連載 VOCE特別インタビュー

【渡邊渚】「人生を一度捨てたからこそ、気持ちに嘘をつかないことの大切さに気付いたんです」<前編>

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【渡邊渚】「人生を一度捨てたからこそ、気持ちに嘘をつかないことの大切さに気付いたんです」<前編>

元フジテレビアナウンサーの渡邊渚さんが、自身初となるフォトエッセイ「透明を満たす」を出版! PTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症や闘病生活を振り返り、トラウマや自分の人生と向き合った体験談をリアルに書き下ろした今作。出版にあたっての強い想いから、ライフスタイルの変化まで、前編・後編に分けてお届けします。

後編はこちら! → 【渡邊渚】「自分の体験や思いを伝えて、理解ある世の中をつくっていけばいい。それがアナウンサーとしてできる最後の使命だと思いました」

「トラウマを抱えてしまった人の希望になれたらうれしい」

【渡邊渚】「人生を一度捨てたからこそ、気持ちに嘘をつかないことの大切さに気付いたんです」<前編>
【渡邊渚】「人生を一度捨てたからこそ、気持ちに嘘をつかないことの大切さに気付いたんです」<前編>

──今回、フォトエッセイを出すきっかけとなった出来事や想いを教えてください。

「PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患ったことで、私の生活は一変しました。1ヵ月で体重が5kgも落ちたり、フラッシュバックが起きて仕事ができる状態じゃなくなって入院を余儀なくされたり、生きている意味を見失って自分で自分を傷つけてしまった日もあります。でも、そんな自分の経験や、闘病する中で得た情報を発信することは、もしかしたら誰かの心の助けになるのではないかと思ったのが本を出そうと思った理由です。

私が病気になったとき、ネットで調べてもPTSDに関する情報があまりなくて理解が難しかったんです。どんな治療法があって何を選べばいいのか、PTSDになって治った人がいるのか、という情報もなかなか見つからないから希望が見出せなかったなぁと感じていたので、私が何かを残すことで、PTSDになったとしてもこうやって元気に生きられる人間がいるということを証明したい、こういう一例もあるよと伝えたいなと思いました」

【渡邊渚】「人生を一度捨てたからこそ、気持ちに嘘をつかないことの大切さに気付いたんです」<前編>
【渡邊渚】「人生を一度捨てたからこそ、気持ちに嘘をつかないことの大切さに気付いたんです」<前編>

──私も読ませていただいたのですが、精神的にマイナスな状況にいる方に対してどのように接すると良いかということもわかりやすく書いてあったので、とても勉強になりました。

「ありがとうございます。やっぱり、私の家族もたくさん悩んでくれていたのを知っているので、病気になっている本人はどう感じているのか、どんなふうに接して欲しいのかなども、一つの指針として何か残せたらいいなと思いながら書きました。もちろん私の経験が全員に当てはまるわけではないし正解ではないけれど、どんな言葉をかけるべきかわからないと悩んでいる方も世の中にはたくさんいると思うので、自分が経験したからこそわかることをできる限り伝えています。

療養中、自分一人では本当に何もできなかったんです。家族や友人、病院の方々が手を差し伸べてくれて、いろいろな人から助けてもらったおかげでここまで元気になれたと思っています。たわいもない話をしたり、普通に出かけたり、あえて何かをするというよりも、病気になる前と変わらず接してくれたことがすごくうれしかったんです。何か楽しいと思える時間があれば、生きようという気持ちになれたんですよね。

私はこういう経験をしたからこそこの気持ちがわかりましたが、実際はPTSDという精神疾患のことを理解したいと思っても、当事者にならなければわからないことがほとんどだと思います。でも、私一人の力では、理解を広めるために世間を大きく変えるようなことはできない。なので、この本を読んだ方の誰かから、理解者を増やすための素敵なアイデアが浮かんでくれたらいいなと、そこに希望を託して書きました」

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