“うそ”で地域を活性化 夢や希望の「ほらふき大会」 ほらを吹く人も聞く人も笑顔あふれる 岩手・一関市
夢や希望のある「うそ」で地域を活気づけようと、20年以上にわたって続けられている「ほらふき大会」が1月26日に岩手県一関市で開かれました。 2025年はどのような愉快な「ほら」が飛び出したのでしょうか? 一関市東山町の田河津(たこうづ)地区で、26日に地区の名物となっている「元祖ほらふき大会」が開催されました。 この大会は夢や希望のあるほら話で地域を元気にしようと、住民が中心となって1995年に始まりました。 29回目を迎えた今回は県内外から40代から90代までの男女8人が出場。 集まった約120人の観客を前に持ち時間7分でほら話を競い合いました。 注目は前回1位にあたる「ほらふき大賞」に輝いた一関市川崎町の佐藤昭彦さん(54)です。 田河津の「村長」を名乗り地元を有名にするため地名を「ほらふき村」に変えてしまう話を披露しました。 佐藤昭彦さんのほら話 「ほらふき村の人たち、だんだん“ほらふき”という名前がなじんできた。田河津の畑さダイコンを植えたら、全部『ほらふき大根』」 車のナンバーから小学校の名前まで、あらゆるものがほらふきになってしまうユニークな状況をテンポよく話し観客を楽しませました。 一方、ほら吹きの魅力にひかれ県外から参加した人もいました。 宮城県登米市の及川智さん(41)です。 及川智さん 「自信のほどは、準備をしても本番では(内容が)飛ぶでしょう。楽しんで少しでも笑ってもらえるよう頑張りたい」 及川さんは2024年、この大会で披露されたほら話が忘れられず「自分も出てみたい」と初めて出場しました。 及川さんのテーマは300年後の田河津地区を見に行くというものです。 及川智さんのほら話 「一関市から田河津市に変わった。一関市東山町田河津の名前がなくなった。リニア新幹線が通って岩手県が元気になる。そうなると国も黙っていない。経済産業省と農林水産省が岩手県に移ったんですね」 最初は緊張した様子でしたが観客から笑いが起きると徐々に調子が上がっていきます。 及川智さん 「(地域が)明るい未来になるのか、過疎が進んで本当になくなってしまうのか、きょう集まった皆さんにかかっている。ぜひ明るい未来のために頑張りましょう」 観客 「話を聞いていて本当の話みたいに聞こえてくるし、とても楽しく聞かせてもらった」 「(自分より)先輩の方々ばかりだがパワーがすごくて元気をもらった」 「こういうのが定着して地域活性化になれば幸いだと思う」 テーマ設定や会場の反応などを基準に審査員が採点した結果、佐藤さんは2年連続の「ほらふき大賞」、及川さんは「ユーモア賞」に選ばれました。 佐藤昭彦さん 「すごくうれしい気持ちでいっぱいです。自信はなかったけれど地元の人たちは笑いが優しいので笑ってくれるんじゃないかと思っていました」 及川智さん 「顔が引きつっていたが、だんだん笑い声が聞こえて助かった。見て楽しむよりしゃべって楽しむ方がいい。来年は30回の記念なので多くの皆さんと一緒にほらを吹きたい」 ほらを吹く人も、それを聞く人も、笑顔にあふれた「ほらふき大会」。 そんな地域の人たちのエネルギーがあれば、希望に満ちたほらが現実になる日も遠くないかもしれません。
岩手めんこいテレビ