ヤマハトレーシィ125。
これは化け物バイクだった。
水冷2ストローク123cc単気筒
最高出力:16PS/7000rpm
最大トルク:1.7kgf-m/6500rpm
乾燥重量:92kg
車両重量:97kg
パワーウェイトレシオ:5.75kg/PS
スペックだけ見ても、バイク
に乗る人ならばどれだけとん
でもない性能か即判るだろう。
1983年発売。
国内で発生した第二次二輪ブー
ムが最高潮の頂点に達した年だ。
日本の1980年代二輪ブーム爆
発の導線となったのは、1981
年の角川映画『汚れた英雄』の
存在があったのは確かだ。
そして、1983年から週刊少年
マガジン連載の『バリバリ伝
説』の存在が確実にあった。
バリ伝は二輪ブームを押し上
げるスーパーチャージャーだ
った。
野球を語るに「巨人の星」は
外せない、バスケを語るに
「スラムダンク」は外せない、
サッカーを語るに「キャプテ
ン翼」は外せない、ボクシン
グを語るに「あしたのジョー」
は外せない、というのは日本
の歴史に確実にある。
そして、バイクを語るには「バ
リバリ伝説」は絶対に外せない。
ケンタウロスの伝説よりも歴史
的な金字塔の劇画作品だ。
バリ伝読まずにバイクに乗って
いるのはモグリ。
いくら古い漫画だろうと。
漫画ファンが手塚治虫作品は
外さないように、劇画ファン
だけでなくバイク乗りはバリ
伝を読め。
それが日本の歴史を学ぶ日本
人の魂だ。
日本人の魂こそが描かれてい
たのが不朽の名作『バリバリ
伝説』だ。
あとね、バイクの歴史を語る
書き人に多く見られる明らか
な誤認・誤謬・錯誤がよくあ
る。
よく1990年前後の日本の二輪
情勢を指して「過激になりす
ぎたレーサーレプリカに疲れ
たユーザーが増え、ネイキッ
ド登場によって人気が出た」
とか書いている人間が非常に
多い。
これは正しい日本の歴史や
モーターリゼーションの歩み
を正確に捉えていない脳内
感情論でしかない。
有り体にいえば、バイクの事
をよく知らないのにモーター
ジャーナリストぶって物を書
いている底の浅いモノカキ、
であることは確実だ。
真実の歴史の流れは背景に別
なファクターが働いていた。
(それは自分で研究して調べ
ろ。足を使って当時を知る人
たちの聴き取り調査もして)
だが、「二輪ジャーナリスト」
を称する人たちは、経済状況
の変化や世界的な規制の遷移
などは無視して、単に情念的
な脳内感情を現実世界にあて
はめたがる底の浅さを露呈さ
せている。
あれと似ている。
セパハン前傾ポジションの
モデルを「きつい」「疲れる」
「しんどい」とかで片付けよ
うとする底の浅さ、物事の本
質をまるで理解していないく
せに解ったようなポーズをと
りたがる連中の発想と言動に。
オートバイの事を知らなすぎ
る。
また、スポーツ医学について
も知見さえも無い。
二輪においては、背中を丸め
る前傾姿勢よりも、上体が起
きたアップライトポジション
のほうが人体構造上腰と脊髄
にもろに衝撃が加え続けられ
て、上体起こしのほうが実は
身体疲労の蓄積が大きい事な
どにも目がいかない。
要するに浅すぎるのだ。
発想や言っている事が。
だが、そうした発想言動を為
す人のほうが8割以上だ。
つまり、世の中、正しく正鵠
を射る視点と知見を持ってい
る人たちのほうが少ない、と
いう社会現象が二輪界にも及
んでいる、という社会現象の
一つの現れでもある。
多くの人間が言えばそれは正
しい、というのはこの銀河系
内の真理真実としては存在し
ない。
地球は丸く、地球が太陽の
周りを回っているのだ。
地球が真っ平で天が地球の
周りを回っていると多くの人
が口にしていても、間違いは
間違い。科学と物理学が未発
達の頃はそれで異端審問にか
けられた。
バイクの世界でも、真実や間
違いに気づかない人たちは、
それは未だに天動説を信じて
いる人たちと同類なのだ。
こびりついた眼の鱗はとっと
と落とすに限る。
前方視界クリアでないと、正
しいラインをトレースしてコ
ーナーを曲がれないよ。
まっつぐな道さえ進めない。