『「名無しの十字架」久保直樹監督インタビュー!』 | フィーチャーズ

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フィーチャーガールによる
コラム女子プロレス団体

今回鈴木は
コラム女子プロレス団体『FEATURES』として、
神尾佑さん主演、12/1銀座シネパトスで公開の映画「名無しの十字架」の監督の久保直樹さんにインタビューをしてきました!


キックボクサーの話ですがプロレスファンなら絶対に倍楽しいこの作品の魅力に、プロレストークを中心にして迫りました



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以下
久保直樹監督=監督

☆☆☆☆☆☆☆☆


――まずこの作品を観てみて神尾佑さん演じる主人公が、すごく人間臭くてビックリしました。今のプロレスもそうですが、ヒーローや主人公は綺麗なとこしか見せないじゃないですか。そういう感じが昭和的と言うか。


監督:まぁ作品のイメージで言えば旧IWA Japan や Wingとか… FMWまではいかないかな(笑)そんな雰囲気のものを描きたかったからね。


――そういえば小物もそうでしたね。釣りをしてた人の帽子もECWのでした!


監督:よく気がついたね!初めてだよあれに気付いたの!色々選んでECWにしたのに、誰も気づかなかったんだよ。(ちょっと嬉しそうに)


――そりゃ、プロレスファンですから!(エヘン)


監督:ちなみに釣り人の役はね、何だと思う?木戸って言うんだよ!そう、木戸修がモデルなの!


――………?


監督:え、新日にもいたじゃない!知らない?


――お、お名前くらいは…。(やっぱり昭和から観てきた世代にはまだまだ勝てないと思い知る)


監督:そっかあ…知らないのかあ。


――あ、あの!主人公が事務所にしてる所、見たことありました。水道橋のプロレスショップの闘道館ですよね!


監督:舞台は横浜なんだけどね。


――プロレスファンとしては、古い週プロやゴングがわんさかでてきてかなりワクワクしました。キックボクサーの話なのに昭和のプロレスの雰囲気を感じました。

監督:キックボクサーの話だけど、仕組みはプロレスですから!

――監督は昔からのプロレスファンですよね。なのになんといいますか…劇中に「アレッ!こんなこと言っちゃうわけ?」っていうシーンがちらほらありまして…。新しい世代のファンはあまりそういうところは気にしないですが…。


監督:昭和から平成初期のファンはね、ずっとプロレスは真剣勝負だと思って観てきたんです。しかしある日そうではないと気付いてしまう。すぐには受け入れられないですよ。まあ僕はそういうところは寛容です。


――特に昭和のファンの方は怒りますよね。そういうこと言われると。


監督:だから彼らの中ではプロレスと言ったら馬場猪木の時代なんです。


――時間がそこで止まっていると。


監督:そう、昭和世代は時が止まっているんです。


――最初にも言いましたが、主人公はすごく昭和的ですよね。ほら、「オッパイ吸わなきゃやってられねぇよ!」とか言って、実際に吸っちゃうじゃないですか(笑)生身だなあと。


監督:まあダメ男を描きたかったというか…80年代の探偵ドラマをイメージしてるからね。俺たちは天使だとか。最近で言うと探偵はバーにいるとか、すごくあの時代をオマージュしてるでしょ。昭和の雰囲気を出したかったんだよね。


――主人公はそういった意味ですごくそれっぽいです。女性にものすごくモテた伝説とか、そういった生々しい話は今は勤めて出さないようにするじゃないですか。


監督:セリフでもあったけど、連日のハードバンプで全身痛くて堪らないからマリファナに手を出したり、筋肉増強剤を使って副作用に苦しむ…というような問題点を出したりして、レスラーの悲哀みたいなものも入れてるんです。


――レスラーの悲哀ですか。そう考えれば今のレスラーはもっと…


監督:アスリート的だよね。昔のレスラーみたいに無理をしなくなった。昔のレスラーは、俺たちは化け物。胃が痛くてもバンバン食うしガバガバ飲むし…


――飲み屋のお酒を全部飲んでいったなんて伝説ありますもんね。


監督:そう、自分達を怪物みたいに思わせなければいけなかったと、故橋本真也さんから聞かされたよ。


☆☆☆☆☆☆☆☆


――そういえば釣り人が主人公をニック・ボックウィンクルに例えてましたが、なぜなんですか?


監督:え、理由は…変な理由だからな~。伝わるかな~!


――え、え、何ですか!教えて下さいよ!


監督:いやあの…野獣死すべしにリップ・ヴァン・ウィンクルっていう小人の童話の例え話が出るんですよ。で、ニック・ボックウィンクルとリップ・ヴァン・ウィンクルが似てるからというだけなんですが…。ちなみにニック・ボックウィンクルは知ってる?昔のチャンピオン!


――すみません、知らないです。

監督:え!じゃフレアーは知ってるでしょ?


――TNAでいつも頭から血を流してるおじいさんのイメージでしか…。


監督:まあ昔もあんな感じだったよ。そうかぁ…でもわかんないよね今の人は。だって前にテキサスクローバーホールドの話した時もテリーファンクじゃなくて棚橋の名前出してたもんなあ…。世代が違うんだなあ…。


※ここで「ところでしゃべり方が女子レスラーみたいだね!」と久保監督に言われてしばらくキャッキャしてしまう(笑)


☆☆☆☆☆☆☆☆


――(大分雑談になっていたことに気づき)トラは本物なんですか?


監督:トラは本物です。アメリカ、ハリウッドまで撮りに行きました。


――ハリウッドまでですか!日本の動物のプロダクションにトラはいなかったのですか?


監督:犬、ネコのはあっても猛獣のプロダクションは日本にはないんですよ。実はこのトラはグラディエーターにも出たハリウッドスターのトラなんですよ。ラッセルクロウと戦っていたトラです。


――え、このリーフレットのトラですか!?


監督:(リーフレットを指して)これはその若いのと年寄りの二匹のうちの一匹。逆に言うとこのトラが使えるということで、この映画が撮れたんです。


――今はCGもありますし、本物を使っての撮影はなかなかやらないですよね。


監督:まあ危ないですしね。やらないですよね。戦っても勝てないし、全然言うこと聞かないし(笑)


――ええ!?ハリウッドスターのトラなんじゃ…


監督:ネコ科なんで全然言うこと聞かないですよ!何回もトライして求める動きに近い動きが出たらOKして…って感じでした。


――で、でも小林さんはトラを目の前にしてるんですよね?


監督:はい。ギリギリのところで電流入りのワイヤーが通ってるけど、飛び越えてくることもあるかもしれないと調教師から脅されてました。実際、兄弟で調教師やってたランディの弟はトラに喰われてるから、撮影の間すごくナーバスになっていましたよ。


――調教師でさえ食べられてしまうんですか。


監督:犬とかと違ってトラは人に慣れないんです。結局は猛獣なんです。だから終始ものすごい緊張感の中での撮影でした。


――そんな危険なトラを目の前にして、小林さんは怖がってませんでしたか?代役を立てたりすなかったんですか?


監督:実は最初は向こうで代役を立ててもらってたんですが…そいつが白人で金髪、全身刺青の190cmはある大男で仕方なかったんです。小林さんは怖がってましたけど彼しかいないんで仕方なかったんです。


――190cmで全身刺青って全然代役になってないです(笑)


監督:ええ、小林さんは現場を勉強のために見にきていただけだったんですが、全身刺青の大男がきてしまったがために急遽入ってもらいました。仕方なかったんです(笑)


☆☆☆☆☆☆☆☆


監督:しかし誰も毒霧に気付いてくれなかったなあ…(すごく残念そうに)


――ええ!何言ってるんですか!鈴木は気付いてましたよ!主人公の三上さん、血の毒霧を使った上に凶器も使って戦ってたじゃないですか!だから主人公がすごくプロレス的だと思ってたんですって!!


監督:本当に!?(すごく嬉しそうに)そこまで気付いてくれたのは初めてだよ!(血の毒霧をやるシーンについて)スタッフにも「あれはないんじゃないですか?」と言われて、もう少しでカットされるシーンだったんだよ。


――毒霧をカット!?それはダメですよ!重要な見せ場なのに!…プロレスファンは観ないといけない映画ですねやっぱり!


監督:そう、プロレスファンは
観ないといけない(笑)キックボクサーの話ですけど、プロレスファンのために作りましたから。


☆☆☆☆☆☆☆☆


監督:この映画はトラ対人間という幻のビデオを追う話だけど、実際こういうビデオってあるんです。三沢の事件もあったじゃないですか。あれも人が亡くなってるから世に出なかったけど、どこかに映像が残っているはずだし。設定としてはウソではないんです。荒唐無稽な話かもしれないんですけど、あり得なくはないんです。


――久保監督、今日はありがとうございました!


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☆鈴木の感想☆

元格闘家による格闘映画にはしたくないという小林さんの意向の通り、スタイリッシュな探偵ものの本作。

特に鈴木が好きなのは、トラと戦ったのがキックボクサーだと突き止めるシーンでした!
探偵ものらしい考察なんですが、普通の探偵なら絶対気付かない理由からキックボクサーだと断定するところに、テンション上がりました!(^O^)↑

そして魅力的なキャストさんの演技、特にZERO1野良犬道場の小林聡さんの演技にも注目です!

そして久保監督の言うように絶対ありえない話じゃないとしたら、もしかしてこの世のどこかで幻の地下ビデオを巡ってこんな物語が繰り広げられているかもしれない…と思いを巡らすとロマンがありますよね。

是非プロレスのファンもキックボクシングのファンも脚を運んでみてください!!




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【「名無しの十字架」ストーリー】
横浜でしがないプロレスショップを営む三上(神尾佑)は、借金まみれの生活から抜け出すために、見つければ3,000万円で引き取るという幻の地下ビデオ「虎対人間」を探し始める。仲間からの情報でそのビデオで戦った人間がキックボクサーであることを知った三上は、過去の格闘技雑誌を調べ、ある伝説的なキックボクサーが、突然失踪した記事を見つける。その男、新崎真太郎(小林聡)はタイのムエタイチャンピオンをリングで殺したこともある男だった。三上は新崎の足取りを追ってまず彼の恋人・柳瀬雪江(松尾れい子)を探すが…。


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【キャスト】
神尾佑,松尾れい子,小林聡,和田聰宏,米沢瑠美,吉田侑生,みのすけ,前田健,外波山文明,金山一彦

【久保直樹監督プロフィール】
東京都出身の脚本家、映画監督。テレビ朝日『ニュースステーション』スポーツコーナー編集を担当。2004年に公開された映画『あゝ!一軒家プロレス』は橋本真也の映画初主演作となっている。

タイトル:『名無しの十字架』
公開情報:12月1日(土)より銀座シネパトスほかにてロードショー

公式サイト:nanashi-movie.com

■出演:神尾佑、松尾れい子、小林聡、和田聰宏、米沢瑠美、吉田侑生、みのすけ、前田健、外波山文明、金山一彦
■監督:久保直樹    原作:郷一郎「名無しの十字架」(角川文庫刊)
2012年/日本映画/カラー/ビスタサイズ/ドルビー/上映時間93分

配給:アークエンタテインメント

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(C)2012映画「名無しの十字架」パートナーズ
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