2020年10月
281.葬儀のあとの寝室 (秋山正美/第二書房)
「葬儀のあとの寝室」は気持ち悪さ200%のじっとり奇書なのだ
作者のガチ血痕が塗られた表紙と奇妙な絵が施された本に収まる歪んだ愛欲の物語。○○を珈琲に入れ合う夫婦、時計に括られ時刻が巡るたび体の部位を切り落とされる女性、人体改造、写真ぺろぺろ…
アライさんはけっこうムリだったのだ〜w
282.プリンタニア・ニッポン (迷子/イーストプレス)
「プリンタニア・ニッポン」侮れないSFコミックだったのだ!
生体プリンタから現れた謎生物すあまと青年の日常ものだが、丁寧に読むとガッチガチのAI監視社会!住民相互評価システムやbig brotherのパロディ等にもやつくのだw
「ディストピアでふつうに暮らす」面白み。次のブームを生みそうなのだ〜
283.シャーク 海の怪獣たち (ロバート・サブダ/大日本絵画)
偶然見かけたのだが「SHARKS 海の怪獣たち」て仕掛け絵本、うわーコレめちゃくちゃ欲しいのだ!
紙の魔術師ロバート・サブダの超絶技巧ギミックで飛び出すシャーク!
写真見てもどこがどう開いてるのかいまいちピンとこない文面!
古生物だらけのときめきパノラマ!
秒で壊しそうだけど…けど……!
284.平行植物 (レオ・レオーニ/ちくま文庫)
生物学3大奇書の一角「平行植物」もお薦めなのだ
他2冊より難解な印象だが、幻想文学としての完成度は随一!
空想図鑑としての面白みは勿論、異次元植物を巡る学会史や神話が淡々と記されるテキストは、どこか麻薬的陶酔感を纏い、知識に淫する白昼夢の気怠い愉悦
スイミーの作者乱心の名作なのだ〜w
285.抒情的恐怖群 (高原英理/毎日新聞社)
とにかく面白いホラー教えて!と言われたら「抒情的恐怖群」を挙げてるのだ
食人、妖怪、ゾンビ、座敷牢、忌み地…白黒に血の赤だけが映える、暗黒文学香る短編集。微かに塗した郷愁と、祝詞のようなリズム感の銘文が、ゴシック幻想の迷宮へ誘うのだ
流行とは真逆だが、怪談文芸の"芸"の極地なのだ〜
286.Fが通過します (佐藤正彦/マガジンハウス)
世界一細長い本(……本?)「Fが通過します」めっちゃ気になるのだ
函入り2冊組(……冊?)のちとせ飴みたいな造本に、レビュー読み漁ってもいまいち内容が見えてこない中身w
デザイン的に凝った紙面も楽しそう!
ピタゴラスイッチやだんご3兄弟のプロデュースでおなじみ、佐藤雅彦氏の仕掛けなのだ〜
287.マツタケ (アナ・チン/みすず書房)
「マツタケ」超面白かったのだ
松茸を軸に、議論の菌糸を無限に増やす結論なき文化人類学書。
海外松茸狩り事情や調理の小話などエッセイ的に楽しい部分から、難民問題、里山保全、資本主義批判まで、ばよえ〜んしまくるテーマの連鎖。でもばっちり全部松茸!
南方熊楠や松岡正剛ぽさも感じるのだ〜
288.宇宙の孤児 (ロバート・A・ハインライン/ハヤカワ文庫)
「宇宙の孤児」はもっと評価されていいと思うのだ
星海を彷徨う巨大都市型宇宙船!文明が退化して中世レベルに遡った内部!迫る食人種!双頭のミュータント!
細部まで光る設定に、翻訳も上々。謎めいた世界の真実に向かって少年が駆け抜ける、とびっきりのジュヴナイル。どうして紙本絶版なのだ〜
289.GOGOモンスター (松本大洋/ビッグコミックスペシャル)
ハロウィンはダンボール被って「GOGOモンスター」の仮装と言い張りたいのだ
あっちの世界が視える小学生・ユキの、知性と感性に揺れる日々。居場所のないクラスの空気、歪む実存世界、詩的で意味深な台詞がトリニティして、鋭く胸を刺す小学校宇宙
祖父江慎装丁も最高!謎めいた予言書的魅力なのだ〜
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