ニュース

坂本龍一が最後まで中止を訴えた「神宮外苑森林伐採・再開発」の元凶は森喜朗! 萩生田光一も暗躍、五輪利権にもつながる疑惑

坂本龍一Twitterより


音楽家の坂本龍一が3月28日に死去していたことが報じられ、追悼の声が広がっている。ご存知のとおり、坂本氏は音楽家として世界的に活躍しただけではなく、原発や安保法制に反対するデモに参加するなど、社会問題にも大きくコミット。

とくに、死去のニュースと合わせて注目を集めているのが、明治神宮外苑地区の再開発見直しを求めて、小池百合子都知事に送った手紙についてだ。

現在、神宮外苑地区では、三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター、伊藤忠商事による再開発が進行している。神宮球場と秩父宮ラグビー場の建て替えとともに商業施設やオフィスが入る複合ビルなど超高層ビルを建設する計画で、東京都は再開発事業を今年2月17日に認可。この再開発によって伐採・移植される樹木は約3000本にものぼることが判明しており、文化遺産の保全活動に取り組む日本イコモス国内委員会が計画の全面的見直しを要請しているほか、市民からも計画見直しを求める声があがっている。

一方、坂本氏は2007年に森林保全団体「more trees」を立ち上げ、森林の保全をはじめ、脱炭素社会を目指す取り組みや東日本大震災における被災地支援など、多岐にわたって活動をつづけてきた。この外苑再開発問題にも強い関心を持ち、亡くなる直前の今年3月にはがん闘病中の身でありながら「一市民として黙っていてはいけない」として、再開発を認可した小池知事らに手紙を送ったのだ。

坂本氏は、小池知事にこのようなメッセージをしたためたという。

「神宮外苑の再開発について私の考えをお伝えしたく筆をとりました。
率直に言って、目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではありません。
これらの樹々はどんな人にも恩恵をもたらしますが、開発によって恩恵を得るのは一握りの富裕層にしか過ぎません。この樹々は一度失ったら二度と取り戻すことができない自然です」
「東京を「都市と自然の聖地」と位置づけ、そのゴールに向け政治主導をすることこそ、世界の称賛を得るのではないでしょうか。そして、神宮外苑を未来永劫守るためにも、むしろこの機会に神宮外苑を日本の名勝として指定していただくことをお願いしたく存じます。


あなたのリーダーシップに期待します」

ところが、この手紙を受け取った小池知事は、会見で「(再開発の意義などが)坂本さんや都民の方に伝わるよう(職員に)情報発信をあらためて指示した」などと述べ、坂本氏のメッセージを正面から無視。さらに、こう言い放ったのだ。

「事業者の明治神宮にも手紙を送られたほうがいいんじゃないでしょうか」

まるで民間事業者が再開発を勝手に進めているかのような言い草だが、認可したのは小池都知事だ。病床にある坂本氏が渾身の力を振り絞って送った手紙だとわかっていながら、あまりにも冷酷非道な態度と言わざるを得ないだろう。

小池都知事は2017年の定例会見で「緑は失うときはあっと言う間になくなるが、それをまた確保するのには大変な時間がかかる。東京の緑は、これ以上減らさないという明確な方針を打ち出していきたい」と発言していた。にもかかわらず、もともとは国民・都民の共有財産であった自然豊かな神宮外苑の破壊行為を後押しすることは、断じて許されない。

しかも重要なのは、この神宮外苑の再開発は、自民党有力政治家の私利私欲と、それに従った東京都、政治家と一体化した明治神宮や三井不動産などの事業者によって進められてきた「政治案件」であるということだ。

神宮外苑再開発の最大のキーパーソンは、元総理大臣で東京五輪組織委員会の会長を務めた森喜朗氏である。

神宮外苑地区の再開発をめぐっては、2000年代半ばから、森氏の親友とされ明治神宮と太いパイプを持つとされていた人物の関与が囁かれるなど、森氏が東京五輪開催による再開発に絡んだ建設利権を狙っているのではないかと言われてきた。実際、森氏は2016年五輪招致の際にも「国立競技場や岸記念体育館の建て替えが、政治家の私が(日本体育協会の)会長になった意味。東京に五輪が来れば、全部できる」と当時の石原慎太郎都知事に話し、東京への五輪招致を焚きつけたと報じられている。

五輪開催を口実にして、新競技場や関係施設の建築や再開発をおこなうことが目的だったことが透けて見えるだろう。

こうした森氏の思惑は、2020年東京五輪招致によって、実現に向けて動き出していく。

東京都が2020年五輪招致を表明する直前の2011年2月、森氏が最高顧問を務める「ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟」は、国立競技場を8万人規模に改築する案と神宮外苑地区の都市計画再整備を求める決議案を提出。2012年には新国立競技場の建設が決定したが、ここで森氏が神宮外苑再開発に関与していたことを示す、決定的な証拠の文書が明るみに出ている。

東京都の開示資料によると、2012年2月28日に森氏が強い影響力を持っている清和会所属で当時落選中だった萩生田光一氏が東京都の安井順一技監(当時)と面談。そこで萩生田氏は「森元首相から『競技場施設そのものは国。しかし都が一生懸命汗をかいてくれないと困る。君が、文科省、NAASH(編集部注:日本スポーツ振興センター、現JSC)、都を横断的に調整してくれ』と言われている」と告げると、日建設計が作成した整備案を広げて見せ、このように迫っている。

「国が踏み出すことを都が待っていては遅い」
「実現する時は自民党政権に戻っている。今の機会しかここの整備は出来ない」

さらに萩生田氏は岸記念体育会館の移転建て替えについても、「(移転を)日体協が望んでいるようだ」と発言。つまり、森氏は萩生田氏を使って神宮外苑のスポーツ施設にかんする再整備を都に働きかけていたというわけだ。

そして、この萩生田氏が迫っていた問題に対し、都側は2012年5月15日、森氏に直接説明をおこなっている。

当時の佐藤広・東京都副知事と安井技監は森氏と面談をおこない、このとき佐藤副知事らは神宮球場と秩父宮ラグビー場の場所を入れ替えた上で建て直すという、現在まさに進められている再開発案につながるプランを提示したのだ。

すると、森氏は「すばらしい案じゃないか。長生きしないと」と大喜び。さらに安井技監が“五輪の招致が失敗しても神宮外苑全体の再整備を前提に都市計画変更の調整を進める”と明言すると、森氏は「すばらしいよ。あと15年は長生きしないと」と口にしたのだ。

ようするに、森氏にとっては東京五輪の実現・成功などよりも五輪にかこつけた神宮外苑の再開発のほうが重要であり、あろうことか東京都も、森氏の願望を実現させることを約束していたのである。ちなみに、森氏の要求に唯々諾々と従った佐藤副知事と安井技監はその後、大会組織委員会の副事務総長と参与にそれぞれ就任している。

こうして森氏のゴーサインのもとでスタートした神宮外苑の再開発案は、トントン拍子で進行。2013年に東京都は建物の高さ制限をそれまでの15メートルから最大80メートルにまで緩和。2015年には東京都とJSC、明治神宮、三井不動産、伊藤忠商事らが「神宮外苑地区まちづくりに係る基本覚書」を締結し、高層ビル建設を含む神宮外苑地区の本格的な再開発に踏み出したのだ。

しかも森氏には、事業者のひとつである三井不動産との関係も取り沙汰されている。

森氏サイドと三井不動産会長(現・相談役)の岩沙弘道氏には、森氏の子飼いである自民党・野上浩太郎参院議員の東京浩友会長を岩沙氏が務めるなどの接点があったが、じつは、森氏が「すばらしいよ。

あと15年は長生きしないと」と発した都幹部との面談から2カ月後に、岩沙氏が神宮外苑の土地の多くを所有・管理する明治神宮の総代に就任(「週刊ダイヤモンド」2022年7月2日号)。また、先述した覚書が締結された20日後におこなわれた三井不動産による東京五輪スポンサーシップ契約の記者会見にも森氏はわざわざ出席し、「オリンピックの大会準備とは、快適な街を準備することでもある。三井不動産からアドバイスをもらいながら準備を進めたい」と発言。さらに同年10月、三井不動産と五輪大会組織委が実施した「日本橋シティドレッシング」のオープニングセレモニーにも森氏は駆けつけている。

このように神宮外苑再開発は、森氏を中心にして生まれた利権の構造と、それを支える東京都によって、都民をそっちのけにした状態で進められてきたものなのだ。坂本氏が手紙のなかで指摘したように、「開発によって恩恵を得るのは一握りの富裕層」に過ぎないのだ。

坂本氏は、共同通信の書面インタビュー(3月29日配信)で、小池都知事の「事業者にも手紙を送られたほうがいいのでは」という手紙への応答に対し、「特に地権者である宗教法人明治神宮にはぜひとも計画をご再考いただきたい。が、それ以前に都市計画のビジョンのもとに各地の開発の是非が判断される必要がある」と指摘。最後にはこう述べていた。

「わたしは現在がんの闘病中で、今は音楽制作を続けるのも難しいほど気力・体力ともに減衰しています。残念ながら手紙を送る以上の発信や行動は難しい状況です。しかし、私のように多少名前が世に知られた者の声ではなく、市民一人一人がこの問題を知り、直視し、将来はどのような姿であってほしいのか、それぞれが声を上げるべきだと思います。

日々の生活でたった今・この時に声を上げることが難しい場合でも、次の選挙で意向を投影することは可能です。選挙も消費行動も等しい力を持って1票になると思います」

いまからでも遅くはない。小池都知事はこれ以上の樹木の伐採を止めるために再開発事業の施行認可を即刻取り消すべきだ。そして、市民は坂本氏の“遺言”を無に帰させないためにも、遺志を引き継ぎ、反対の声をあげなくてはならないだろう。

編集部おすすめ
Amazonおすすめランキング PR
今、あなたにおすすめ
リテラの記事をもっと見る

ジャニーズ性加害問題で露わになったテレビ局の共犯性! ジュニアの練習場を提供したテレビ朝日はジュリーの謝罪後も批判なし

ジャニーズ事務所公式サイトより


 英BBCによる報道や元ジャニーズJr.であるカウアン・オカモト氏らが告発してきた故ジャニー喜多川氏の性加害問題について、今月14日、ジャニーズ事務所の藤島ジュリー景子社長がようやく謝罪と公式見解を明らかにする動画と文書を公表した。

 しかし、今回のジュリー社長がおこなった説明は、到底納得できるものではない。

まず、ジャニーズ事務所はジャニー氏による加害行為をいまだに認めておらず、文「当事者であるジャニー喜多川に確認できない中、『事実』と認める、認めないと言い切ることは容易ではない」と抗弁し、「ヒアリングを望まない方々も対象となる可能性が大きい」などとして第三者委員会の設置も拒否。さらに、ジュリー社長は「(性加害問題について)知らなかったでは決して済まされない話だと思っておりますが、知りませんでした」と述べ、重要な情報はジャニー氏と故・藤島メリー泰子氏以外には知ることができない状態だったと説明。「週刊文春」が報じたジャニー氏の性加害を事実と認定した2003年の高裁判決についても、「今回の件が起こり、当時の裁判を担当した顧問弁護士に経緯確認するまで詳細を把握できておりませんでした」などと述べた。

 加害行為を事実と認めず、第三者委員会による真相究明も拒絶し、知らぬ存ぜぬでシラを切るとは、誠意ある態度とはまったく言えない。だいたい、ジュリー社長は「何も知らなかった」というが、長年にわたってジャニー・メリー体制のジャニーズを広報担当として支え、自社タレントのスキャンダル報道を封じ込めてきた白波瀬傑副社長は、「週刊文春」の取材にも対応してきただけではなく、文春との裁判にも出廷しているのだ。にもかかわらず「知らなかった」という一言で逃げている時点で、企業としてこの問題に真摯に向き合う姿勢は微塵もないと示したようなものだ。


 だが、この謝罪になっていない謝罪により、あらためて再認識させられたのは、テレビをはじめとするメディアの酷さだ。

 そもそも、今回の一連の動きの端緒となったBBCおよび「週刊文春」の報道に対して反応したのはネットメディアだけで、大手マスコミは完全に沈黙。さらに、4月12日に元ジャニーズJr.のカウアン・オカモト氏が日本外国特派員協会で記者会見をおこなったが、同日中に反応した大手マスコミは共同通信や朝日新聞デジタル、読売新聞オンラインなどといった新聞メディアのみ。翌13日にジャニーズ事務所がコメントを発表したことを受け、ようやくNHKが報道したが、それも16時のニュース枠という扱いで、日本テレビはCS番組とウェブ、テレビ東京もウェブでのみ報じた。つまりテレビ局は、ジャニーズ事務所が公式コメントを出すまで一切ニュースにしなかったばかりか、地上波ではNHKが目立たない枠で小さく報じただけだったのだ。

 そんななか、告発会見から約10日後の4月21日、ジャニーズ事務所が取引先企業に対して報告文書を出していたことを朝日新聞が報じると、TBSは『news23』で問題を小さく取り上げ、『サンデーモーニング』などでもカウアン氏の告発を紹介。

5月11日には『news23』がテレビ局でははじめて被害を告発している元Jr.を独自取材し、小川彩佳キャスターが「報道機関がどれだけこうした被害を報道してきたのか。少なくとも私たちの番組ではお伝えしてこなかったという現状があります」とコメントをおこない、話題を呼んだ。

 小川キャスターのコメントは最低限の自己批判であり、特段踏み込んだ発言でもなんでもない。だが、テレビ各局が揃いも揃ってあからさまなジャニーズ忖度を見せているなか、独自取材で問題を報じたことは大きな前進でもあった。しかも、ジュリー社長自らが動画で説明をおこなったことで、他局も無視できない状況に追い込まれた。未成年者に対する性暴力という事の重大さを考えても、ここまでくればさすがにジュリー社長のツッコミどころ満載の説明に、テレビ各局も批判をおこなわざるを得ないだろう。普通はそう考えるはずだ。

 ところが、テレビ各局の報道は、この期に及んでも腰が引けまくったシロモノだった。

 たとえば、日本テレビは15日放送の『DayDay.』で、MCである元NHKアナウンサーの武田真一が、小川キャスターと同様に“伝えてこなかったことの責任”を語ったが、ジュリー社長の不誠実極まりない対応に対する批判はなし。さらに、同日放送の『news zero』では、その前まで出演していた櫻井翔をフレームアウトさせた上で、メインパーソナリティの有働由美子が「この件については、番組で話し合って私が話します」と言い出し、「エンタメを通じてたくさんの夢を見せてきてくれたジャニーズだからこそ、ファンや私たちが迷いなく夢を見続けられるようにしてほしい」などと発言した。ニュースについてコメントできない人物を報道番組に起用していること自体が問題だが、この状況下で「迷いなく夢を見続けられるようにしてほしい」というコメントは、被害者に対して無神経すぎるだろう。

 さらに酷かったのが、フジテレビだ。

『めざまし8』では、短いVTR後にメインMCの谷原章介が「異例の謝罪でしたけれども、ジャニー喜多川さんの性加害について、ジャニーズ事務所は知らなかったということでしょうか」と一言述べただけ。スタジオには橋下徹古市憲寿といったコメンテーターも揃っていたが、話題を振ることなく、天気コーナーに移ってしまったのだ。

 だが、こうした日テレやフジの報道よりも酷かったのが、テレビ朝日だ。

 まず、15日放送の『報道ステーション』では、大越健介キャスターによる「被害を訴えている人たちをはじめ、 夢を傷つけられたファンや、 この問題でショックを受けた多くの人たちの思いをまずはしっかりと受け止めていただきたい。誠実に向き合うというのはそこからはじまるのでないでしょうか」などと当たり障りのないコメントでお茶を濁したのだが、さらにジャニーズへの忖度があからさまだったのが同日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』だった。

『モーニングショー』も短くVTRでジュリー社長の説明を伝え、スタジオでは羽鳥が「代表であるジュリー社長がコメント、謝罪ということになりました」と話題を振ると、石原良純が「当事者であるジャニー氏が亡くなっているから事実認定ができないっていうのは、まあそういうことなんでしょうけども」などと無批判に語り、「時代がどんどん変わっていってるなと。こういうことが取り上げられて、メディアに取り上げられて」とコメント。さあらに、玉川徹までこんなことを言い出したのだ。

「やっぱり藤島社長がこういうふうにコメントをして、謝罪をしたっていうことは大きなことだと思うんですよ。とても大きなことだと思うし、大きなステップを踏み出したんだなというふうに思います。やっぱり今後なんですけどね、 今回こういうふうにコメントされたことをきっちり進めていけるかということと、自ら検証して進めていけるか、その際に被害を訴えられている方を第一に考えて進めていけるかどうかってことがポイントだし、やっぱりジャニーズの未来をそこが決めるんだろうと思います」

 政権批判を厭わない、あの玉川氏までもが、加害行為を認めていないことや第三者委員会の設置拒否という問題点をスルーし、「藤島社長がコメント・謝罪したことは大きい」などと大甘なコメントを発するとは……。あまりにも手ぬるいと言うほかないだろう。

 じつは、テレ朝はカウアン・オカモト氏の会見にカメラクルーを出席させていた。にもかかわらず、ジュリー社長の公式見解が出るまで、まったく放送してこなかった。この背景に何があったのかについて、テレ朝社員は「週刊文春」でこう証言している。

「上層部から『取り上げるな』とは言われていませんが、暗黙の了解で『取り上げないよね?』と。うちは城島茂の『週刊ニュースリーダー』、東山紀之の『サンデーLIVE!!』など、ジャニーズがメインのニュース番組もある。会見は素材としてとりあえず撮りに行った形です」

 つまり、上層部が現場に圧力をかけたわけでもなく、社内に暗黙の了解があり、ジャニー氏の性加害問題を取り上げなかったというのである。

 こうした忖度はテレ朝にかぎらず他局でも同じ空気が流れていたことは想像に難くないものだが、テレ朝の場合、とりわけ重いものだったはずだ。実際、テレ朝とジャニーズ事務所が築いてきた蜜月関係は、他局よりも古く、濃いものだからだ。

 テレ朝とジャニーズの関係を語る上では外せないのが『ミュージックステーション』の存在だ。1986年に放送が開始された『Mステ』は、芸能プロダクションとの癒着が有名で「テレ朝の天皇」とも呼ばれた皇達也・元取締役制作局長が、ジャニーズと田辺エージェンシーと共同で立ち上げた番組。一時はジャニーズの稽古場がテレ朝局内に置かれていたこともあったほどの関係にある。

 そして、番組スタート時からジャニーズ所属のアイドルがほぼ毎週出演してきた一方で、ライバルとなる他事務所の男性グループアイドルが出演できない状況がつづいてきた。

現に1997年には、この年デビューしたDA PUMPが番組に出演することが決まると、放送前日になってジャニーズはKinKi Kidsを出演させないと一方的に通告するという事件が起こった。こうしたジャニーズ以外の男性アイドルグループの番組からの排除は、ジャニー氏の意向をテレ朝が汲み取った結果だ。ジャニー氏の功績を振り返った「週刊新潮」(新潮社)2019年7月25日号の記事では、実際に皇氏がこう証言している。

「台頭してきた他の事務所の男性アイドルを番組に出すかどうか考えていた時のこと。ジャニーさんは“出したらいいじゃない。ただ、うちのタレントと被るから、うちは出さない方がいいね”と言う。ジャニーズタレントが番組から消えたら大変です。私が”そんなこと言わないで後進に手本を示してくださいよ”と返すと、”わかったよ”と理解してくれた。厳しさの反面、度量もある方でした」

 皇氏はジャニー氏が理解してくれたと述べているが、実際にはその後、DA PUMPはヒット曲をいくら出しても『Mステ』に出られず、再出演を果たしたのはなんと21年後の2018年のことだった。

 さらに、『Mステ』では、ジャニーズアイドルのバックダンサーをジャニーズJr.が務めることが多いが、「目立たせたいJr.がいる」といったジャニー氏の要望により位置替えがよく起こっていたという。また、『Mステ』は番組開始当初から20時スタートだったのを、2019年10月からは21時スタートに変更したが、ここにもジャニー氏への配慮があったと言われている。というのも、Jr.には15歳未満の者も多く、21時スタートでは彼らが生出演できなくなる可能性があったからだ。

つまり、ジャニー氏の死去によって、Jr.への配慮の必要がなくなり、21時への改編が可能になったというわけだ。

『Mステ』以外にも、1998年にはジャニーズJr.にとって初のゴールデン枠のレギュラー番組となる『8時だJ』を放送するなど、ジャニー氏の言いなりともいうべき関係を築いてきたテレ朝。こうした古くからの関係が、局内に「忖度するのは当然」という空気を生み出し、あの玉川氏でさえ鋭い批判ができない要因となっているのだろう。

 実際、玉川氏とともに政権批判を繰り出してきた『モーニングショー』元コメンテーターの青木理氏は、16日放送のYouTube番組「Arc Times」において、番組名は伏せつつも『モーニングショー』での出来事だと思わせる“ジャニーズ忖度”のエピソードを披露した。

 青木氏によると、SMAPの解散報道時、事前にプロデューサーから「青木さん、コメントしたいですか?」と尋ねられ、青木氏は「芸能事務所とテレビ局がある種、一心同体になってしまっている。準当事者になってしまっていて、報じられないこともある。だから視聴者はこういうメディアリテラシーも必要なのかもしれない」といったことを言いたい、と伝えたという。ところが、このコメントは「会議が開かれてNGに」なったらしく、「この件は一切コメントなしで行きますから」と告げられたという。

 しかし、前述したように、ジャニーズ事務所への忖度報道をおこなっているのはテレ朝だけにかぎらない。つまり、日本を代表する芸能プロダクション創設者による未成年者への性加害告発という重大問題を前にしても、テレ朝と同じようにジャニーズとの利権構造でがんじがらめになっているテレビ局ほど消極的な報道に終始しているというわけだ。

 いや、それはテレビ局だけの問題ではない。テレビより酷いのは全国紙系列のスポーツ紙で、ジュリー社長が公式見解を出すまでは紙面において全紙が沈黙。

いまだにジャニーズに対する批判的視点がほぼ皆無の記事を出している。これもひとえに「J担」と呼ばれる記者がジャニーズに接待漬けにされ、スキャンダル報道を封じてきた悪しき慣習にいまも従っているためだ。

 ジャニー氏の性加害は、言うでもなく大手メディアがその疑惑を把握しながら無視を決め込み、高裁で事実認定され最高裁で確定しても国会で取り上げられても報じることなく、隠蔽に加担したことで、これまで「なかったこと」にされてきた問題である。外圧と勇気ある告発によって、ようやくそのパンドラの箱が開いたというのに、大手メディアは相変わらずこの体たらく……。徹底した真相究明とジャニーズ事務所の責任追及が果たされるとは、とても考えられないだろう。

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

ニュースランキング

もっと見る

芸能カテゴリ

エキサイトニュースカテゴリ

お買いものリンク PR