが心因性機能性疾患に苦しんでいると、だから正しい治療を受けて、救済される、早く回復されるべきだと。そのためには正しい治療を受けるべきだということが示されているという風に、我々としては考えています」 #HPVワクチン #HPVワクチン訴訟