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高齢者虐待、佐賀県内の施設は過去最多の70人 大半が「身体拘束」

 佐賀県が発表した2023年度の高齢者虐待の状況によると、高齢者施設で職員から虐待を受けた人数は70人だった。そのうち59人がベッドを柵で囲まれたり、脱ぎづらい服を着せられたりといった「身体拘束」の被害を受けた。いずれも公表が始まった06年度以降で過去最多を更新した。県は「施設職員の認識不足が要因」として、介護施設への研修を強化する方針という。

 県によると、施設などで介護に携わる職員からの虐待が疑われるとして、39件の相談・通報が寄せられた。調査の結果、22年度に把握した2件を含む16件の高齢者70人について、施設で虐待を受けたと判断した。虐待が認められた16件の半数以上が、施設側からの通報だったという。

 身体拘束には行動の自由を制限する行為が幅広く含まれており、介護保険法に基づく運営基準などで原則禁止されている。例外的に認められる要件として、実施しなければ本人や周囲の危険性が極めて高い▽他に手段がない▽一時的な措置-の三つを十分検討し、詳細を記録・保存した上で実施しなければならない。

 今回、虐待があったと判断された施設では、こうした手続きを踏んでいなかった。施設側は、身体拘束の理由について「ベッドからの転落防止」「肌をかきむしらないようにする」などと説明しているという。 (田中早紀)

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