「レイプにあった」30年前の避難所で起きていた性被害『支援物資で死角に』訴える声に「神戸にダーティーなイメージをつけるな」 被災地で繰り返された"悲劇" 令和にもつながる教訓とは
訴える声に「神戸にダーティーなイメージをつけるな」
震災の前から神戸で、女性の支援活動を行っていた正井禮子さん(75)のもとにも、性被害を訴える声が寄せられていました。 しかし、寄せられた「声」を世間に発信すると、一部のメディアはこれに懐疑的な目を向けたといいます。 (正井禮子さん)「神戸にダーティーなイメージをつけるなと言う人も多かった。性暴力を許さないって言ったことがなぜこんなにもたたかれるのか訳がわからんと思った。でもすごくたたかれるから」 ある記者からかけられた言葉が今も忘れられません。 (正井禮子さん)「被災地に希望をもたらす、被災地に光をもたらす報道をしようというのは、メディアの暗黙の了解だったと言われました」
悲劇は今も繰り返される「安心して暮らせるような避難所作りを」
そして、悲劇は繰り返されていきました。 正井さんが東日本大震災の約半年後に1000人を対象に行った被災地での暴力被害に関する実態調査では、女性や子どもに対する暴力について、「実際に体験した」「目撃した」「被害者本人やその家族などから相談を受けた」と回答した人が計82人にのぼったのです。 【調査報告書より】 「夜になると、男の人が毛布の中に入ってくる」 「授乳しているのを男性にじっと見られる」
さらに、去年1月の能登半島地震では、避難中の女性に対する不同意わいせつ容疑で当時19歳の男が逮捕される事件も。 阪神淡路大震災の発生から30年、避難所での暮らしは誰にとっても安心で安全なものになったのか。今なお課題が突き付けられています。 (正井禮子さん)「“女性対男性”の戦いにしたら、全然解決しない。“社会対暴力”っていう構図にして、誰もが安心して暮らせる、災害時であっても安心して人々が暮らせるような、そういう避難所作りをしようとか、そういうふうに考える社会であってほしい」