(イメージ写真)
今から50年前、鹿児島の大隅半島にある小さな町で「ツチノコ」騒動が巻き起こった。1974年9月、旧大根占町(現錦江町)山あいの半下石集落。住民がビール瓶のような胴と細い尻尾を持つ生き物を目撃した。集落には農具のワラ打ちに似た恐ろしいヘビ「ワラッゴロ」の言い伝えがあった。
ワラッゴロは幻の生物ツチノコでは-。新聞記事をきっかけに全国からハンターが集まる。地元も盛り上がり、運動場や行事、ソフトボールチームにまでツチノコの名が躍った。だが新たな目撃情報はなくブームは去った。
当時300人いた集落の人口は現在約80人。高齢化率は約7割に上る。かつてのように住民が力を合わせ、地域を盛り上げようと2022年、野菜や加工品を持ち寄る販売所「つちのこの里」を開いた。80歳以下の女子会「つちのこクラブ」も誕生した。
民生委員の半下石良子さん(69)はブーム時は故郷を離れていたが、住民総出の捜索などのエピソードを聞くのが楽しみだ。「ツチノコはみんなを一つにする」と確信する。