高齢者虐待 家族から171件、施設従事者12件 2023年度・長崎県内

2025/02/08 [10:22] 公開

長崎県が2023年度に把握・確認した県内の高齢者に対する虐待件数を発表。施設従事者による虐待件数は12件で前年度(1件)から急増し、過去3番目に多かった。家族らによる虐待も171件で前年度から14件増え、3年連続の増加となった。
 県高齢者虐待防止・身体拘束ゼロ作戦推進会議(委員長・木下裕久長崎大保健センター准教授)で明らかにした。
 施設従事者による虐待の内訳(複数回答)は心理的虐待が最も多く、次いで身体的虐待、介護や世話の放棄・放任だった。心理的虐待では一人の職員が複数人に暴言を吐くケースもみられたという。被虐待者数は37人で、8割以上が女性。虐待の程度では、2人が過去3年間なかった最重度の事例だった。相談・通報件数は過去最多の49件。施設・事業所の管理者や当該施設職員からの通報が増えた。
 一方、家族らによる虐待の内訳(複数回答)は、身体的虐待が117人で最も多く、心理的虐待(71人)、介護や世話の放棄・放任(41人)、経済的虐待(35人)と続いた。虐待したのは息子、夫、娘の順に多く、発生要因は「介護疲れ・介護ストレス」が最も多かった。
 県によると、事業所や家庭への広報啓発で虐待に対する意識が芽生え、全国的にも通報・相談件数が増加しているという。
 会合では施設従事者の虐待について、人手不足に伴い管理者が職員に注意しづらい環境になっていないか懸念する声が上がった。家族らによる虐待に関しては、家族と身近なケアマネジャーが早めに気付き通報できる仕組みを求める意見などがあった。