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外科医は、皆さんの想像以上にプレッシャーと戦っていると思います。  執刀した日は、患者さんが気になって眠れない。休みの日(ほぼないですが)も、病院を離れると後ろめたい気持ちになる。患者さんに悪いことが起こったら、しばらく食欲もわかない。基本、大学医局に属さないといけないから、給料は安い。他科の医師が休みの日にバイトにいって羽振りよくしてても、いつ呼び出されるかわからないからバイトに行けない。偉くなってもせいぜい部長。給与なんてほとんど変わらない。特に脳外科医はほとんど開業なんて考えてない。基本、先輩、上司怖い。もう褒めるところ、後輩に進める理由なんてみつからないわけですよ。  この令和の世の中、まともに考えたらコスパ、タイパ最悪なのに、それでも頑張って外科医をやり続けて。。。自分を信頼してくれた患者さんに良くなってもらったときの「やったった」感が忘れられなくて、頑張り続けてしまう。そんな頭悪い絶滅危惧種なんですよ。  常に微妙な判断、細心の注意でやっていてもやっぱり起こってほしくないこと、想定外のことは起きる。 それを鬼の首をとったように批判されると、やっぱりつらいんじゃないかなと思います。もう私は外科医として助からないけれど、第二、第三の「竹田くん」が生まれないようにしたい。ここで「竹田くん」てのはメディアや漫画で誤った情報を流されて世間の敵にされてしまい外科医はおろか、医師もできなくなる人のことですよ。  私は実際、1つのとんでもない事故で患者さんを歩けなくしてしまいました。その責めは負うつもりです。ただそれ以外の症例について、その時点でベストを尽くした上での結果だったと思います。    これから漫画、SNSで結果に納得できない家族が医師批判をすることは増えるでしょう。うまく刑事事件化できる前例をつくったから。その功績はたたえるべきかもしれないけど、そこに真実がなかったらそれはルール違反じゃないか。多少の誇張と一般の方が思っても、外科医にとっては医師にとっては医療機関にとっては、それが致命的な誇張になったりする。  外科医が絶滅してしまう前にこの流れは止めたいと思っています。それが発信するきっかけ?目的です。      私自身については、今更騒いだところで、私の診療を受けたいという人はいないでしょう。何年かのちに、裁判で勝って、この忌まわしいレッテルがはがれても。そこはもうあきらめています。  大学勤務時代に脳外科入局を勧めて、実際に脳外科を選んでくれた子もいました。やっぱり後悔させたくない。  この流れが私だけでおさまってくれることを祈っています。
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