森友学園巡る財務省文書の不開示訴訟、国が上告断念
森友学園問題に関する財務省の決裁文書改ざん問題を巡り、政府は6日、関連文書の存否を含めて不開示とした同省の決定を取り消した大阪高裁判決について上告しない方針を明らかにした。上告期限を迎える13日を前に、同判決が確定する見通しとなった。
石破茂首相は6日、加藤勝信財務相らと面会し、上告断念について伝達した。首相は同日、官邸で記者団に「遺族らの気持ちを考え、判決は真摯に受け止めるべきだと考え、上告しない決断をした。今後は国民に説明責任を果たすという観点から、誠実に真摯に取り組む」と述べた。
改ざんを苦に自殺した元近畿財務局職員、赤木俊夫さん(当時54)の妻、雅子さん(53)は2021年、財務省に文書開示を請求。同省は文書の存否を含めて不開示としてきた。今後、改めて開示の可否を判断する。
対象となるのは、財務省と近畿財務局が大阪地検などに任意提出した文書。改ざんを巡る省や局内のメール、会議や打ち合わせの内容などが含まれる可能性がある。
25年1月の大阪高裁判決は改ざんの捜査は終結しており、文書存否の回答は捜査に影響しないと指摘。不開示決定は情報公開法の要件を欠き違法と結論付けた。一審・大阪地裁判決は「開示は捜査に支障を及ぼす」として財務省の不開示決定を適法としていた。
雅子さんは国の上告断念方針を受けて記者会見した。「これで夫に良い報告ができる」と表情を緩め、「墨塗りのない文書を一日も早く開示してほしい」と訴えた。代理人の生越照幸弁護士は「文書改ざんや意思決定の経過を明らかにしたい」と強調した。